タガメの特徴

野生のタガメ

の特徴を形態的・生態的に見ていきます。タガメは6cm強に達する日本最大の水生昆虫で、水中に潜みカエルや小魚を捕らえます。タガメの生態的な特徴として有名なのは、オスが塊を保護する習性。農に弱く、1980年代までに日本各地で地域絶滅が報告され、2020年に種の保存法「特定第二種」に指定された保護種です。

【特集】タガメの飼育方法

日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や、交尾から繁殖、の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。

タガメという昆虫

タガメは世界に数十種生息する大型水生昆虫。南米に生息する世界最大種ナンベイオオタガメは10cmを超える。

日本に生息するタガメは、カメムシ目科タガメ亜科に分類され、学名はKirkaldyia deyrolli。従来、世界の多数種が属するLethocerus deyrolliとされていたが、体格に比べて前脚が大きいなどの特徴からKirkaldyia属として独立した。日本ではLethocerus属をタイワンタガメ属、Kirkaldyia属をタガメ属と訳す。

以下、特に注記がない場合Kirkaldyia deyrolliのことを指す。

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右のタイワンタガメと比べると、体格では小柄な日本のタガメの方が、たくましい前脚を持っている。また、タイワンタガメ属の方が幅広い後ろ脚を持つことも外見的な特徴。

タガメとタイワンタガメの違い
タガメとタイワンタガメ

タガメの特徴

タガメはオスで55mm、メスで65mm程度の大型水生昆虫。メスの方ががっちりした体格で10mmほど大きく、オスが60mmに達することはほぼない。色は茶褐色から灰褐色。先端に鋭い爪が生えた鎌状のたくましい前脚を持ち、獲物を捕らえて食べる。

甲羅干しするタガメ
甲羅干しするタガメ

タガメの中脚・後脚には遊泳毛が生え、泳ぐのに役立つ。中脚・後脚にも跗節があり、植物や杭を登って甲羅干ししたり産卵できる。

カメムシの仲間らしく、セミやカメムシのようなストロー状の口吻を持ち、これを獲物に突き刺して毒液・消化液を注射して獲物が動けなくなったあと、消化して食べる。

タガメにエラはなく、短い呼吸管を使って水面から空気を取り入れ、翅の下に貯める。

タガメの生態的な特徴

タガメのライフサイクル

タガメのライフサイクル。春、冬眠から覚めた成虫は、初夏に産卵し、生まれた幼虫は5令まで加齢後、成虫になる。生まれてから成虫になるまでは、飼育下で約40日。新成虫は11月頃には水辺から姿を消し、落ち葉の下などで陸上越冬して春を待つ。コオイムシやも陸上越冬するが、水路から水がなくなったり、氷が張ったりすることへの対応と考えられる。

タガメの生息環境・生息地

タガメは比較的水深が浅い田んぼやその脇の水路、ため池などに生息している。こうした人の手が入ることで維持される環境を「二次的自然」と呼ぶ。

タガメは水生昆虫のなかでも農薬に特に弱く、照明に引き寄せられる「走行性」が強いという特徴がある。昔は都市近郊でも見られたが、農薬や水銀灯の影響で1980年までに各地で地域絶滅が報告された。

現在は平野部ではほ見られず、丘陵地・低山地などで命をつないでいる。そうした環境にもゴルフ場やソーラーパネルなどの開発、耕作放棄による湿地の消滅、ザリガニの侵入などの脅威が迫っている。

Kirkaldyia deyrolli in the wild 関東のタガメ生息地で野生個体と出会う

タガメの食べ物・天敵

タガメの食べ物は、成虫ではカエルや小魚、幼虫ではやオタマジャクシなどを餌としている。タガメの食べ物の特徴は生き餌が必要なことで、飼育下では金魚やドジョウなどが用いられる。

タガメの天敵はバスや鯉などの魚類、大型で何でも食べるウシガエル、サギなどの鳥類、生息環境を壊すアメリカザリガニなど。侵略的のバス・ウシガエル・アメリカザリガニはいずれも特定外来生物に指定済あるいは指定が検討されている。成長すれば敵が減るタガメも、若齢幼虫ではタイコウチによく捕らえられている報告がある。

餌を待ち構えるタガメ タガメの「食べ物」は?水辺の王者は何を食べているか タガメ2令幼虫 タガメにも天敵はいる?幼虫時代は捕食される側!

タガメの個体数・絶滅危惧種の指定状況

タガメは東京・神奈川・四国で絶滅判定されているほか、全国的に数が減少し、2020年に種の保存法「特定第二種」の保護種になった。ヤフオクを主とするネットオークションで卵塊の売買があり、減少圧につながっていると評価されたが、規制後の売買は消滅している。

北関東には広く薄く生息し、飛来した個体を市民が目撃することもある。元々生息密度が薄い生物で、多産地といえるほど大量にいる場所は少ない。

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タガメは“飛ぶ”か

タガメは法で保護される絶滅危惧種でありながら、民家や灯火に飛来し、特に虫に詳しくない一般市民にも目撃されている。これは前述したように繁殖期には盛んに飛翔し、数km移動する生態と、光に集まる「走行性」が高い特徴による。

しかし、タガメは飛翔に適した体型をしているとは言えず、こうして飛来した個体は水辺に戻れず干からびたり、鳥に食べられて死んでしまう。見つけたら、流れがない緩やかな水辺に戻してやると良い。

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タガメの寿命

タガメの寿命を数年とする記述もあるが、繁殖に参加した個体は飼育下ではほぼ1年以内に死亡する。飼育下でも数年生きた事例は複数見かけるので、温度変化が少ないところで繁殖に参加せず個別飼育するなど、負担がかからない飼育環境であれば、長生きする可能性がある。

老齢個体では、動かない脚が出たり、跗節が取れたり、水に浮いたままの時間が長くなるなどの変化が見られる。水に浮いたままの個体の多くは、数日後に死亡する。

タガメ冬眠 タガメの寿命は1年?2年?

タガメに似た虫

コオイムシ・タイコウチ・がタガメと同じ水生カメムシで、間違えられることがある。

鎌状の前脚を持ち、獲物を捕らえて口吻を突き刺し消化する生態はタガメと似ているが、体型や大きさが異なる別種。

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タイコウチとミズカマキリ
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