ゲンゴロウ・タガメ飼育ブログhttps://gengo6.com/ゲンゴロウとタガメの飼育Mon, 01 Apr 2024 14:35:35 +0000jahourly1https://gengo6.com/wp-content/uploads/cropped-MVIMG_20190706_195634-32x32.jpgゲンゴロウ・タガメ飼育ブログhttps://gengo6.com/3232 1608872312024年4月から東京都でガサガサが合法に!内水面漁業調整規則が改正されるhttps://gengo6.com/2024/04/01-10734https://gengo6.com/2024/04/01-10734#respondMon, 01 Apr 2024 09:07:11 +0000https://gengo6.com/?p=10734

タモ網を用いるガサガサは一般には合法ですが、実は東京都では違法でした。河川等の漁は各都道府県の「内水面漁業調整規則」の規制を受けますが、東京都ではタモ網を含む押し網自体が禁止されていたためです。2024年4月からこの規制 ... ]]>

タモを用いるは一般には合法ですが、実は東京都では違法でした。河川等の漁は各都道府県の「内水面漁業調整規則」の規制を受けますが、東京都ではタモ網を含む押し網自体が禁止されていたためです。2024年4月からこの規制が解除され、名実ともに東京都でもガサガサが合法となりました。

東京都の「内水面漁業調整規則」が改正され、2024年4月からガサガサが合法になった

都から発表があった通り、2024年4月から、東京都でもタモ網によるガサガサが明示的に合法になりました。都の発表でわざわざ「可能になります」と書いてあるということは、今までは違法だったのです(!!)。

改正内容

東京都内水面漁業調整規則第23条の漁具漁法の制限及び禁止の項目から押網を削除します。

これにより、従来は都内の内水面漁場で利用が禁止されていた、たも網などを利用したいわゆる「ガサガサ」と呼ばれる漁法が可能となります。

漁業調整規則改正|農林水産|東京都産業労働局

東京都では漁業規制の関係でガサガサが違法だった問題

普段あまり意識されていませんが、河川等のガサガサで使える漁具は、各都道府県の「内水面漁業調整規則」の規制を受けます。本格的になれば漁具に近づくからです。

「内水面漁業調整規則」の内容は都道府県によって異なります。タモ網については、規制がないか富山県のように30cm等大きさで規制している所が多いなか、東京都ではタモ網自体が禁止されていたんですね。
※押し網とタモ網を独立して記述している都道府県もある

東京都の「内水面漁業調整規則」(〜2024/3/31)

東京都の解釈では、タモ網は「内水面漁業調整規則」で禁止されている「押し網」に含まれているものの、違法状態ではあるが実際に摘発された例はないという状態でした。

このことは以前から知られていましたが、報道で取り上げられたことも改正の契機になったのかもしれませんね。

だが、このガサガサは、都の内水面漁業調整規則で禁じている「押し網」にあたるという。違反すると、6カ月以下の懲役や10万円以下の罰金といった罰則もある。都水産課は「魚資源の保護のため」と説明するが、実際に摘発された事例は「知っている範囲ではない」(担当者)という。

タモ網でガサガサは密漁? 東京都の独自規制、罰金も:朝日新聞デジタル
三谷釣漁具店のガサガサ網 【三谷釣漁具店】丈夫なのは当たり前!大きなガサガサ網で最強になれる件 ]]>
https://gengo6.com/2024/04/01-10734/feed010734
ムネアカハラビロカマキリの竹箒拡散説についてhttps://gengo6.com/2024/01/01-9104https://gengo6.com/2024/01/01-9104#respondMon, 01 Jan 2024 12:30:47 +0000https://gengo6.com/?p=9104

日本では今、在来のハラビロカマキリが急速に外来のムネアカハラビロカマキリに置き換わっていることが話題となっています。生息環境が競合する上、ムネアカハラビロカマキリの方が大型です。生息域が広がっている理由として、中国から輸 ... ]]>

日本では今、在来のハラビロカマキリが急速に外来のムネアカハラビロカマキリに置き換わっていることが話題となっています。生息環境が競合する上、ムネアカハラビロカマキリの方が大型です。生息域が広がっている理由として、中国から輸入された竹箒(ほうき)に鞘 (らんしょう)が付着していることが指摘されています。

カマキリにはくわしくありませんが、せっかく勉強した分をまとめておきます。

日本各地で侵入が確認されるムネアカハラビロカマキリ

ムネアカハラビロカマキリは、中国大陸原産の侵略的。2010年に初めて確認されると、現在では20都道府県以上で記録されています。数年で在来のハラビロカマキリを置き換えてしまうなど、生息域の拡大速度と在来種への影響の両面で注目されている外来種です。

ムネアカハラビロカマキリの学名

ムネアカハラビロカマキリの学名はHierodula chinensis。類似種が多く、当初Hierodula membranaceaあるいは、Hierodula formosana、Hierodula venosaなどが提唱されました。2021に広島産で分子系統解析がおこなわれ、chinensisが示唆され、現在はHierodula chinensisであろうということになっています。

※地域個体群によってはchinensis以外の場合もあるかもしれません。
※過去標本から、2000年ごろには侵入がはじまっていたとされます。

ハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリの違いと見分け方

在来のハラビロカマキリは、本州・四国・九州・南西諸島に生息する中型のカマキリで、体長は50mm〜70mm。オオカマキリなどと比べ、羽根に白い斑があり、胸が短く腹部がその名の通り幅がある体型で区別されます。また、草むらではなく、樹上性が強い生態です。

一方、ムネアカハラビロカマキリは体長60mm〜80mmと在来種より大型です。

ハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリの見分け方としては、胸が長めで全面赤みがかるムネアカハラビロカマキリと、黄色に一部黒斑が入るハラビロカマキリという違いがあります。

また、前脚の鎌の部分に、大きな白い突起が3つあるハラビロカマキリと、小さな突起が8-9個あるムネアカハラビロカマキリという違いは、見分けるのにわかりやすいポイントです。

ムネアカハラビロカマキリ
胸の腹側が赤く、鎌に小さな突起が並ぶムネアカハラビロカマキリ

以下の写真では、羽根の白い斑、胸が短い様子など、オオカマキリとは違う特徴が写っています。

ムネアカハラビロカマキリ
胸の腹側が赤くならず、一部に黒斑があるハラビロカマキリ。鎌の二の腕部分に大きな突起が3つ並ぶ

また、ハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリでは、卵鞘 (らんしょう)の形状にも違いがあることが知られています。

平べったく全面付着しているハラビロカマキリの卵に対し、ムネアカハラビロカマキリでは表面が白っぽくビロード状、下部が枝から離れるわかりやすい特徴に注目しましょう。

ムネアカハラビロカマキリの侵入経路は輸入された竹箒?

公園の竹箒

ムネアカハラビロカマキリの問題は、確認されだして10年程度で20数都道府県という拡散速度の速さと、在来種を駆逐する侵略的外来種の側面です。

自然拡散の場合、侵入地から徐々に広がっていく拡散経路を示すのが普通です。しかし、ムネアカハラビロカマキリでは各地で同時多発的に侵入が記録されています。また、確認地点が点在していて、植樹由来だけでは説明できない要素がありそうでした。

これについて、中国から輸入された竹箒(ほうき)由来という指摘が2018年にされています。論文筆者が勤務する多摩動物公園や、ホームセンターでチェックした数百本の竹箒からは3%程度の卵鞘の付着が確認され、孵化したはムネアカハラビロカマキリだったとのこと。

これらの竹箒は中国杭州産で、一時学名とされたHierodula venosaは生息せずHierodula chinensisはいるエリアであることも、その後の情報と矛盾しません。

また、公園などの整備に使われる竹箒由来なら、同時多発的に各所で見つかっていることの説明も可能です。

竹箒から確認されたカマキリの卵

ムネアカハラビロカマキリ竹箒由来説は虫好きに知られるようになり、各地で実際の確認例があります。
※ムネアカハラビロカマキリと確認していないものもありますが、竹箒に付着している例

ムネアカハラビロカマキリに関するFAQ

ムネアカハラビロカマキリは侵略的外来種ですが、今の所は特定外来生物等の法規制種ではありません。したがって駆除等の対象ではありませんが、在来種を駆逐することが知られているので、動向が注目されています。

ムネアカハラビロカマキリは外来種?

外来種です。類似種が多い分類のため、中国原産のHierodula chinensisを中心に複数種いる可能性があります。

ムネアカハラビロカマキリは特定外来生物?

特定外来生物ではありません。しかし、侵入地点ではハラビロカマキリが姿を消すことから、侵略的外来種としての側面を持っています。

ムネアカハラビロカマキリを見つけたら?

法規制対象ではないため、特に駆除の対象ではありません。未記録の県であれば専門家に報告するのもよいでしょう。
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https://gengo6.com/2024/01/01-9104/feed09104
シマゲンゴロウの飼育と餌、生息場所https://gengo6.com/2023/10/07-10630https://gengo6.com/2023/10/07-10630#respondSat, 07 Oct 2023 13:19:16 +0000https://gengo6.com/?p=10630

シマゲンゴロウは特徴的な模様を持つ人気種。近年激減した県も多いようです。生息環境は浅く開放的な水面。幼虫はオタマジャクシを好むものの、冷凍アカムシを餌に成虫まで飼育可能。 目次 特徴的な模様をもつ人気種「シマゲンゴロウ」 ... ]]>

は特徴的な模様を持つ人気種。近年激減した県も多いようです。生息環境は浅く開放的な水面。はオタマジャクシを好むものの、冷凍アカムシをに成虫まで可能。

特徴的な模様をもつ人気種「シマ

シマゲンゴロウの学名はHydaticus bowringii。体長は13-14mm。前胸背は黄褐色。腹側は赤褐色。上翅は光沢ある黒をベースに中央に一対の黄褐色の斑紋、左右に2本ずつ縦縞を持ちます。一目でシマゲンゴロウとわかる個性的な種です。

シマゲンゴロウ
水田にたたずむシマゲンゴロウ
シマゲンゴロウの2齢・3齢幼虫と成虫

、コシマゲンゴロウ、が普通種とするならば、それよりはレア。元々全国に分布する種ではないが、北陸や九州上半分など、絶滅危惧I類になっている都道府県も多いことが目をひきます。

国の絶滅危惧カテゴリーでは準絶滅危惧種だが、各都道府県の状況を見ると、実質的には絶滅危惧II類に近いと言えるでしょう。

日本のレッドデータ検索システム

シマゲンゴロウの生息環境

シマゲンゴロウ幼虫はオタマジャクシを好むことや、成虫が上陸越冬する習性で知られます。これらが示しているのは、豊富なオタマジャクシ、上陸できるコンクリでない護岸、成虫が越冬できる周辺の林等、シマゲンゴロウの生活環を構成する周辺要素が欠けると、いなくなってしまうだろうということです。

当然ながら、ほかの水生昆虫同様、開発や耕作放棄、農やアメザリなどの侵入なども減少要因となります。急速に進む中間山地の耕作放棄が、残っていたシマゲンゴロウ産地の減少に影響していることは確かでしょう。

シマゲンゴロウが生息する水路
シマゲンゴロウの新成虫が集まっていた水路

シマゲンゴロウ成虫の餌や飼育方法

シマゲンゴロウ成虫の飼育方法は、その他のゲンゴロウ成虫の飼育と同じでOK。餌はコオロギや冷凍アカムシ、肉食魚用のペレットなど、特に好き嫌いはないようです。

ただし上陸越冬するので、11月頃には湿らせた水苔を入れたタッパーに入れて冷暗所に保管するとよいでしょう。水中越冬でもいけるのではと思いますが、試していません。田んぼの周辺での生活に適応して、水がない時期は上陸する道を選んだのかもしれません。

シマゲンゴロウ幼虫の飼育

シマゲンゴロウ幼虫は、中央にはっきりした白線を持ちます。また大顎の湾曲が強く、全体にがっちりした体格の印象です。

オタマジャクシを好むことから、関東ではオタマジャクシが多い6月頃にを終え、7月からは新成虫が見られます。

シマゲンゴロウ3齢幼虫

飼育下では「こだわりあかむし」のみで成虫にできます。

シマゲンゴロウ幼虫の成長過程

10/4 シマゲンゴロウ初齢幼虫出現

モンジ幼虫に混じって、シマゲンゴロウ幼虫も出現。モンジ初齢と比べるとお尻が細長く、頭が逆三角形。餌は、1日2回冷凍アカムシを5匹ほど与える。モンジよりは食欲少なく、食べ残すことも多い。

シマゲンゴロウ初齢幼虫
10/7 シマゲンゴロウ2齢幼虫の出現

3日ほどで脱皮して2齡幼虫が出現。引き続き、1日2回冷凍アカムシを与える。5-10匹程度与えれば十分。

シマゲンゴロウ2齢幼虫
3齡幼虫

3齡幼虫になると、シマゲンらしい中央の白い線がはっきりする。同時に飼育しているモンジが冷凍アカムシだと死亡率高いため、餌は冷凍コオロギに切り替えた。普通によく食べる。

10/17 シマゲンゴロウ終齢幼虫の上陸

餌を食べなくなり、上半身の内蔵が白く空になると、上陸が近い。水面近くで暴れたり、水面から頭を出したりする上陸仕草を見せるようになったら、上陸させてもよい。

蛹室を作るシマゲンゴロウ幼虫

シマゲンゴロウ幼虫は、土の表面に蛹室を作るので、土の深さは必要ない。100均の一番小さなタッパーにピートモスを入れる。幼虫は一部が容器の蓋に付くような蛹室を作るので、蛹室の場所はわかりやすい。後はたまにチェックして、新成虫が現れるのを待つ。

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https://gengo6.com/2023/10/07-10630/feed010630
新宿御苑でカブトムシが大発生!!のなぜhttps://gengo6.com/2023/08/13-10576https://gengo6.com/2023/08/13-10576#respondSun, 13 Aug 2023 05:48:04 +0000https://gengo6.com/?p=10576

都内でカブトムシが大発生と聞いて見てきました。新宿御苑のあちこちで複数個体が群がる樹液酒場を観察できてよかったです。アクセスよく入場料も安いので、親子の自然観察におすすめ。御苑には元々カブトムシが生息していますが、なぜ大 ... ]]>

都内でカブトムシが大発生と聞いて見てきました。新宿御苑のあちこちで複数個体が群がる樹液酒場を観察できてよかったです。アクセスよく入場料も安いので、親子の自然観察に。御苑には元々カブトムシが生息していますが、なぜ大発生しているか、その理由を考察します。

新宿御苑でカブトムシが大発生!

どうも今年は都内のカブトムシが多いようです。都心のオアシス新宿御苑でも「一生分見た!」「あちこちいた」などの声があり、私も見てきました。園内のあちこちに樹液が出ている木があって、群がるカブトムシやクワガタが観察可能。

通路沿いの木に普通にいるので、散歩しながら探していけば見つかります。虫にくわしくない親御さんや小学生くらいのお子さんを連れて行くのにも安全・安心でおすすめ。

2023/08/12 11時。樹液酒場にカブトムシ、クワガタのメス、カナブン、キイロスズメバチなどが集まる様子。

カブトムシには夜行性の印象ありますが、日中でも活動している個体がいます。

日中もカブトムシを観察できる

新宿御苑でカブトムシ・クワガタを探すコツ

新宿御苑でカブトムシ・クワタガタムシが観察できるのは、大雑把に大木戸門側の「玉藻池」の東側か、自然観察用に整備された「母と子の森」あたりです。「母と子の森」の方が、カナブンなどたくさん集まっている木があります。

カブトムシの観察スポットは書くと乱獲につながります。そのため、具体的に書くのを避けるのが一般的です。今回の場合、新宿御苑は採集禁止なので大丈夫でしょう。

なお、虫かごやを持っていると入れませんので、ご注意ください。樹液が出る木の周辺には、採集禁止の案内も追加されています。無視しないように。

新宿御苑の動植物は採集禁止

新宿御苑の営業時間やアクセス

新宿御苑の営業時間は時期によって変わります。〜8/20までは朝9時〜19時(入園は1830まで)です。入場料は大人500円中学生以下無料と家族連れにもやさしい料金体系。

入園案内 : 新宿御苑 | 一般財団法人国民公園協会

日本庭園や広大な芝生広場もあるので、大人の散策にもおすすめ。園内はよく整備されていますが、それなりに歩くので暑さ対策は必要です。最寄り駅は千駄ヶ谷駅・新宿三丁目駅・新宿御苑駅あたり。

新宿御苑の芝生広場

最近また整備されて、飲食できる所も数か所設けられています。せっかく新宿伊勢丹近くなので、帰りにその周辺で食べていくのも良いでしょう。

小綺麗な売店&休憩所

なぜ新宿御苑でカブトムシが大発生するのか

新宿御苑は内藤藩の大名屋敷が由来です。明治維新後、宮内庁所管などを経て戦後から一般公開されています。そういう経緯で、新宿御苑には昔からカブトムシ・クワガタが生息していたと考えられます。

ただし、都会なので放虫やその子孫も混じっている可能性が高いです。

次の疑問はなぜ今年はカブトムシが大発生しているのか。以前こんなに話題になったことはなかったと思います。その理由として考えられるのは、カシノナガキクイムシと堆肥です。

カシノナガキクイムシが原因で一時的に樹液が出ている

そもそも、園内の通路沿いに何本も樹液が出ている木があるのがおかしいんですね。人目につくところにカブトムシが集まっているから見つかりやすいという事情があります。その原因は、ナラ枯れを引き起こすカシノナガキクイムシ(カシナガ)です。

カシノナガキクイムシに食害されると、彼らが持ち込む「ナラ菌」がして樹勢が衰え、最終的に枯れてしまいます。これが「ナラ枯れ」で、全国的に問題になっています。

4-5mmの小さな虫が穴をあけて、糞と木屑が混じった「フラス」を排出します。食害が進行する際に一時的に樹液が出るため一時的にが増えたり、カブトムシが増えたように見えている可能性があります。

下記報道によれば、首都圏のナラ枯れ被害は3年前の約20倍に急増しているとのことです。

「ナラ枯れ」対策設備に被害 カブトムシハンター妨害か 「子どもの夢壊すな」抗議も

新宿御苑では何本も食害され、枯れている木も見受けられました。カシノナガキクイムシは大きく育った木を好むため、そういう年代の木が増えたことも関係あるでしょう。

カシノナガキクイムシによる食害
カシノナガキクイムシによる食害

園内の整備にともなう堆肥からの発生

実はカブトムシは、人間との関わりが深い種です。里山を整備し、腐葉土を作るなかでそれを利用してきた側面があります。

実際、新宿御苑でも剪定して落とした枝や倒木などの発生材をチップ化し、1-2年発酵させた後、園内にまいて再利用しているとのことです。こうした堆肥置き場は、カブトムシが発生する場所となります。

発生材をチップ化して再利用しています : 新宿御苑 | 一般財団法人国民公園協会

NHK「ダーウィンが来た!」の調査によれば、近年木材チップの再利用が進んだのには数十年前の「廃棄物処理法」の影響があるとのこと。従来野焼きで処理されていたものが産業廃棄物扱いとなり、費用節減のため堆肥化による再利用が進んだという話です。

カブトムシがシマトネリコに大集結!ある「法改正」が引き金だった…その「衝撃の理由」(田所 勇樹) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

大量のカブトムシが見られるのは一時的な可能性が高い

カブトムシの大発生のなぜ、で見てきたように、木材チップの堆肥化による個体増もあろうと思いますが、ナラ枯れの進行は深刻です。今は一時的に樹液が出ていても、数年で完全に枯れ園内の見やすい所にある木がなくなってしまう可能性は高いと思います。

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https://gengo6.com/2023/08/13-10576/feed010576
ミンミンゼミ、隅田川を渡る。七不思議の一つ、ついに解消されるhttps://gengo6.com/2023/07/29-10531https://gengo6.com/2023/07/29-10531#respondSat, 29 Jul 2023 06:22:10 +0000https://gengo6.com/?p=10531

東京のセミ分布で注目されている地域差の話はご存知でしょうか。浅草近辺、隅田川両岸の隅田公園のうち、台東区側にはミンミンゼミいるが、対岸の墨田区側にはいない謎。一説によれば、東京大空襲で焼き尽くされ一旦絶滅、台東区側は上野 ... ]]>

東京のセミ分布で注目されている地域差の話はご存知でしょうか。浅草近辺、隅田川両岸の隅田公園のうち、台東区側にはミンミンゼミいるが、対岸の墨田区側にはいない謎。一説によれば、東京大空襲で焼き尽くされ一旦絶滅、台東区側は上野などから再進出したが、アブラゼミより飛翔力が弱いミンミンゼミは隅田川を渡れないという考察も。今夏、墨田区側にもミンミンゼミが再進出したことを確認したので報告します。

東京に住むセミとその分布

軽く調べた程度ですが、東京には6種類のセミがいるとされています。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、クマゼミ、ヒグラシです(吉野,2008,2009)。アブラゼミは全域に分布し個体数も多く、ミンミンゼミが続くとされます。

実家がある静岡市では、クマゼミが優先でミンミンゼミは丘陵・標高ある場所にいるイメージでした。東京に来たら、アブラゼミ優先で平地の公園でもミンミンゼミが普通にいるので、、はじめは違和感覚えたものです。

なお東京にもクマゼミはいますが、散発的な分布のため、植栽等に混じって入ってきたものが多そうです。

東京ではアブラゼミが優占種

ミンミンゼミは隅田川を渡れない?隅田公園両岸で異なる分布の謎

冒頭で触れたミンミンゼミ隅田川を渡れない説。これは、杉並で知られる須田孫七さんが、朝日新聞で語った話が元になっています。掲載されたのは2009年8月13日夕刊「アブラゼミ戦火の記憶」。内容はネットに転載されたものが見られますが、著作権の問題があるのでここでは触れません。

低地(墨田区)ではアブラゼミ1種が優占種となっているということが明らかになった。その理由としては須田氏の次のような説もある。

その理由は東京大空襲との説である。(1)大空襲で地域の昆虫のほとんどが全滅。セミのも焼き尽くされた 。(2)復興後、他の昆虫の多くは植樹や河川敷を利用して木々にとりつくなど生態系を戻したが、木とその根元の地中をすみかとするセミは、雌雄ともに飛行距離が比較的長いアブラゼミが、 焼け残った場所からたどり着くにとどまったとされている。須田氏は、空襲でいったん地域のセミが全滅し、復興後も川と急速な宅地化により、アブラゼミ以外のセミが公園にたどり着けていない可能性がある(須田、2009)という指摘である。

東京の低地におけるセミの分布の解明

各種調査で、低地の墨田区ではアブラゼミが圧倒的優先であることがわかっていますが、それを象徴する場所が隅田川両岸に広がる隅田公園です。生き物系イベント開催地として知られる東京都立産業貿易センターの裏あたり。

隅田公園台東区・浅草側にはミンミンゼミがいるのに、墨田区・スカイツリー側にはいない。ほぼ同じ環境なのになぜだろう、という話です。

墨田区側隅田公園は、水戸徳川家の下屋敷由来で、伊達政宗から伝わった名刀燭台切光忠が関東大震災で被災したことで知られます。その後、後藤新平の発案で浜町公園・錦糸公園と並び震災復興公園として整備されました。

隅田川を隔ててミンミンゼミ分布が異なる不思議

墨田区側の隅田公園はじめじめした感じの暗い公園なイメージでしたが、オリンピックを前に整備され、常緑の芝生が美しい開放的な公園に生まれ変わっています。リニューアル後の2020年夏に数時間滞在した所では、アブラゼミしかいませんでした。以来、注目して通りがかったときには気にしていました。

芝生の緑が鮮やかな隅田公園(墨田区側)

2023年、墨田区側隅田公園でもミンミンゼミの鳴き声を確認

先日車で通りがかった所、ミンミンゼミの鳴き声を確認、数日再訪して両日ともミンミンゼミが鳴いていることを確認しました。つまり、ついにミンミンゼミが隅田川を渡ったのです。以下のの神社は墨田区側隅田公園の一角にある牛嶋神社です。

※補足
台東区側ではなんとクマゼミの鳴き声も確認しました。足立区あたりの公園にいることは聞いていたのですが、浅草にもいるのですね…。ただし、個体数は少ないようでアブラゼミの方が優占しています。

考察と疑問

さて、隅田川を隔てるだけでミンミンゼミ分布が変わる謎について。私は飛翔力がアブラゼミとミンミンゼミでどれだけ違うか把握していません。また、物資や車に紛れて移動するものもあるので、隅田川だけで説明できるのかは疑問です。実際、墨田区両国の旧安田庭園でもミンミンゼミの鳴き声は確認しています。

また、隅田公園から近い墨田区役所そばの首都高付近でもかなりの合唱が聞かれました。元々個体数は少ないものの生息していて、観察量・機会が少なかった可能性があります。須田氏の指摘と同時期に行われた調査では、台東区側と墨田区側で説明が必要な大差はあるものの、隅田側でも少数ミンミンゼミが確認されています。

東京の低地におけるセミの分布の解明

一方、低地の墨田区はアブラゼミ優占地として知られ、ほかのセミは少ないことから、元々少なかった種が空襲で一旦地域絶滅した可能性はあろうと思います。その象徴が、隅田公園だったということなのでしょう。

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https://gengo6.com/2023/07/29-10531/feed010531
ウミネコの鳴き声がうるさい!台東区・墨田区・江東区・中央区の被害状況と対策方法https://gengo6.com/2023/06/05-10297https://gengo6.com/2023/06/05-10297#respondMon, 05 Jun 2023 09:18:12 +0000https://gengo6.com/?p=10297

東京都の台東区・墨田区・江東区・中央区では近年、カモメの仲間ウミネコが問題になっています。ビル屋上に営巣し、昼夜問わずミャーミャーと響く鳴き声や、大量の糞などの被害が報告されています。当マンションでも今年2023年から屋 ... ]]>

東京都の台東区・墨田区・江東区・中央区では近年、カモメの仲間ウミネコが問題になっています。ビル屋上に営巣し、昼夜問わずミャーミャーと響く鳴き声や、大量の糞などの被害が報告されています。当マンションでも今年2023年から屋上営巣が確認され対応検討中です。ウミネコの市街地営巣は東京都のみの特殊な問題で、上野動物園の保護個体を放鳥したものが・拡散した経緯を知らないと、対策を見誤ることになるでしょう。

東京都のウミネコ問題の概要

東京都では近年、海鳥のウミネコがビル屋上で集団営巣し、鳴き声や糞による被害が問題となっています。深夜早朝も大声で鳴くため、眠れないという方もいるようです。

この問題について、報道では「巣作りに適した場所がないから(市街地に進出した)」と解説されることもあるようです。しかし実際の所、自然破壊のせいで都市進出したのではない、という東京都の特殊事情に注意が必要です。

東京都では元々、諸島部を除き、東京都本土部のウミネコの繁殖は確認されていませんでした。上野動物園が1990年と1994年に、保護個体を放鳥。不忍池で細々と繁殖していた所、2013年に周辺ビル屋上で営巣が確認されると爆発的に増加し、台東区・墨田区・江東区・中央区に進出しました。

現在その数は数百羽に達し、各地で小集団に分かれコロニーを形成しています。
※元々不忍池には野生個体も飛来していて放鳥組との混合集団を形成したとされる

つまり、ウミネコ問題の個体群は、ビル屋上での繁殖に成功した内陸集団が拡散したという特徴を持っています。海鳥であるウミネコは、隅田川や東京湾の魚をにしていて、より餌場に近いところに営巣場所を移してきたと考えられます。

東京都のウミネコ個体群拡散経緯

ウミネコは集団営巣でコロニーを形成し、一度成功した場所では翌年も繁殖する習性があります。そのため、根本的な対策としては、ビル屋上にネットを張って巣作りを防ぐ方法が推奨されています。

従来ウミネコは、鳥獣保護管理法の保護下にあり駆除できませんでしたが、2022年4月から運用が変わり、都が許可した業者は、繁殖期に限りや雛の駆除を行うことが可能になりました。この情報がまだ掲載されていない区もありますが、急ぎの対応が必要な場合は区の担当課から紹介してもらうと良いでしょう。

なお、無許可でウミネコを捕まえたり、動物をけしかけたり、卵や雛を排除する行為は鳥獣保護管理法に抵触し、違法行為となります。建物の管理会社やマンション管理組合が非合法な手段を検討することは、責任問題となり得ます。

業者への依頼やネット設置には費用がかかりますが、組織人としては、あくまで合法的に対処していきましょう。

  • 都市部の市街地で発生するウミネコによる被害に関して他事例はなく、現状では東京都特有の事象
  • 1990年代に上野動物園で保護個体を放鳥したものが繁殖・拡散
  • 2003年に屋根での繁殖が確認されて以降、台東区・墨田区・江東区・中央区で被害が確認されている
  • 都の環境局が苦情件数カウントしていて、近年急増している
  • 同じ場所で繰り返し営巣するため、最終的にネットを張って巣を作れなくする対策が一般的
  • ウミネコは鳥獣保護管理法により卵や雛の駆除が規制されていた→昨年2022年4月から、都が許可した業者は巣や雛の駆除が可能になった

ウミネコ被害の実際

今年2023年から、当マンションでも営巣されたため、屋上を確認してきました。

ウミネコ営巣の被害としては一般に糞害と鳴き声があります。また、同じ場所で毎年営巣する習性から、屋上にネット設置等の工事が必要となり、多額の対策費用が発生します。

  • 大量の糞による建物や洗濯物の汚れ
  • 昼夜問わず鳴くことによる騒音

屋上で集団営巣するウミネコ

1羽2羽ならかわいいものですが、ウミネコは集団営巣してコロニーを形成する習性があります。湾岸部では岩山や岸壁などに営巣しますが、ビル屋上の場合緑化した場所を好むとされています。被害が報告されるのは主に繁殖期の4月〜8月です。
#屋上緑化していない場所でも繁殖実績あり

私の場合は、ビル周辺に糞が増えたため屋上を確認した所、視認した範囲で巣10個親20羽、卵15個を確認しました。

マンション屋上のウミネコ巣
マンション屋上のウミネコ巣
マンション屋上のウミネコ巣

巣はかなり簡素。早い場合で1〜数日で卵を産んでしまう場合もあるとのこと。

ウミネコの巣と卵

深夜早朝も大音量で鳴くウミネコの群れ

これは当マンションではないのですが、台東区内で撮影。音声ONにすると、ウミネコの群れが「ミャーミャー」鳴く様子が聞こえます。高いお金を出して最上階に住んだと思ったら、大音量で鳴き続けられるわけで、たまらないでしょう。

朝6時に台東区のマンション屋上で鳴きまわるウミネコの群れ(2022)

ウミネコはカモメの仲間の海鳥。日中は隅田川や東京湾に出て、魚を食べています。夕方に帰ってきると、群れで飛び回ります。は2022年7月の19時台、数十羽の群れ。

夕方移動するウミネコの群れ(2022)

ウミネコによる糞害

ウミネコが屋上の縁に止まって、糞を落としてきます。屋上の縁がかなり汚れている様子。

ウミネコの糞害
ウミネコの糞害(マンション屋上)

営巣すると出入りが増えるため、周辺にも糞が落ちるようになります。場合によっては、近隣から苦情が入ることもあるでしょう。

路上の糞害

2023年当マンションにおけるウミネコ被害の時系列

2023年5月頭 ウミネコ営巣確認

近隣からの指摘で屋上を確認した所、ウミネコ営巣を確認。区と相談の上、区から紹介された業者に依頼し巣・卵を駆除。

2023年5月中旬 ウミネコの鳴き声や糞の被害増加

営巣すると出入りが増えるため、建物周辺の糞が増える。屋上の縁に止まっている個体が見えることもある。早朝深夜の鳴き声など、一部住民はウミネコ被害に気づきはじめる。

建物周辺の糞害
建物周辺の糞害
2023年5月下旬 ウミネコの再営巣を確認

屋上を確認し、巣10個親20羽卵15個を確認。

2023年6月中旬 ウミネコの雛を確認

屋上を確認。卵・雛・雛の死体を確認。専門家によれば、再営巣した分かもしれないが、ほかより遅れているとのこと。

ウミネコの雛

ウミネコ対策の実務

ウミネコ問題については、行政から対策含め情報提供が行われています。

予防的な対策としては以下の3点が挙げられます。

  • 定期的に屋上を点検する
    ウミネコは人の気配がするところは避けるため、巣づくりが行われる4月下旬から週一以上見回りを行います。下見に来ているウミネコに人がいることを知らせましょう。
  • 緑化された場所に防除を設置する
    ウミネコは緑化された屋上を好みます。防鳥ネットを設置し、物理的に巣づくりできなくします。なお浄化槽の隙間など、緑化していない場所での営巣例もあります。
  • 屋上の縁にテグス(釣糸)を張り巡らせる
    ねぐらや糞害を防ぐには、屋上の縁(ふち)にテグスを張る対策も有効です。

一方、周辺住民あるいはマンション住人としては何ができるでしょうか。

周辺住民として

ご近所でいつもウミネコが騒いだりしているビルがあるなら、管理者に連絡するのも一つの方法です。屋上に普段立ち入らないビルでは、気づいていない可能性があります。その際、行政の対策パンフレットなどを添えると問題が理解されやすいでしょう。

なお後述のように、ビル側で対応中でも予算その他の制約で、対策には時間がかかることをご理解ください。

マンション住人として当事者になってしまった場合

鳴き声や糞などから営巣が疑われる場合、管理人・管理会社等に連絡して、屋上をチェックしましょう。

営巣が確認された場合、区の担当課に相談すると、周辺情報も得られて話が早いです。駆除する場合、許可された業者を紹介してくれる場合もあります。個人で勝手に駆除すると、鳥獣保護管理法違反になるので注意。

ただし、駆除した後にまた営巣してしまう場合があるため、また費用が発生する可能性があります。

ウミネコは繁殖成功した場所で、翌年も繁殖する習性があります。根本的に被害を防ぐには、屋上にネットを設置して物理的に巣づくりできなくする対策が一般的です。その費用は作りや屋上の面積によりますが、100万円以上かかる場合もあります。

マンション管理組合の予算では想定していない出費になるため、最低限次の繁殖シーズンに間に合うよう、総会あるいは臨時総会決議が必要です。理事会としては災難ですが、設置事例は多く行政からの資料もあるので、がんばってください。

屋上緑化やめればよいのでは→条例違反

ウミネコが屋上緑化した場所を好むなら撤去すればよいのでは?補助金目当てに屋上緑化するからだ!といった反応を見かけます。

台東区では、緑ゆたかなまちづくりをすすめる「みどりの条例」において、“敷地面積が300平方メートルを超える建築物については、建築面積の20%以上の屋上緑化または壁面緑化を行って下さい。”と定められているからであって、補助金目当てではありません。

なお「みどりの条例」は各区に同様のものがあります(屋上・壁面緑化を義務づける制度一覧)。

ウミネコ問題の行政対応

東京都・台東区・墨田区・江東区・中央区など各自治体で特設ページが設けられています。

鳥獣保護管理法による保護の対象ではありますが、令和4年4月から東京都の鳥獣保護管理事業計画が改定となり、ヒナと卵について東京都の許可を受けた業者は、3月~8月の期間を限定し捕獲できることとなりました。

ウミネコの被害について 墨田区公式ウェブサイト

東京都の「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画(2022/4/1〜2027/3/31の5年間)」では、ウミネコについて、鳥獣の適正管理の項において「近年、23 区内の沿岸部における住宅地等で営巣し、糞や鳴き声による生活環境被害を及ぼしているため、適正に対応していく。」との方針が示され、予察捕獲表(P25)へ新規追加されています。

第13次東京都鳥獣保護管理事業計画(P25)

※2ウミネコは東京都レッドリスト(本土部)2020 年度版において、区部・本土部の「留意種」に評価されていることから、本来の営巣環境ではない人工構造物上での繁殖により生活環境被害が発生した場合を対象とし、必要最低数の捕獲に限る。

予察捕獲とは?

野生鳥獣は、鳥獣保護管理法で捕獲が原則禁止されています。その例外が「狩猟」と「許可捕獲(有害鳥獣捕獲等)」です。

予察捕獲とは、有害鳥獣捕獲の形式の一つで、被害が顕著になった鳥獣の生息数を制限するために行われる捕獲のことを指します。鳥獣保護管理法に基づき、都道府県知事の許可を得た者が行うことができます。

ウミネコやドバトのように、人間の生活環境に被害をもたらす野生生物に対しても、この制度が適用されることがあります。

予察捕獲とは
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の参照条文等

東京都のウミネコ問題に関するFAQ

以下、特に注記がない場合は、東京都本土部(区部)の話です。ウミネコは伊豆諸島等で繁殖していますが、近年まで東京都本土部では繁殖していなかったため、区別されます。

東京都のウミネコは今どの区で問題になっている?
隅田川や東京湾に接する台東区・墨田区・江東区・中央区です。
東京都のウミネコは今何羽いる?
東京都区部には、現在数百羽いるとされます。各地で小集団に分かれコロニーを形成しています。
ウミネコは元々東京都で繁殖していた?
島を除く本土部では繁殖していませんでした。不忍池方面で繁殖が確認されだしたのは1990年代です。
ウミネコの何が問題になる?
ウミネコは集団営巣する習性があり、鳴き声や糞が問題となります。深夜早朝問わずミャーミャー鳴き続けます。
ウミネコを駆除して良い?
卵を生む前の巣は撤去可能ですが、卵や生体は鳥獣保護法の対象で、個人で駆除すると違法です。2022/04から都が許可した業者は繁殖期に限り巣や雛の駆除が可能になりました。お金はかかりますがそう高くないので依頼してみてください。
動物をけしかけたり巣を放棄させれば良いのでは?
巣の損傷につながる行為は、鳥獣保護法違反とみなされる場合があります。1年以下の懲役または100万円以下の罰金いずれかの刑罰が課されます。
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https://gengo6.com/2023/06/05-10297/feed010297
書籍『新種発見! 見つけて、調べて、名付ける方法』レビューhttps://gengo6.com/2023/05/27-10254https://gengo6.com/2023/05/27-10254#respondSat, 27 May 2023 07:05:35 +0000https://gengo6.com/?p=10254

Twitterのバズリがきっかけとなって、新種発見にまつわる逸話をまとめた本が何冊か出ています。それだけインパクトが強かったのでしょう。書籍『新種発見! 見つけて、調べて、名付ける方法』は、山と渓谷社から2023年1月出 ... ]]>

Twitterのバズリがきっかけとなって、新種発見にまつわる逸話をまとめた本が何冊か出ています。それだけインパクトが強かったのでしょう。書籍『新種発見! 見つけて、調べて、名付ける方法』は、山と渓谷社から2023年1月出版。Twitterではすぐ流れてしまい、またもっとくわしい話が聞けるので、こうして形になったのはありがたいことです。執筆者のお一人、渡部晃平さんにご恵贈いただきましたので、ご紹介します。

2022年、Twitterでバズったサザエ新種記載の話とハッシュタグ#新種発見のエピソード

軽妙なトークが人気で1万フォロワーに達した、軟体動物多様性学会公式アカウント @SocStudMollDiv。中の人が福田 宏先生であることはよく知られていますが、その福田 宏先生が2017年に新種記載したのがサザエ。

新種発見には、それだけでニュースバリューありますが、あの有名なサザエですら学名の混乱があり未記載種だったとは…。

この話に触発されてクモの専門家馬場 友希さんが作ったハッシュタグ#新種発見のエピソードも、興味深い話が満載でした。

我々素人にとっても、新種発見は夢の一つ。島野 智之先生が記載したダニのように、Twitterの写真がきっかけで発見にいたった事例もあり、本書にその経緯が載っています。

本書に記載されているエピソード

見た方が早いので、まずは目次から。なんとなく覚えているであろうあの話やこの話が入っているのではないでしょうか。

  • 新種発見ってなんだ?
  • 学名と和名 / 記載論文徹底解剖 / 新種記載までの道のり
  • chapter 1 陸地で発見!
    • 新種との出会いは突然に ババハシリグモ
    • 南の島で見つけた宝石 ベニエリルリゴキブリ
    • アパートの駐車場にいた最強生物 ショウナイチョウメイムシ
    • 光合成も開花もやめた植物 タケシマヤツシロラン
    • 冬虫夏草少年の直感 クサイロコメツキムシタケ
    • さえずりとDNAの違いが導いた発見 コムシクイ・オオムシクイ・メボソムシクイ
  • chapter 2 水辺で発見!
    • 4歳児が発見!? ごま粒大の新種 チゴケスベヨコエビ
    • 魚を採ったらくっついていた! オシリカジリムシ
    • 子どもの頃に抱いた“違和感” オオヨツハモガニ
    • 海を越えた連携プレー カクレマンボウ
    • 幻の新種となった深海魚 エピゴヌス・オカモトイ
    • “ドジョウの泥沼”に踏み込む シノビドジョウ
  • chapter 3 こんなところで発見!?
    • 60年越しののバトン ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス
    • 後輩に手渡されたエレガントな化石 エゾセラス・エレガンス
    • 大掃除中、標本箱から発見!  ニセコウベツブ・ヒラサワツブゲンゴロウ
    • 「Twitter」という学名を持つダニ チョウシハマベダニ・イワドハマベダニ
    • 憧れのカイガラムシはTwitterにいた アイヌホソカタカイガラムシ
    • 博物館での出会いがきっかけに ダイダイマダラウミヘビ
    • 映画のセリフに隠れていた真実 サザエ

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紙の本もいいよね!書籍で買うべき理由

新種を発見してみたい!と思った童心に帰りました。小さい頃に夢見ても、そのまま忘れてしまった方も多いはず。本書を読むと、その頃の想いが新鮮に蘇るとともに、大人になった今なら、現実的なアプローチが取れるかもしれません。

通常どういうプロセスで新種記載にいたるのか。新種だ!と確信・証明するに至った様々な事例の紹介を読むと、まだまだ未記載種も多く、日常のなかにも発見の機会が潜んでいることがわかります。

調査が進んでいない離島に行くとか、大人の経済力で解決する手段もある一方、各執筆者から繰り返し述べられているように、まずはアンテナを張っていることが大事でしょう。

というわけで紙の本で買うべき理由。

  • Twitterよりくわしい。各種10ページくらい割かれている
  • 色々忘れてた。改めてまとまっていると嬉しい
  • 装丁がきれい。プロの仕事

Twitterよりくわしい。各種10ページくらい割かれている

Twitterではスレッドがあるにしろ、やはり書籍のほうが各エピソードくわしく語られています。Twitterは予備知識や文脈が必要な話は省かれがち。各種10ページ近く割かれているので、どの話目当てでも十分な情報が得られるでしょう。

色々忘れてた。改めてまとまっていると嬉しい

それなりにタイムライン追ってたつもりですが、見落とした話や忘れてた話がありました。Twitterって後から探そうとするとなかなか難しい構造もありますし、こうして書籍としてまとまっているのは便利!あれヒットしないな別のキーワードで試してみようみたいなムダとはおさらばです。

装丁がきれい。プロの仕事

表紙に掲載された各種イラスト含め、各掲載種のイラストが新たに起こされています。統一感出すためにはそうなるにしろ、プロによる生物イラスト見るのは眼福。

さらに、そのイラストの使い方が上手。各エピソード冒頭や小口に配置し、色数抑えつつポイント使いされたカラー印刷も控えめながらリズムと統一感を生み出しています。蛍光の黄色とかオレンジとか扱い難しい色だと思うのですが、上品にまとまっています。

人類が知らないことはまだまだ多い

以下の記事で触れたように、長年単一種と思われていたなかに複数種含まれていた例は、よくあります。サザエやキリギリスのように有名種でもあるわけですから、マイナー種では知らないうちに絶滅した生き物も多いことでしょう。

種を記載して別種である、独立種であると分類することは、その生き物の研究を進める第一歩。キリギリスは大まかに東西で分かれましたが、生息地・個体数がいきなり半減したわけで、の保全上も重要です。

新種として分類されたとしても、生態や生活史がわかっていない種もザラ。生物多様性を構成する要素は生態系・種・遺伝子という3つの多様性ですが、予防原則として生態系を保全しておくことが、回り回って持続可能な漁業などに貢献する所以です。

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https://gengo6.com/2023/05/27-10254/feed010254
湿地を作る。湿地を見守る。井の頭公園に見る“かいぼり”の成果と工夫https://gengo6.com/2023/02/02-8605https://gengo6.com/2023/02/02-8605#respondThu, 02 Feb 2023 09:01:02 +0000https://gengo6.com/?p=8605

2/2は「世界湿地の日」ということで湿地の話をしましょう。湿地が陸地になると、そこにいた魚や両生類、ゲンゴロウやタガメなどの水生昆虫は当然いなくなります。そして、湿地は日本各地で消滅し続けています。 吉祥寺にある井の頭公 ... ]]>

2/2は「世界湿地の日」ということで湿地の話をしましょう。湿地が陸地になると、そこにいた魚や両生類、などの水生昆虫は当然いなくなります。そして、湿地は日本各地で消滅し続けています。

吉祥寺にある井の頭公園は、都会にありながら“かいぼり”の後に希少な動植物が戻ってきた好事例。井の頭公園の湿地再生は認定NPO法人「生態工房」が手がけています。

“かいぼり”という一過性のイベントで終わらず、その後の環境改善モニタリングや情報発信、イベントによる地域住民の巻き込みしていく手法は、これから湿地再生したい現場でも大いに参考になるもの。

井の頭公園現地では、ボートで池にくり出したり、周辺の遊歩道から“かいぼり”の成果や、浅場(エコトーン)による湿地再生の工夫などを間近に見ることができます。咲春、訪問したときの様子からご紹介。

池底の水草が覗けるほどきれいになった井の頭公園の池
池底のが覗けるほどきれいになった井の頭公園の池

日本で世界で。消滅する湿地

ラムサール条約によれば、1900年以降に世界の湿地の64%が失われました(参考)。国土地理院によると、日本では明治・大正時代の湿地面積の61.1%が1999年までに失われました。これは琵琶湖の約2倍の広さに相当します。

近年では、高齢化や後継者不足による耕作放棄も目立ちます。田んぼやため池などから構成される里地里山環境も水辺の生き物の重要な生息地です。こうした生産・生活のため定期的・周期的に人の手が入ることで維持されてきた環境を「二次的自然」と呼びます。

例えば、種の保存法「特定第二種」パンフレットでは、両生類、淡水魚類、昆虫類の約7割が二次的自然に生息するとしています。

特定第二種制度の概要
特定第二種制度の概要

耕作放棄された湿地は自然に返っていくからいいことじゃないか、と思うと実はそうではありません。

里地里山が管理されなくなると、田畑で言えば裸地から草原へ、草原から森林へ変化し、やがて原生状態に戻ります。 学校で習う「植生遷移」です。

その変化は想像以上に早く、耕作放棄されて5年もたてば、休耕田は湿地としての機能を失ってしまうと考えられています。そうすると、水田や水路に暮らしていた生物もいなくなります。

井の頭公園の“かいぼり”事例

東京の繁華街、吉祥寺。その一角にある井の頭公園(正式には「井の頭恩賜公園」)は周辺住民の憩いの場として親しまれています。かつてはナミゲンゴロウが生息するほど自然豊かな場所でしたが、“かいぼり”前は、緑色に濁った水の池になっていました。

2014年から3回にわたり池の水を抜く“かいぼり”を行い、水草に覆われた様子が「モネの池のよう」とマスコミに取り上げられた成功事例です。

井の頭公園のかいぼりと湿地再生活動

経緯や内容くわしく説明すると大変なので、当時の報告会の資料など見ていただくとして、井の頭公園では3回にわたるかいぼりのほか、以下の活動を行っています。

  • かいぼり
  • 浅場の整備
  • アメリカの駆除
  • 普及啓発イベントの実施

かいぼりH25 報告会資料集
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000042937.pdf

かいぼりH27 報告会資料集
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000042932.pdf

かいぼり29 報告会資料集
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000042927.pdf

井の頭公園 自然再生の取り組み
井の頭公園 自然再生の取り組み

“かいぼり”するのは何のため?

池底の天日干し
池底の天日干し(大宮公園)

TV番組で有名になった、池の水を全部抜く“かいぼり”。番組の影響で駆除のためというイメージが強くなりましたが、元々は、稲の収穫期後の冬に、ため池の水を抜いて干し、底にたまった泥を取り除いて、ため池にひび割れや水漏れがないか等を点検する作業のことです。

ため池には、落ち葉や枯れた水草、雨で流入した土砂などで、どんどん泥が溜まっていくんですね。管理放棄されたため池で、腰まで埋まった経験ありますが、そうなるともう身動き取れません。定期的に池の水を抜くのには、そうなる前に泥を取り除く役割がありました。

また、鯉やブラックバスなどの外来魚は、在来種を圧迫する存在です。接続している水域との関係もありますが、独立したため池なら、水を抜けば外来魚は根絶できるのが“かいぼり”のメリットのひとつです。

“かいぼり”関係は各所から実践マニュアルが出ているので見てみてください。

「浅場」でエコトーンの整備

井の頭公園の浅場
井の頭公園の浅場

都会の池や水路は岸辺が護岸されていることが多いと思いますが、治水にはよくても生き物を増やすには工夫が必要です。岸からいきなり水深50cm、みたいな環境はあまり良くないんですね。

水深数cmの「浅場」を設け、そこに葦などの水生植物が生えることで、大きな魚が入ってこられないので稚魚が隠れたり、遊泳力がない多くの水生昆虫が増える場所になります。また、それらをとする水鳥なども集まってきます。

こうした、水中と陸上をゆるやかにつなぐ移行帯を「エコトーン」と呼びます。実際、井の頭公園のエコトーンでヒキガエルのオタマジャクシが群れている様子を観察できました。

上尾丸山公園の“かいぼり”事例

井の頭公園の浅場は何箇所か設けられていますが、一つは人通りが多い中央の橋からよく見える場所にあり、地域住民に理解が広がる効果が期待できます。

井の頭公園の浅場説明パネル
井の頭公園の浅場説明パネル
井の頭公園の浅場の説明パネルに見入るカップル
井の頭公園の浅場の説明パネルに見入るカップル

“かいぼり”でも根絶できないアメリカザリガニ

アメリカザリガニは、水草や水生昆虫を食い荒らし、在来種を大きく減らしてしまう侵略的外来種。2023年6月から「条件付特定外来種」として、輸入・売買・放流等が禁止されます。そのアメリカザリガニですが、“かいぼり”の後も駆除が必要なのはどうしてでしょうか。

アメリカザリガニはなんと、数ヶ月池干ししても、地中深くに穴を掘ったりして生き延びてしまいます。その上、取り漏らしがあれば爆発的に増えてまた元の個体数に戻ってしまう、根絶な困難な側面を持っています。「根絶」とは、1匹もいなくなるということです。

こういう根絶困難な種がいるときは、害が一定程度で収まるよう「低密度管理」します。増えるより早く捕獲していくと、個体数の増加を抑えられるという仕組みです。

井の頭公園では、200個の罠を仕かけて継続的に捕獲圧をかけ、アメリカザリガニを低密度に抑え込んでいます。

ただし、半永久的に人員が拘束されてしまうため、どうしても保護したい希少種がいたり、活動を維持できるだけの組織力・資金力がある所だけでできることで、多くの湿地はアメリカザリガニ侵入とともに人知れず壊滅しています。入れないのが、一番です。

普及啓発イベントの実施

なぜ第三者にすぎない私が井の頭公園ウォッチャー的にこうした状況を知っているかというと、関係者の情報発信が上手だからです。池を管理する東京都建設局のページにある「かいぼり新聞」や「井の頭池だより」、あるいは湿地再生を担当している 認定NPO法人 生態工房の公式Facebookページ を見ると、その情報量やイベントの数にびっくりするはず。

例えば、東洋経済オンラインに池の水を抜いたら水鳥がいない「死の池」に、という刺激的な記事が載りました。かいぼりで投棄自転車が200台出てきた逸話などから井の頭公園の事例であることは明らかです。

でも、「かいぼり新聞」や「井の頭池だより」読者であれば、水鳥のモニタリングが毎月行われ、カモ類の種類と羽数を継続的に記録していること、水鳥のカイツブリなんかはかいぼりのたびに数が増え直近2022年は最高値を記録していることを知っているわけです。

井の頭池におけるカイツブリ繁殖数の推移(井の頭池だより12月

都市における“かいぼり”は地域の祭りでありコミュニティの再生でもある

埼玉県大宮市のかいぼりイベントに集まった人たち

東京都の井の頭公園、八王子・長池公園、埼玉県の大宮公園や上尾丸山公園などの“かいぼり”を手がける認定NPO法人生態工房。彼らが現場での作業に加え、これだけ情報発信に力を入れているのはなぜでしょうか。

私が思うに、より多くの現場でより多くの自然環境を再生し、それを維持発展させるには、地域住民の巻き込みが必須だからです。生態工房はプロのノウハウは持っていますが、すべての現場に365日張り付くわけにはいきません。

都市の公園などは開かれた公共地です。無節操な餌やりの抑止や、ゴミや外来種を捨てにくい雰囲気づくりなどは、結局の所直接参加しない人も含めた、地域住民の理解にかかっています。

大宮公園の“かいぼり”について、2022年末の埼玉県知事の会見がよいことを言っていたので、長いですが該当部分貼り付けさせていただきます。

(県知事)改善された水質をより長く維持するためには、船遊池に対して多くの方に愛着をお持ちいただき、保全にも協力いただくことが必要であります。」なのです。

  • かいぼり後の水辺再生・保全活動の核となるボランティアリーダー「大宮池守(いけもり)」40名の育成
  • 一般ボランティア含め300人規模の「大宮公園大掻掘まつり」の開催(上記写真)

県のトップが、これだけ具体的に実施内容を把握し自分の言葉で話せる、すばらしいことですね。

知事記者会見 令和4年10月25日 – 埼玉県

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https://gengo6.com/2023/02/02-8605/feed08605
ゲンゴロウ界最速!9日〜2週で上陸するオオイチモンジシマゲンゴロウ幼虫の飼育方法https://gengo6.com/2022/12/20-9625https://gengo6.com/2022/12/20-9625#respondTue, 20 Dec 2022 14:50:25 +0000https://gengo6.com/?p=9625

オオイチモンジシマゲンゴロウ(長いので通称モンジ)は黒漆に金箔斑紋が入る美麗種。林床の水たまりなどの不安定な水域を好むためか幼虫が9日から2週で上陸するなど、ゲンゴロウ界最速の成長速度を誇ります。繁殖に成功し20匹程度の ... ]]>

オオイチモンジ(長いので通称モンジ)は黒漆に金箔斑紋が入る美麗種。林床の水たまりなどの不安定な水域を好むためかが9日から2週で上陸するなど、界最速の成長速度を誇ります。繁殖に成功し20匹程度の新成虫を得られたので、その飼育方法をまとめました。比較的多産ですがが少ないと脱皮失敗が増えるなど、幼虫飼育にも癖があります。

モンジ幼虫飼育については、まとまった情報が少ないため、”うちではこのパターンでうまく行っている”という情報として共有します。

オオイチモンジシマゲンゴロウの特徴

オオイチモンジシマゲンゴロウ

オオイチモンジシマゲンゴロウ(通称モンジ)は、体長15mm強の中型ゲンゴロウ。頭部から前胸は黄褐色、上翅は黒地に黄褐色の螺鈿斑紋が入る美麗種です。

近縁種にシマゲンゴロウやリュウキュウオオイチモンジシマゲンゴロウがいて、シマゲンゴロウは各地で急減しているものの、リュウキュウオオイチモンジシマゲンゴロウは比較的現地個体数多いように聞いています。

モンジの分布は近畿と関東〜東北にかけてで、平野から低山地の林床の水たまりなどの不安定な水域を好み、各地で減少傾向です。開発や農の影響にくわえ、生息地の孤立化が進んでいると考えられます。国のレッドリストでは絶滅危惧IB類で、2023年から種の保存法「特定第二種」として保護されます(※趣味の飼育は規制対象外)。

モンジ成虫飼育のポイント

モンジ成虫の飼育は、ゲンゴロウ飼育全般と同様で構いません。ただし、いくつか注意点があります。

モンジは吸盤が強力で、オスが容器の壁に張り付いて溺死することがあります。数週使っている容器でも起きることがあり、なかなか対策困難です。飼い始めた所で溺死はショックですから、最低限、新しい容器での飼育は避けた方がよいでしょう。

死してなお張り付くモンジ雄の吸盤
死してなお張り付くモンジ雄の吸盤

次に、比較的カジュアルに飛ぶため蓋は必須で、ちょっとした隙間から脱走することも。飛ぶ回数が多いため、隙間にたどり着いてしまうのでしょう。

水質については、比較的シビアな印象。寿命は1年以上あるはずですが、飼っているとポツポツ死亡します。これは旧成虫の寿命だった可能性も考えられます。

ゲンゴロウ界最速の成長速度がもたらすモンジ幼虫飼育のコツ

モンジ幼虫は、成長が早いことで有名。従来、2週程度で上陸とされてきましたが、2022年に出たふれ昆渡辺さんらの論文で、平均9日で上陸とゲンゴロウ科幼虫の成長速度としては最速であることがわかりました。従来最速とされていた(Eretes sticticus)同様、失われやすい不安定な水域を好む種としての特徴と考えられます。

そして、精神的にはもう慣れましたが、モンジ幼虫はうまくいくまで多産多死で、結構凹みます。

26℃で飼育した結果、および1~3齢幼虫の各成育期間、幼虫が上陸後に蛹を経て新成虫が蛹室から脱出するまでの期間などが明らかになりました。今回飼育した26℃における卵期間は3日でした。全幼虫期間は7~11日(平均9日)であり、環境省版レッドデータブックの記述(14日)よりも短いことがわかりました。ゲンゴロウ科の中で最も幼虫期間が短いとされていたEretes sticticusという種の全幼虫期間は9日であることから、オオイチモンジシマゲンゴロウは、これまで報告されているゲンゴロウ科の中で幼虫期間が最も短い種であると考えられました。

絶滅危惧種オオイチモンジシマゲンゴロウの未成熟期の成育期間を飼育により解明 – 石川県ふれあい昆虫館

モンジの産卵環境

溺死等でオスを失い、オス1メス 3と累代が危ぶまれたことから、冬季の繁殖に挑戦。11月頃から25度程度に保温した所、断続的に幼虫の孵化を確認。上陸済のものと合わせ20匹程度の新成虫を得られる見込みです。

モンジは比較的多産で、数匹の親から15匹以上の幼虫が出現する日もあります。上手な人なら100匹超えも夢ではありません。

卵については、渡辺さんらの論文ではの表面にくわえ、流木やコーキングにも産卵するとしています。私の環境では卵は目視できていませんが、やサンショウモを投入しました。

モンジ幼虫の成長過程

初齢幼虫の出現

2-3mmのモンジ初齢幼虫が親飼育容器にとまっている所。生まれたばかりは白いが、この時点で回収すると体が伸び切っておらず、尾の先が不全になったりする。体に色が付くまで待った方が安全。

モンジ初齢幼虫
モンジ初齢幼虫

解凍した冷凍アカムシを入れておくと、勝手に食べる。内臓が透けるので食べたことがわかり安心。

冷凍アカムシを食べるモンジ初齢幼虫
冷凍アカムシを食べるモンジ初齢幼虫
2齢幼虫の出現

脱皮自体は数分で終わるが、脱皮失敗もよく見聞きする。モンジ幼虫の脱皮失敗は栄養不足・温度不足の兆候。

モンジ幼虫は同じ齢でも体格差出るが、脱皮するごとに頭部が大きくなり、大きな餌を取れるようになる。飼育下では、冷凍アカムシだけで成虫にできる。

モンジ幼虫各齢のサイズ差
モンジ幼虫各齢のサイズ差
3齢幼虫の出現

ちょっと今日は餌を食べてないと思ったら、3齢幼虫に脱皮する。

モンジ3齢幼虫。脱皮直後でまだ色が付いていない。
モンジ3齢幼虫。脱皮直後でまだ色が付いていない。

3齢幼虫になると、コオロギも食べられる。冷凍コオロギは水が汚れやすく脂も出るので、狭い容器の場合掃除しづらい。

コオロギを食べる3齢幼虫

終齢幼虫の上陸と蛹室作成

旺盛な食欲を見せる終齢幼虫だが、餌を取らなくなり上陸の準備を始める。一番確実なサインは上半身の消化管が空になっていること。餌を取っていたり、胸部まで消化管が詰まっている状態なら、上陸はまだである。

上陸前幼虫の消化管が空になっている様子
上陸前幼虫の消化管が空になっている様子

モンジ幼虫は土表に蛹室を作るため、ピートモスの深さは不要。大きさも3-4cm直径のプリンカップで十分。

上陸させたモンジ幼虫
上陸させたモンジ幼虫

蛹室は壁際などに作られる。尾で支えながら屋根を作っていく様子は、ツバメの巣作りのよう。

蛹室を作るモンジ幼虫
蛹室を作るモンジ幼虫

頭部をシャベルのように使って、土塊を押し固めていく

新成虫の誕生

上陸してから10日ほどで新成虫が誕生する。幼虫が出現しだしてから18日目には新成虫が得られる超速である。

モンジの蛹
モンジの蛹
モンジ新成虫の誕生
モンジ新成虫の誕生

モンジ幼虫の飼育環境

モンジ幼虫の飼育環境
モンジ幼虫の飼育環境

通常の繁殖は夏ですが、本記事では冬の繁殖で保温上の制約あったことに注意してください。

30匹近くの幼虫が同時進行する時期もあるため、スペースの節約に工夫が必要です。場所があるなら単純に紙コップを並べてもよいでしょう。私の場合は、100均の製氷皿14区画で初齢から終齢の3齢まで飼育できています。

製氷皿によるモンジ幼虫飼育
製氷皿によるモンジ幼虫飼育

今回は冬のため、成虫飼育環境に幼虫飼育容器を浮かべることで同時に保温しました。室温20度程度では育たない幼虫が多く、25度以上等で安定してきた印象です。

世話としては、朝と夜の2回水換えと餌やりを行います。水深は1〜2cm程度で、足場はなくてもOK。餌は冷凍アカムシを初齢5匹、2齢5-10匹、3齢10-20匹等与えます。同じ齢でもみるみる大きくなり、食欲も増えます。

浅い水深に多量の冷凍アカムシを投入する関係で、早朝から深夜まで一日外出などでは落ちることが増えます。上陸するまで、外泊できません。

モンジ幼虫飼育のコツは、食べ残しが出る前提で多めに餌を与えることです。餌不足だと脱皮失敗などの確率が上がります。脱皮途中で死ぬ、脱皮直後に死ぬ、脱皮翌日に死ぬなど様々です。

モンジ幼虫の上陸タイミングの判断

上陸させたモンジ幼虫
上陸させたモンジ幼虫

ナミゲンでは、上陸タイミングを見逃して落とすことはほとんどありませんが、モンジ幼虫では1−1.5日上陸判断遅いと死んでしまいます。孵化日がずれていくので、1匹上陸したら後は流れで判断できますが、最初の終齢幼虫落としてしまうとショックなものです。

アドバイスいただいてわかってきたモンジ上陸の判断要素は以下です。特に「上半身の消化管が空になる」に至った個体は上陸させた方がよいでしょう。

  • 餌を食べなくなる
  • 上半身の消化管が空になる
  • 排泄物で水が汚れる(餌が傷んだことによる汚れと異なる)
  • 餌に無関心になる(眼の前で餌を動かしても大顎を開かなくなる)
  • 縁で足掻いたり跳ねるなどの”上陸仕草”を見せる(見せないこともある)

下記動画では、縁で足掻く上陸仕草にくわえ、上半身が白く消化管が空になっている様子が確認できます。

モンジ幼虫につかえる餌の種類

モンジ幼虫はボウフラを好みますが、安定して確保するのは困難。飼育下では冷凍アカムシやコオロギが用いられます。冷凍アカムシだけだと小さくなる話も聞きますが、きちんと計測していません。

冷凍アカムシでも、メーカーやロットによる当たり外れがあるようです。キョーリンUVアカムシでは全然2令にできず、教えてもらって「こだわりあかむし」にしてから好調です。通販では冷凍送料がかかるため、何枚かまとめて購入した方がよいでしょう。

なお、冷凍アカムシは溶けやすく、長期保存すると冷凍焼けして痛みます。シーズンごとに廃棄するとよさそうです。

キョーリンの冷凍アカムシは小分けブロックになっていますが、「こだわりあかむし」は1枚板。自分で適宜割って回答します。幼虫の数や成長具合次第ですが、幼虫10-20匹であれば都度1-2ブロック、日に2-4ブロックの消費ペースでしょう。

「こだわりあかむし」の板
「こだわりあかむし」の板
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食用ゲンゴロウの味や栄養https://gengo6.com/2022/12/05-5103https://gengo6.com/2022/12/05-5103#respondSun, 04 Dec 2022 15:50:30 +0000https://gengo6.com/?p=5103

昨今の昆虫食ではタガメと並びポピュラーなゲンゴロウ。日本で流通する昆虫食のゲンゴロウは、東南アジアから輸入されたもの。複数種のゲンゴロウのほかガムシなどが混じっていることが知られています。食用ゲンゴロウの味や栄養について ... ]]>

昨今のではと並びポピュラーな。日本で流通する昆虫食のゲンゴロウは、東南アジアから輸入されたもの。複数種のゲンゴロウのほかなどが混じっていることが知られています。食用ゲンゴロウの味や栄養について見ていきます。

現在流通している昆虫食のゲンゴロウについて

タガメにしろゲンゴロウにしろ、昆虫食として流通しているものは東南アジア産です。東南アジアの屋台で山盛りになっている写真を見た方も多いでしょう。

タガメやゲンゴロウは日本では絶滅危惧種になってしまいましたが、東南アジアにはまだ、食用にできるくらい豊富にいます。金銭的な理由で農が普及していなかったり、侵略的が侵入していなかったりといった要因が考えられます。

東南アジアに元々昆虫食の文化があったので、採集したものをパッケージングして日本に輸入する商売がなりたっているわけです。ですから、「食用ゲンゴロウ」という特別な種がいるわけではなく、また野生個体を採集しています。

昆虫食のゲンゴロウのパッケージに含まれる種

日本にもいる・ヒメフチゲンゴロウ・フチトリゲンゴロウは東南アジアにも生息しています。日本では南西諸島等に生息しますが、これらは南方種で東南アジアの方がたくさん生息しています。

現地では種を区別しないようで、昆虫食のゲンゴロウには、これらに加えガムシやニセフチトリ(guerini)と呼ばれるフチトリゲンゴロウの近縁種が含まれています。近年のDNA分析では、このほかに未記載の大型種もいるようです。

外観から判断難しい種では最終的に交尾器見る必要ありますが、2.5cm程度で腹面全体が黒いコガタノゲンゴロウ、3cm程度で体に厚みがあり、腹面の半分程度が黄褐色のヒメフチゲンゴロウ、3.5cm以上で体に厚みがあり腹面全体が黒褐色暗赤褐色なのはフチトリゲンゴロウあるいはニセフチトリ(guerini)と区別できます。

以下の事例は大型種が多い方で、SNSで見ていると全部ガムシの例も頻繁に見かけます。ゲンゴロウは肉食、大型水生昆虫のガムシは草食メインですから、味も変わってくるのか気になる所です。

昆虫食のゲンゴロウ
複数種が入り交じる昆虫食のゲンゴロウのパッケージ

食用ゲンゴロウの味や栄養は?

結論からいうと、私にはゲンゴロウとガムシの味の違いはつきませんでした。味は塩ゆで等あるいは素揚げ等の調理方法に依存するようで、食材独自の味はなく、ぼそぼそした食感の方が気になりました。

味については、防御物質の白い液体が貯蔵されている前胸部は苦いという声も聞きますが、自分は感じませんでした。個体あるいは調理方法によるのかも。

食用ゲンゴロウの栄養はたんぱく質がメインで、昆虫食メーカーの栄養成分表によると1パッケージ15gに対し50〜100kcalなのでカロリーはほとんどないといって良いでしょう。

ヒメフチゲンゴロウの特定第二種指定で生じる昆虫食の保護種混入問題

種の保存法の保護種は、売買が禁止されます。保護種を販売した法人は1億円以下の罰金と非常に高額です。

昆虫食にも頻繁に混入するヒメフチゲンゴロウですが、2023年から種の保存法「特定第二種」に指定される見込みです。見込みといっても候補種はほぼ指定されるので、既定路線といってよいでしょう。

ゲンゴロウですらないガムシが混入するくらいなので、現地では保護種かどうかなど区別していません。昆虫食はTVやSNS、You Tubeにアップされて証拠が残ることが多くなっています。さすがに、TVで流れた違法行為をそのままにはできませんから、何らかの処置が取られるものと思います。

国と協議の上、販売停止した昆虫食メーカーもあり、環境省側もすでに把握しています。

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