カメのサルモネラ菌を除去する方法

安田庭園のミシシッピアカミミガメ

カメが持つ病原菌「サルモネラ菌」対策について。サルモネラ菌は食中毒の原因菌で、カメなど爬虫類の世話や放し飼いを通じて人に感染します。サルモネラ対策として販売されているには、除去効果があるのでしょうか。カメのサルモネラ菌について、病原性と求められる対策について解説します。

カメのサルモネラ菌は食中毒の原因菌で特に老人子供に危険

カメからうつるとして有名なサルモネラ菌。など、カメや爬虫類は高い確率で「サルモネラ菌」を保菌しています。サルモネラ菌は食中毒の原因菌であり、抵抗力が弱い老人や子供で特に危険が高いとされています。毎年のように発症事例があり、厚生労働省にも特設ページがあるくらいです。

カメとのふれあいや放し飼い、糞尿由来で水など、飼育のなかでサルモネラ菌が広がる機会はたくさんあります。

問2 ハ虫類を原因とするサルモネラ症は、どのくらい発生していますか?
答  日本においては、ハ虫類が原因と判明したサルモネラ症の事例がほぼ毎年発生しています。カメ類を感染源とするものがほとんどであり、いずれも子ども又は高齢者が感染しています。

また、海外においては、カメ、イグアナ、ヘビを原因として、多数の感染事例が報告されており、胃腸炎症状に限らず、菌血症、敗血症、髄膜炎、これらに伴う死亡事例があります。

ミドリガメ等のハ虫類の取扱いQ&A|厚生労働省

カメのサルモネラ菌が発症するとどんな症状が出る?

サルモネラ菌で引き起こされるサルモネラ症で、よくある症状は急性胃腸炎です。吐き気からの嘔吐、発熱・下痢・腹痛などの症状が見られます。通常一週間程度で収まりますが、菌血症からの敗血症、幼児では意識障害や痙攣、高齢者では急性脱水症など重篤な症状に達する場合があります。

菌血症とは、普段は免疫で抑制されている菌が血液中に存在してしまうこと。その結果全身各所に炎症を起こすと、死亡例もある敗血症になります。

カメのサルモネラ菌保有率は90%以上

カメや爬虫類がサルモネラ菌を高確率で保菌していることは有名です。例えば、厚生労働省の調査によれば、2006〜2008年度において、全国29の店舗から60回229匹のアカミミガメを購入、このうち28店舗(97%)で55回(92%)、188個体(83%)からサルモネラ菌が検出されています。

つまり、アカミミガメのサルモネラ保菌率は高率で、まず保菌していると考えた方が良いということです。

海外を見ると、アメリカでは1975年以降FDA(アメリカ食品医品局)により、小型カメ(4inch=約10cm未満)の販売が禁止され、毎年10万例の防止効果があったと試算されています。日本でアカミミガメの輸入が盛んになったのは1960年代後半で、当時もサルモネラ菌が社会問題になりましたが、販売禁止措置が取られなかったのは残念です。

日本のアカミミガメは、アメリカの養殖場で集団飼育したもの由来ですから、その時点で感染しています。

カメのサルモネラ菌を除去するなどの対策は可能か

カメのほとんどが保菌しているとして、サルモネラ菌を除去するなどの対策は可能でしょうか。

結論からいうとゼロにすることはできず、また一般人がサルモネラ菌の付着を逐一チェックするのは困難ですから、保菌している前提で世話の後の手洗いや歩いた場所の消毒など、できることをやっていくしかないでしょう。

なぜサルモネラ菌を除去できないかというと、カメの体内に保菌していて、表面を消毒する程度では無意味だからです。

サルモネラ菌対策をうたうキョーリン「カメプロス」の仕組み

特定の餌を食べさせることでサルモネラ菌対策になるとするキョーリンの「カメプロス」はどうでしょうか。善玉菌をさせることで、サルモネラ菌を抑える仕組みです。

キョーリン製品に含まれる「ひかり菌」はバチルス菌(=枯草菌)の一種。納豆菌もバチルス菌の仲間です。バチルス菌は、ワラや枯草に住み着いてそれらを分解しますが、ほかの菌を抑える能力も持っています。

created by Rinker
Hikari(ヒカリ)
¥1,491(2024/11/23 11:16:36時点 Amazon調べ-詳細)

ではキョーリンの「カメプロス」を与えれば、サルモネラ菌対策は万全かというと、残念ながらそうではありません。結局の所、サルモネラ菌対策として言われていることは日常的に行っていく必要があります。

  • サルモネラ菌が減ってもゼロになるわけではない
  • サルモネラ菌の有無を一般人がチェックすることは困難

日常の世話で行うサルモネラ菌対策

カメは寿命が数十年と長いので、その間にご自分が結婚して子どもが生まれるなど、家庭環境の変化もあるでしょう。従来放し飼いや部屋を散歩させていたとしても、免疫が弱い乳幼児が加わった変化に気づき、飼い方を変える必要があります。

また、触れたり飼育水に触れたりした後は、都度石鹸や流水で十分手洗いし、子どもがいる場合は大人がそれを確認します。

放し飼いや室内での散歩は、サルモネラ菌を部屋中に撒き散らすことになります。実質的に清掃不可能ですので、幼児や高齢者がいる場合はやめた方が良いでしょう。

コメントはこちらから(個人を特定できる部分は削除します)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です