都会で見つかるとニュースになる危険生物「カミツキガメ」ですが、関東圏では印旛沼に定着していることが知られています。繁殖期となる梅雨頃、小川などに上がってくるカミツキガメは、罠や仕掛けで捕らえられます。2020年に印旛沼カミツキガメ捕獲ツアーに参加した記録について。
人に危害を及ぼす特定外来生物「カミツキガメ」
現在、上野の国立科学博物館で「大地のハンター展」が開催されています。最後のコーナーは、侵略的外来種の啓蒙で、アライグマやウシガエルなどの標本が展示されています。
外来種のなかでも「生態系」「人の生命・身体」「農林水産業」に害が大きい生物は侵略的外来種に指定され、駆除の対象になっています。カミツキガメで言えば「人の生命・身体」に害があるということですね。
印旛沼水系におけるカミツキガメの現状
カミツキガメは甲羅で最大50cmほどになる大型のカメで、関東では印旛沼とその流域(以下、印旛沼水系)で定着・繁殖が確認されています。千葉県では2007年度に「千葉県におけるカミツキガメ防除実施計画」を策定し、行政による計画的な防除を行ってきました。
その後、捕獲を行ってこなかったエリアでの生息が確認されたことや、捕獲数が減ってこない現状から、2015年度に改めて生息数の推定を行った結果、推定生息数は1万6000匹と推計されています。
新しい推定生息数に基づき今後生息数を減らすには、年間約1250匹以上のメス(オス・メス合計では2500匹)を捕獲する必要があるとされ、罠を400基から1100基に増やすなど、かなり力を入れています。直近の「千葉県カミツキガメ防除実施計画書」を見ればわかりますが、科学的・計画的に防除を進めています。
ワナによる捕獲 | 緊急収容(市町村・警察等) | 計 | |
---|---|---|---|
2019年度 | 1425頭 | 172頭 | 1597頭 |
2018年度 | 1998頭 | 261頭 | 2259頭 |
2017年度 | 1259頭 | 170頭 | 1429頭 |
2016年度 | 1187頭 | 273頭 | 1460頭 |
2015年度 | 793頭 | 174頭 | 967頭 |
2014年度 | 732頭 | 175頭 | 907頭 |
2013年度 | 550頭 | 85頭 | 635頭 |
2012年度 | 274頭 | 115頭 | 389頭 |
2011年度 | 414頭 | 172頭 | 586頭 |
2010年度 | 192頭 | 128頭 | 320頭 |
2009年度 | 216頭 | 80頭 | 296頭 |
2008年度 | 157頭 | 95頭 | 252頭 |
2007年度 | 247頭 | 75頭 | 322頭 |
このように、カミツキガメについては生息数や生息域がわかっているので、我々一般人でも捕らえることができるという訳です。なお、特定外来生物は、生きたままの移動(運搬という)が禁止されているので、持ち帰って食べたいならその場で〆る必要があります。
カミツキガメの捕獲方法
カミツキガメは水中に適応していて普段は水中にいます。アカミミガメのように甲羅干しもあまりしないので、目視して捕まえるやりたかは使えません。カミツキガメはゴールデンウィーク頃、水路に上がってきて土中に卵を産むので、罠あるいは仕掛けで捕まえるやり方が主流です。
具体的には匂いがする餌、サバの切り身などを使って数を仕掛け、数時間おきに巡回し餌がなくなっていればまた仕掛け…を一晩中繰り返します。夜間で写真を撮れなかったので、詳しくは主催者「東京でとって食べる生活」サイトの「カミツキガメ10連ガチャで美味しい奴をとった話」記事をご覧ください。
都内では少なくなったアマガエルも田園地帯には多数生息。
朝方ようやく捕まえたカミツキガメ!
5-10人のグループで手分けして、数時間置きに仕掛けを巡回し、これは空振りか?という雰囲気も漂いつつある中、とうとうカミツキガメが捕まりました。小型個体でしたが、そんなの関係ねえ!遠征が空振らずに安心しました。
カミツキガメ捕獲方法のドキュメンタリー公開中
私はただの一般参加ですが、カミツキガメ捕獲ツアーを主催した「東京でとって食べる生活(@totte_taberu)」さんの密着ドキュメンタリーが公開されていますので、プロが撮った映像で確認したい方はこちらをどうぞ。