大型水生昆虫のタガメは、生き餌が基本で餌代がかかります。繁殖も視野に複数飼育するなら、それなりの覚悟が必要です。タガメの餌の選択肢とコストを比較してみましょう。
※タガメは2020年に種の保存法の「特定第ニ種」に指定され、販売目的の捕獲・譲渡が禁止されました。新たに売買で入手することはできませんのでご注意ください。
日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。
タガメの餌の条件
タガメは幼虫も成虫も生き餌を食べます。繁殖を目指すなら数ペア飼うことになるので、餌の確保は重要です。
タガメの成虫は、ドジョウなどの小魚やカエルを餌にしています。一方でタガメは農薬に弱く、野生下での減少要因の一つとなっています。
したがって、農薬の心配がない生き餌をどう確保するかがタガメ飼育の鍵です。
タガメに餌を与える頻度
タガメを飼うだけなら、週に1-2回金魚を与えれば良いでしょう。しかし、繁殖を考えるなら、タガメの食欲に応じて餌の頻度を上げる必要があります。タガメは繁殖前の初夏と、新成虫が出た晩秋に毎日のように餌を食べます。晩秋に餌をケチると、越冬に失敗する材料になるでしょう。
タガメ幼虫の餌の選択肢
野生のタガメ幼虫はオタマジャクシを主食としていますが、農薬の影響がないオタマジャクシを大量に入手できる方は少ないと思います。
またゲンゴロウと異なり、タガメ幼虫はコオロギに興味を示しませんので、小魚を与える必要があります。1-3令ではメダカ、食欲が増す4-5令では金魚(小金)や鯉仔、ドジョウなどが選択肢となります。
タガメ成虫の餌の選択肢
身の回りに農薬の心配がない採集環境がある方は別として、そうでない場合金魚の「小金」やドジョウが選択肢になってきます。カエルは大量に捕らえたり手元で維持するのが困難です。
金魚の「小金」をタガメの餌とする場合
金魚すくいで使われる小さめの金魚は「小金(こきん)」と呼ばれます。小金は肉食魚用の餌としても流通しています。金魚の産地として知られる大和郡山から通販で購入するのがお手軽です。
通販の場合、毎回送料が1000円以上かかるので、大量に購入する方がお得です。とはいえ、数百匹を数カ月ストックするのは困難なので、複数回購入することになるでしょう。
小金の単価は季節によって変動します。年初の10円くらいからじりじり値上がりし6月前半がピークの20円、その後は子供が生まれる分値下がりして一気に10円程度に下がります。
幼虫の餌としてはメダカも考えられるわけですが、メダカも一匹20円くらいするので、小金のコスパがわかるでしょう。
激安!食用ドジョウをタガメの餌にする場合
タガメは野生下ではドジョウを好むとされています。しかも、ドジョウは冷凍と活魚の両方が流通しています。産地がわからないので、農薬のリスクはあるものの、ドジョウは餌をあまりやらなくても長生きするのがメリットです。
タガメも幼虫時代はメダカを餌にする
7cm弱に達するタガメ成虫には、2cm程度のメダカは小さすぎます。成虫も食べないことはありませんが、とんでもない量が必要になるでしょう。タガメ成虫にはドジョウや金魚を使うべきです。
一方、タガメ幼虫は自然下ではオタマジャクシをメイン餌にしていますが、飼育下で大量に確保するのは困難です。メダカは、タガメ幼虫の1〜3令の飼育に使えます。
タガメの餌の量を計算する
ざっくり小金は一匹20円、ドジョウは一匹15円として計算してみます。
成虫が3日で2匹餌を食べるとすると、一ヶ月20匹。タガメのペアなら40匹。産卵時期や冬眠前は食欲旺盛になるので、余裕を見て50匹でしょうか。2ペアなら100匹必要、と。
これには幼虫時代の餌は含んでいない、というのが問題点ですね。小さい頃はメダカで後半から小金やドジョウに移行、というのがリーズナブルでしょうか。
タガメの餌に関するFAQ
タガメは、野生下ではカエルやドジョウをよく食べています。飼育下では金魚などを与えます。農薬が入っていないものを選ぶことが大事です。
野生下のタガメ幼虫はオタマジャクシがメイン餌ですが、大量に確保するのは難困難。流通量が多くお金で買えるメダカが楽でしょう。4・5令では金魚を与えます。農薬が入らないよう注意。
4・5令幼虫や繁殖期など、タガメの食欲が旺盛な時期であれば、解凍したものをピンセットで動かすと捕らえます。
イカの刺し身は聞きますが、それ以外の油が水面に浮くようなものは避けましょう。窒息死する原因になり、除去も面倒です。ゲンゴロウもそうですが、脂が浮くとあっけなく死にます。
去年の夏からタガメを1匹飼っていますが、餌を全く食べません。しかし、冬を越して、まだ生きています。このような事はありますか?また、対処法などありましたら教えてください。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。餌を食べないと不安ですよね。
単純に考えると冬眠状態が継続していることになりますが、私の所では関東の室温で既に餌を食べています。涼しい場所で管理している場所は多少日当たりがよい場所に出すなど水温を上げてやるとよいのではないでしょうか。
そのままでも自然と水温(気温)が上がっていく時期なので、一ヶ月くらいそれを早めるかどうかの判断かと思います。