タガメは魅力的な種ですが、数を減らしているため身近に見る機会が減っています。さまざまな角度からのタガメ写真や、拡大画像を通じて細部を確認してみましょう。
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Eng ver. Giant Water Bug Stock Photos – Diving Beetle and Giant Water Bug breeding
タガメ成虫の写真
口吻に水カビが付いています。飼育下ではよくありますが、死ぬほどの影響はないようです。
タガメの交尾・産卵
タガメは繁殖期になると盛んに移動し、交尾相手を探します。雄は水面を揺らすポンピングで雌を呼び、交尾に至ります。
交尾中のタガメ雄はジョジョ立ちっぽい謎ポーズ。
タガメの交尾は産卵中も断続的に行われます。雄は支柱を降りたり登ったりしながら、何度も交尾します。
タガメの交尾器。何がどうなっているのかわかりませんw。
タガメは泡を作りながらそのなかに産卵しますが、この泡は産卵後しばらくすると消えてしまいます。接着用の物体はまた別にあるようです。
タガメの場合、上から下に産卵していきます。
一個黒ずんでいるのは無精卵っぽいですね。タガメの卵はすべてが孵化するわけではありません。孵化率5-7割くらいのこともあります。
タガメ雌による卵塊破壊
ところで、タガメ雌による卵塊破壊は飼育下では頻繁に見られます。卵塊(と保護する雄)を隔離しない限り、まず破壊されると言ってよいでしょう。
卵塊を襲う雌と保護する雄が争って支柱を倒してしまいました。その後、雌が卵を吸って栄養補給しています。最初は雄も抵抗しますが、雌の方が体格が大きいため、追い払われてしまうことが多いようです。
番外編。産卵中のタガメペアと、ドジョウを食べるタガメというカオスな絵。タガメは周りが騒がしいと餌を横取りされないよう水上で餌を食べることがあるのですが、産卵中は雄が登ったり降りたり動き回るためこういう状況になったものかと思います。
タガメ卵塊と孵化
タガメの雄が卵塊を保護する習性はよく知られていますが、四六時中張り付いているわけではありません。支柱の根元などにいて、刺激があると登ってきたりします。
水生昆虫と言っても、タガメは完全に水中に適応しているわけではなく、卵も水上に産みます。また、卵は給水しないと干からびて孵化しません。雄または人間が給水することで発生が進みます。
タガメの卵は基本的に日毎に膨らんでいきます。しぼんだ卵は傷んだ物です。
タガメの卵は産卵直後は緑色で、そのうち茶褐色の筋が出てきます。上の方から順番に産み付けるため、こうしたグラデーションが出ます。
タガメの孵化と言えばこの構図!という写真ですが、実はタガメ幼虫は必ず一斉孵化するわけではありません。飼育下では照明の当たり具合で発生の進み具合に差が出るのか、パラパラと孵化する場合もあります。
孵化したタガメ幼虫は水中に落下します。色がまだ黄色いので、まだ生まれた直後ですね。数時間後には1令幼虫特有の縞々模様が浮き出ます。
タガメ幼虫の写真
タガメの幼虫は令ごとに色や模様の変化が大きいのも特徴です。特に1令は縞々の黒褐色で、2令以降の緑色系と異なります。
タガメは早く大きく成長するため、いきなり体長の2倍以上の餌を食べます。また、暴れる餌に複数の幼虫が取り付く様子もよく観察されます。
メダカを襲うタガメ1令幼虫。腹がパンパンに膨れています。タガメ1・2令幼虫が死んでしまう理由として、50匹以上生まれるので餌が行き渡っていない個体が出ることが挙げられます。腹部がペラペラで薄い幼虫は餌が捕れていません。
脱皮直後の幼虫はエメラルドグリーンに輝きますが、しばらくすると落ち着いた色に戻ります。
タガメ幼虫を個別飼育と書いてある本もありますが、若齢幼虫は集団飼育でOKです。お互い重なり合う光景も頻繁で、積極的には共食いしない印象です。
餌不足の場合、若齢幼虫のうちは単純に死亡し、4・5令くらいになると共食いが発生する傾向があります。
2令幼虫では瓜実型でしたが、3令になると横幅が広がります。
3令幼虫くらいは体も大きくなり個体数もまだ多いので、飼育容器を埋め尽くす時期です。
ゲンゴロウ幼虫の場合体節が伸びていきますが、タガメの場合成長するに従って上下の厚みが増し、水筒のように膨らんで最後に脱皮を迎えます。下の写真はすでに前胸が割れて脱皮が始まった所です。
タガメ幼虫の脱皮では、脚がきれいに抜けるかがポイントです。脚先が引っかかるなどして不全になった幼虫はほぼ生き残れません。
タガメと言えば前脚の爪ですが、幼虫時代は2本爪です。結構鋭い。
タガメ幼虫は腹部の繊毛に空気を貯めて呼吸しています。飼育下では、呼吸不全で死ぬ個体も結構多いです。フィルターなどで水換え頻度を落とす工夫も有効です。
タガメの気門は幼虫時代は腹部、成虫になると背中に移動します。腹の縁に近い方の黒い点それぞれが気門です。
タガメの羽根の部分は令ごとに大きくなるのではなく、5令になると急に目立つように張り出します。
タガメは体外消化で、餌の体内に消化液を注入して溶かします。口は自在に動きます。
タガメの5令幼虫は、羽化が近づくと赤褐色に変化します。
これは体格的に雌ですね。タガメが5令幼虫になると体格差が出てきて雄雌判断できるようになります。
タガメの羽化写真
タガメは孵化してから40日ほどで成虫になります。タガメ5令幼虫が羽化する様子を観察!20分くらいでタガメの新成虫が誕生します。
写真は、背中が割れ脱皮を始めた5令幼虫
体を震わせながら上半身を抜き出します。
脱皮と並行して羽根を伸ばします。
タガメは背中と羽根の間に空気を貯めて呼吸します。そのための繊毛が背中には密集しています。
しばらく淡い色をしていますが、だんだん濃い色になります。数日は体が柔らかいままです。