タガメが卵塊を壊す習性には、メスが交尾相手を確保する目的があります。飼育下でタガメを集団飼育していると、卵塊破壊は頻繁に起きます。卵塊を保護するため、オスごと支柱を隔離しましょう。
日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。
タガメのメスが卵を破壊する様子
タガメのオスが卵塊を守る習性はよく知られていますが、これには給水と外敵からの保護の2つの目的があります。オスがいない卵塊は孵化しないほど、給水は大事です。タガメの卵は大きいため、酸素を得る表面積的に、水没していると厳しいとされています。そのため、オスが水中と行き来して給水します。
一方外敵には、タガメのメスも含まれています。タガメはオスが7〜10日ほど卵塊を保護しますが、その間交尾しないため、メスにとっては繁殖相手が減ることになります。生息密度が低いタガメの場合、卵塊を破壊して諦めたオスと交尾することが、個体が遺伝子を残すための戦略となっているのです。
![卵塊を守るタガメのオス](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20210603_013212.jpg)
![卵塊を守るタガメのオス](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20210603_013212.jpg)
オスも応戦しますが、メスの方が体格が大きいため追い払われてしまいます。その後メスは卵塊を破壊したり、栄養にしたりします。
![卵塊を襲うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/Egy_0OOUMAAgEvD.jpg)
![卵塊を襲うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/Egy_0OOUMAAgEvD.jpg)
支柱を倒すほど争った後、栄養にしてしまうメス。
![支柱を倒して卵塊を奪うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/P6020336-2.jpg)
![支柱を倒して卵塊を奪うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/P6020336-2.jpg)
![卵塊を襲うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20200719_231712.jpg)
![卵塊を襲うタガメ](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20200719_231712.jpg)
集団飼育している卵塊を隔離する
こうした卵の破壊を避けるには、支柱ごとタガメのオスを隔離しましょう。省スペースで済ませるにはオスを引き離してしまうのも一つの方法です。タガメの卵塊は、日に数回人間が霧吹きすることでも孵化します。
![オスごと隔離したタガメの卵塊。奥にももう一組いる。](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20210603_193229_2.jpg)
![オスごと隔離したタガメの卵塊。奥にももう一組いる。](https://gengo6.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_20210603_193229_2.jpg)
それから、なぜこんなに卵塊破壊を許しているか、ということですが、繁殖期のメスは交尾相手を求めて容器中を動き回り、支柱という支柱を上り下りするため、集団飼育だといずれ見つかってしまいます。
また、シーズン3-4回産卵するため、メスが複数いるとスペースの確保が間に合わないことがあります。
後は、交尾相手を得るためなのに、のんきに卵を食べていてよいのか、という疑問が湧きます。これについては、卵塊から引き離されたオスが諦めるには1-2日必要なことと、止水域であればオスがメスを呼ぶために水面を揺らす「ポンピング」は数mから数十m届くためペアとして成立するのだろうと思います。