ミズカマキリは、その名の通りカマキリに似た大型水生昆虫。棒状の体型に長い呼吸管を持ちます。比較的水深がある止水域を好み、生息域は北海道から沖縄まで日本全国。飛翔傾向が強く都市近郊のプールで見つかることも。ミズカマキリの飼育は容易で、餌にはメダカなどを用います。
水生昆虫の入門種「ミズカマキリ」
ミズカマキリは、カメムシ目タイコウチ科に属する水生昆虫で、学名はRanatra chinensis。ミズカマキリの体長は40-45mmで、棒状の体に体長並みの長い呼吸管を持ちます。北海道から沖縄まで日本全国に生息する普通種で、飛翔傾向が強いことから、プール掃除で見つかることがあります。
ミズカマキリは鎌状の前脚を持ち、小昆虫やオタマジャクシ、メダカなどを捕食します。待ち伏せ型で、泳ぎはそれほど上手ではありません。
日本にいるミズカマキリの仲間
日本にいるミズカマキリの仲間は「ミズカマキリ」「ヒメミズカマキリ」「マダラアシミズカマキリ」の3種。ヒメミズカマキリはミズカマキリより小型で呼吸管が短く、マダラアシミズカマキリは南西諸島に生息し脚に斑模様があることで区別されます。
ミズカマキリとタイコウチの違い
ミズカマキリを見たことがある人が減っているため、他の種と間違ってしまう事例も見かけます。ミズカマキリとタイコウチは体型に違いがあり、タイコウチは板状の平らな体を持ち、泥などの底面に潜んで獲物を捕らえます。
ミズカマキリの越冬
ミズカマキリは春から夏に繁殖し、冬は水深がある場所で越冬します。条件がよい所に集まった結果、10匹単位で集団越冬することも。この動画は初冬に撮影されたもので、網のひとすくいでたくさんのミズカマキリが入った様子です。
ミズカマキリの外見写真
ミズカマキリはタガメやタイコウチと水生カメムシで、鋭い口吻を獲物に突き刺して体外消化する食べ方です。
前脚の鎌は細く、1本棘があります。力は弱く、人間が掴まれても問題ありません。
棒状の細長い体型。羽根は折りたたまれていますが、飛べます。
ミズカマキリの餌と飼育方法
水生昆虫のなかでも、ミズカマキリの飼育は簡単な部類。餌は肉食で、野生下ではアメンボ、マツモムシなどの小昆虫を食べています。飼育下では餌としてメダカを使うのが簡単です。共食いは少ないので集団飼育可能です。
ミズカマキリは呼吸管を含めれば9cm弱に達する大型種のため、飼育容器の水深は10〜15cm用意します。体長以上に水深を深くすると、餌を捕まえる効率が悪くなります。餌の数については飼育密度によりますが、ミズカマキリと同数以上のメダカがいる状態を維持すればOKでしょう。
ミズカマキリは水中越冬しますが、完全に眠るわけではないので、餌は入れておいた方がよいでしょう。
ミズカマキリに寄生するミズダニ
ミズダニ類(Subcohort Hydrachnidiae and Stygothrombiae) は水生ダニの仲間で、複数の水生動物に寄生します。蚊やトンボに加え、ミズカマキリにもよく寄生していることが知られています。