2022年に発表された水生昆虫関係の論文

マツモムシ

2022年も興味深い論文が続々発表されています。水生昆虫を中心に、後で探せるようメモしていきます。漏れているものあれば、Twitterでメンションください。

目次

ふれ昆&渡部さん関係の論文

本サイトのメインテーマであるを始め、水生昆虫関係で精力的に論文を出されている渡部晃平さん @marukeshiman ですが、量が多く拾いきれないため、最新情報は渡部さんの個人サイトでご確認ください。また、その一部は所属されている石川県ふれあい昆虫館から和文の解説が出ています。

2021年に発表された論文(部分)

2021年分は意識してメモっていないのですが、思い出したら追加していきます。

ゲンゴロウが成虫になるまで必要なコオロギのサイズや量を示した論文

ゲンゴロウ幼虫にコオロギ餌を使う

アブラゼミ10年分の羽化データにデータ解析手法EDMを適用し、因果を持つ要素として異なる性の羽化、降水量、湿度、気温が認められたという論文

アブラゼミ10年分の羽化データにEDMを適用する

福島県におけるニセコウベツブゲンゴロウおよびヒラサワツブゲンゴロウの分布状況を、過去33年分の全ての記録の標本調査を行った論文

島県におけるニセコウベツブゲンゴロウおよびヒラサワツブゲンゴロウの分布状況を全標本あたる

ゲンゴロウ属(Cybister)幼虫7種を区別する方法についての論文

ゲンゴロウ属(Cybister)幼虫7種を区別する方法

日本固有種&絶滅危惧種のヒメケシゲンゴロウの生活史を明らかにした論文

ヒメケシゲンゴロウの生活史

2022年に海外種について発表された論文

ヨーロッパのタガメLethocerus patruelisがカエルを捕食したレアな記録という報告。

はあの前脚の大きさからしてどの国でもカエルを食べているのかと思ったらそうでもなかったという論文。

ヨーロッパのタガメがカエルを捕食した初事例

2022年1月に発表された論文

自然下でナカジマツブゲンゴロウの蛹を見つけたという論文

自然下でナカジマツブゲンゴロウの蛹を発見

アメリカが湿地に侵入すると、水生昆虫の種数・個体数ともに激減することを示した論文

アメリカザリガニ侵入時の影響

ついでにメモ。幼虫の食性を調査し、野外調査と飼育実験により主な餌がカエル類のオタマジャクシであることを示した論文。

シマゲンゴロウ幼虫の食性

が他種より餌までの到達時間が短く、餌の摂取量が多いことを定量的に示した論文

コガタノゲンゴロウの競争能力

カタビロアメンボにおいて、計130ペアの交尾行動を観察し、翅型がオスメスの行動にどう影響して交尾率を決めていくのか調べた論文

カタビロアメンボ

ヤマトホソ幼虫が水面に浮上せず、水底で生活している可能性を飼育から指摘した論文

なかなか幼虫が見つからないことが知られ生態がよくわかっていませんでした。

ヤマトホソガムシ

2022年2月に公開された論文

日本産ダルマガムシ科全40種の都道府県・島嶼別分布記録をまとめたサイト

論文ではありませんが後で探すことになりそうなので記載。

ダルマガムシの分布をまとめたサイト

2022年3月に公開された論文

国内で採集禁止となっているコウチュウ目のデータベース

最新版に維持されるか次第ですが、インターフェイスはよくできています!

国内で採集禁止となっているコウチュウ目のデータベース

ゲンゴロウ類幼虫に自力上陸してもらうための飼育容器を3Dプリンタで制作した論文

論文拝見しましたが思ったより複雑・本格的な形状でびっくりしました。タガメのように一斉孵化ではないゲンゴロウ幼虫は順次孵化してきます。そのため、早い組が上陸始めれば後は順次…で上陸タイミング判断迷うことは少ないのですが、オウサマゲンゴロウモドキのような一部の種や、成長が早い中小型種やでは上陸タイミングがシビアです。

こうした上陸タイミングがシビアな種で幼虫が落ちてしまうことを避けるため、強制上陸ではなく水域→上陸スロープ→陸地を作って自力上陸してもらう手法が用いられます。

新種のオニギリマルケシゲンゴロウを記載した論文

学名Hydrovatus onigiri Watanabe et Biström, 2022と「onigiri」が入る。オニギリ上の形状をした前胸腹板突起が命名の由来。前胸腹板突起とは、腹部の両前脚の間にある突起のこと。ころころした可愛い種ですね。

ヒメガムシ幼虫がウキクサの葉上で積極的にアブラムシを捕食する報告

ガムシ幼虫が餌を水上に持ち上げる生態は知られていますが、この写真ではトドのように積極的にウキクサに乗り上げているように見えますね。待ち構える時点でも葉上にいるのでしょうか。

ヒメゲンゴロウ幼虫が積極的にウキクサ葉上でアブラムシを捕食している事例

雌雄の対立がもたらしたメススジゲンゴロウの雄の吸盤と雌の毛の進化についての論文

ゲンゴロウではオスの吸盤とそれに捕まるまいとする雌の筋や毛の存在が知られています。延々とオスに捕まると雌も体力や呼吸の面で負担があるため、それを避ける進化が働くと考えられます。メススジゲンゴロウでは平均7時間40分も交尾しているとのこと。想像以上に長い。

メススジゲンゴロウの雌雄対立がもたらした形態変化について

専門誌「昆虫と自然」第57号2022/04/30発行にコガタノゲンゴロウや巻貝を捕食する昆虫などの掲載

ニュー・サイエンス社から出ている専門誌「昆虫と自然」に水生昆虫の話が複数記載されました。内容は未見。

  • 特 集・湿地の昆虫とその多様性
  • 総論:衰退する水生昆虫と保全のための基礎情報の重要性(平井 規央)
  • 西日本で増加しつつあるコガタノゲンゴロウの謎(大庭 伸也)
  • 大阪府北部の地黄湿地における水生昆虫の種多様性とその変化(辻本 実穂・平井 規央 他)
  • 湿地で巻貝を捕食する昆虫(林 成多)
  • 湿地の微小水生および半水生半翅類(三田村 敏正)
created by Rinker
¥1,850(2024/12/18 13:00:49時点 Amazon調べ-詳細)

コガタノゲンゴロウ幼虫がコオイムシ塊を捕食した件の短報

卵塊を持ったコオイムシを襲って、コオイムシは逃げてそのまま卵塊だけ食べ続けたものと推測されています。

コガタノゲンゴロウ幼虫がコオイムシ卵塊を捕食した件

ヒメの詳細な幼虫期間や効率的な飼育方法についての論文

ヒメミズカマキリの生態や幼虫発生期間は比較的解明されているが、同一個体の観察ではないため、詳細な幼虫期間はわかっていなかった。飼育下で幼虫期間を確かめるとともに、コオロギだけで成虫にでき、体長も野生下と同等なので餌として問題ないことがわかった。

ヒメミズカマキリの効率的な飼育方法に関する論文

コメントはこちらから(個人を特定できる部分は削除します)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です