タガメはなぜ卵を壊すのか?

卵塊を守るタガメのオス

塊を壊す習性には、メスが交尾相手を確保する目的があります。下でタガメを集団飼育していると、卵塊破壊は頻繁に起きます。卵塊を保護するため、オスごと支柱を隔離しましょう。

【特集】タガメの飼育方法

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タガメのメスが卵を破壊する様子

タガメのオスが卵塊を守る習性はよく知られていますが、これには給水と外敵からの保護の2つの目的があります。オスがいない卵塊は孵化しないほど、給水は大事です。タガメの卵は大きいため、酸素を得る表面積的に、水没していると厳しいとされています。そのため、オスが水中と行き来して給水します。

一方外敵には、タガメのメスも含まれています。タガメはオスが7〜10日ほど卵塊を保護しますが、その間交尾しないため、メスにとっては繁殖相手が減ることになります。生息密度が低いタガメの場合、卵塊を破壊して諦めたオスと交尾することが、個体が遺伝子を残すための戦略となっているのです。

卵塊を守るタガメのオス
卵塊を守るタガメのオス

オスも応戦しますが、メスの方が体格が大きいため追い払われてしまいます。その後メスは卵塊を破壊したり、栄養にしたりします。

卵塊を襲うタガメ
卵塊を襲うタガメ

支柱を倒すほど争った後、栄養にしてしまうメス。

支柱を倒して卵塊を奪うタガメ
支柱を倒して卵塊を奪うタガメ
卵塊を襲うタガメ
破壊した卵を食べるタガメ

集団飼育している卵塊を隔離する

こうした卵の破壊を避けるには、支柱ごとタガメのオスを隔離しましょう。省スペースで済ませるにはオスを引き離してしまうのも一つの方法です。タガメの卵塊は、日に数回人間が霧吹きすることでも孵化します。

オスごと隔離したタガメの卵塊。奥にももう一組いる。
オスごと隔離したタガメの卵塊。奥にももう一組いる。

それから、なぜこんなに卵塊破壊を許しているか、ということですが、繁殖期のメスは交尾相手を求めて容器中を動き回り、支柱という支柱を上り下りするため、集団飼育だといずれ見つかってしまいます。

また、シーズン3-4回産卵するため、メスが複数いるとスペースの確保が間に合わないことがあります。

後は、交尾相手を得るためなのに、のんきに卵を食べていてよいのか、という疑問が湧きます。これについては、卵塊から引き離されたオスが諦めるには1-2日必要なことと、止水域であればオスがメスを呼ぶために水面を揺らす「ポンピング」は数mから数十m届くためペアとして成立するのだろうと思います。

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