タガメ幼虫の飼育環境について。卵から生まれる場合、50匹以上の幼虫が一斉に孵化することになり、餌を含め飼育環境を整える必要があります。大雑把に言えば集団飼育できる若齢幼虫と飼育密度を落とし共食いを避ける4・5令幼虫の段階があります。タガメ幼虫を無事成虫に育てるには?
日本最大の水生昆虫タガメ。成虫の飼育方法や、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法について詳しくはこちらの特集もご覧ください。
タガメ幼虫の餌と頻度
野生のタガメ幼虫は、オタマジャクシを主食としていますが、農薬の影響がないオタマジャクシを大量に入手できる環境の方は少ないと思います。
またゲンゴロウと異なりコオロギには興味を示しませんので、小魚を与える必要があります。1-3令ではメダカ、食欲が増す4-5令では金魚(小金)や鯉仔、ドジョウなどが選択肢となります。
メダカは一年中流通していますが、小金は6月以降安くなり、選別落ちした鯉仔が出てくるのも6月以降なので、あまり早く繁殖させると餌代が高くなります。
餌の量としては1令でメダカ2日に1匹、2-3令で一日1-2匹換算で与えればOKです。最終的に5令では日に数匹小金を食べるくらいの食欲を見せます。
タガメに関するFAQで書いたように、すべての餌を購入で賄った場合、1卵塊あたり5000円〜1万円程度のエサ代がかかります。シーズン数回産卵するので、幼虫のエサ代だけで数万円です。
タガメ幼虫の飼育方法
タガメ幼虫を育てるには、野外個体を数匹回収してくる場合と、卵塊から生まれる場合があります。卵塊の場合、50匹以上一斉孵化してくることになりますが、産卵から孵化まで10日程度あるので、その間に餌や飼育容器の準備をすればOKでしょう。
タガメ1・2令幼虫は、数cmの水を張った容器に餌となるオタマジャクシやメダカを入れ、食べ残しを取り除きつつ毎日水換えします。足場としてオオカナダモなど数本入れておけばじっとしています。
ゲンゴロウと異なり、タガメはコオロギには興味を示しません。餌はオタマジャクシか小魚になりますが、農薬に弱い特性からメダカを購入するのが安全でしょう。1-2令のうちは、暴れるメダカに複数匹が取り付く光景が見られます。
タガメ1-2令幼虫の場合、栄養不足の幼虫は共食いすることなく単純に死亡していきます。数卵塊育てることを考慮して個体数を抑えるなら餌を少なめにする、あるいは数グループに分けて飼育するなどの方法が考えられます。
浅型容器によるタガメの飼育例
タガメ幼虫は基本的に水面近くにいるので、水深は不要です。浅い容器ならなんでもOKで、水上に黒い糞尿を飛ばすので蓋は必須です。この頃はまだきれいですね…
一時期キッチンペーパーで蓋していましたが、数日でこのくらい汚れます。
タガメ3令幼虫飼育環境。幼虫20匹メダカ40匹くらい。2日分の餌を投入した状況。
タガメ4令飼育環境。メダカの死骸を終日放置すると水が白濁してきます。濾過がない場合、水換えは毎日必須。
タガメ5令飼育環境。餌は小赤に移行しました。この容器で幼虫は10匹程度。呼吸不全による死亡例が増えたので、足場を色々入れてあります。羽根の付け根が黄色くなりだした個体はもうすぐ羽化です。
DAISOシューズケースを用いる飼育容器例
DAISOのシューズケースは透明度が高く、適度なサイズで安いので、爬虫類飼育界隈ではよく使われています。何卵塊目からか私もDAISOのシューズケースに移行しました。
浅型容器の弱点は濾過ができないことです。その点DAISOのシューズケースは高さがあるので、水作の浅型「ニューフラワーDX」に必要な水深を確保できます。
タガメ幼虫は水換え直後に苦しみだして大量死する例があり、水換え頻度を減らしたい都合があります。それでも4令くらいになると餌の量が増えるので、1-2日おきに水換え必要です。
タガメ幼虫は糞尿を水上に飛ばすので蓋が必須ですが、エアホースを登って脱走なども考えられるため、きっちり蓋を閉めたい所です。ドリルで適当に穴を開けて使用しています。
飼育容器には、濾過装置を入れる分4-5cm水深を設けますが、これで1-5令すべて大丈夫でした。
下記の個体は、赤褐色になっていて羽化間近ですね。幼虫側は濾過装置を特に意識していないようです。
タガメ幼虫の飼育環境についてのまとめ
私の場合はデスクの片隅で育てているので、ベランダが大きいとかガレージがあるとか、環境が異なれば色々な飼育環境が考えられます。
タガメの繁殖方法は確立されていますが、エサ代や多大な手間がかかることがハードルです。飼育に取り組まれている方なら、死亡率を押さえつつ省力化する工夫をされていることと思います。
今の所、DAISOシューズケースによる飼育に落ち着いていますが、ほかにこんなやり方しているよ!という話があれば教えていただければありがたいです。