脱皮を繰り返してグングン成長したタガメ幼虫は、いよいよ羽化を迎えます。タガメ5令幼虫が羽化する様子を観察!20分くらいでタガメの新成虫が誕生します。
タガメの成長過程
6月下旬ころから出現したタガメ幼虫は、約40日で成虫になります。4回の脱皮を経て終齢の5令幼虫になると、10日ほどで体色が赤くなり、羽化への準備を開始します。
体が赤くなると羽化間近!
タガメの終齢は5令幼虫ですが、5令になると羽根が急に大きくなります。また、小さい頃のタガメは外観からの雌雄判別が困難ですが、5令になると体格が大きいメスと小さめのオスに分かれてきます。
餌ですが、4-5令になると金魚や鯉仔などを日に数匹食べます。タガメは集団飼育しても積極的には共食いしませんが、餌が切れると起きうるので注意しましょう。
十分餌を取った幼虫は、体色が赤褐色に変わり食欲が落ちてきます。これが羽化間近のサインです。
羽化が近くなった幼虫は草かげに隠れてじっとすることが多くなりますが、羽化直前になると開けた水面に出てくるように思います。羽化する時間帯は不明で夜の個体もいれば、日中の個体もいます。
写真・動画で見るタガメ羽化の流れ
ゲンゴロウやガムシは地中で蛹を作り完全変態しますが、コオイムシやタガメ、トンボなどは蛹を作りません。またトンボでは水上にとまって羽化しますが、タガメの場合水面でそのまま羽化します。
水草などに捕まって静止したタガメ幼虫は、背中が割れ羽化を開始します。この辺りは、セミやトンボと同じですね。
体を脈動させながら、徐々にせり出します。
タガメの羽化。背中に毛が密集していますが、水中では羽根と背中の間に空気を蓄えています。 pic.twitter.com/h2emyyzyru
— ゲンゴロウ飼育ブログ (@gengo6com) December 15, 2020
タガメの羽化で興味深いのは、羽根をどう処理するかです。たとえばセミやトンボでは足を抜き出して殻に掴まった後、腹や羽根を伸ばします。この場合、脚が固まるまで待つ制約が発生します。
一方タガメの場合、体を抜き出しながら羽根も並行して伸ばします。
羽化の際は普段は隠れている背中が覗けます。繊毛が密集していますね!タガメ幼虫は、腹部の繊毛に空気を貯めますが、成虫では背中と羽根の間に貯める形に移行します。気門の位置も腹から背中に移動するようです。
写真では、隙間から水が侵入しないよう羽根をロックする溝も見えますね。
引き続き、羽根を伸ばすタガメ幼虫。仕組みはわかりませんが、背中側に水は侵入しないようです。
最後に脚を抜くとともに、羽根の合わせ目を閉じ、体が固まるのを待ちます。
タガメ新成虫の誕生
写真は両方タガメの新成虫です。脱皮途中は金色でしたが、だんだん茶色に変わってきます。色が濃くなっても一週間程度体が柔らかい状態が続きます。持とうとするとふにゃっとした触感でびっくりします。
新成虫は数日して体が固まると摂食を開始し、冬に向けて栄養を蓄えた後、冬眠に向かいます。飼育下で日照時間や水温の条件が維持されると、新成虫でも産卵することがあるので注意しましょう。