2025年4月に衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」がはじまると聞いて、勘違いしてしまった人が多そうです。野外のフィールドでは電波が入らないこともよくあり、衛星通信でスマホが使えれば便利です。しかし、現状はSMSや位置情報の送信、テキストベースのGeminiなど、au Starlink Directでデータ通信はできないことに注意が必要です。
ちょうど、Starlink miniの導入を検討していて、衛星通信についてはチョットクワシイので解説します。
auの衛星通信「Starlink Direct」とは?
KDDIは2025年4月10日から「au Starlink Direct」というサービスを開始しました。これは、SpaceXのStarlink衛星を利用して、通常の携帯電話の電波が届かないエリアでも通信できるサービスです。
サービス開始時期と対応機種
サービスは2025年4月10日に開始され、iPhone 14シリーズ以降や特定のAndroidスマートフォンなど、計50機種が対応しています。特別なアプリやハードウェアの追加は不要です。
- 対応機種:iPhone 14以降、Galaxy S22以降、Google Pixel 7以降など
- 追加設備:不要(既存のスマートフォンでそのまま利用可能)
- サービス提供:KDDIとSpaceXの提携によるもの
ということは、スターリンクで必要だったアンテナなしにどこでも通信可能ってこと?と夢が広がりますが…
えっデータ通信はできないの?解散!!
「電波が届かないところでもつながる」と聞くとすごそうですが、「au Starlink Direct」ではデータ通信できず、テキストベースの通信に限定されています。つまり、GoogleマップやTwitter、その他普段のアプリはほとんど使えません。解散!
できること
- テキストメッセージ送受信
- 現在地の位置情報共有※
- AndroidでGeminiによる調べものなど※
- 緊急地震速報/津波警報/Jアラート受信
- ※テキストメッセージアプリ経由
できないこと
- データ通信
- 音声通信
なぜ今回のサービスではデータ通信ができないのか


既存のスマホでOKなら、スターリンクの大仰なアンテナはなんだったのという話になります。そのあたりの仕組みをもう少し掘り下げてみましょう。
衛星が頭上を通過する数分間しか通信できない]
Starlink衛星は上空約550kmを周回していて多数の衛星で地球の全域をカバーする仕組みであることはご存じの方も多いでしょう。ここでピンと来た方もいると思いますが、低軌道で周回しているということは、一つの衛星がカバーできるエリアは小さくなります。一つの衛星が上空にある数分しか通信できないため、大容量のデータをやりとりすることが難しいのです。


スマホのアンテナでは高速移動する衛星を追跡できない
通常のスターリンクでは高速で上空を通過する衛星を次々切り替えて通信していますが、携帯のアンテナではそういう器用なことはできません。
また、衛星の数と密度の問題もあります。携帯通信可能な衛星は、携帯基地局を積み込んだ一部の衛星に限られています。将来、こうした衛星の密度が高まれば、データ通信も解禁される可能性があります。
FCCは2022年末、SpaceXに対して7,500基の第2世代Starlink衛星の配備を承認しました。このうち2,016基にDirect To Cellシステム(※スターリンク側のサービス名)をサポートする機器が搭載される予定です。衛星密度が高まれば、より安定したサービスが期待できます。
スマホの送信電力とアンテナ性能の限界
衛星通信では、上りと下り(ダウンロード)両方の通信が発生します。特に上りの場合、地上基地局なら数100mから1km程度で済む所、上空550kmの衛星まで電波を飛ばす必要があります。これは、既存の携帯にも可能なのでしょうか。
結論としては、送信の出力を上げるか、衛星側のアンテナが受信能力を上げる必要があります。
現状できるのはテキストメッセージのみ
これらの技術的制約から、現状ではテキストメッセージの送受信と緊急情報の受信のみに対応しています。テキストメッセージは数キロバイト程度の小さなデータであり、短時間の通信でも送受信が可能です。
まとめ
スターリンク回線を利用するauの衛星通信「Starlink Direct」では、通信量が少ないテキストベースのサービスに限定されています。音声通信やデータ通信はできないため、いわゆるスターリンク的なスマホ利用はできません。
しかし、スターリンクでは早ければ数年後にはデータ通信も解禁するとしていて、将来的には利用できる可能性があります。