侵略的外来種アカミミガメの「特定外来生物」指定に向けて法改正が検討されている件

アカミミガメ

水辺の外来種問題第三弾。侵略性が高い外来種について、捕獲後の移動・飼育・販売・譲渡・放流を禁止する「特定外来生物」指定からミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やアメリカザリガニが外れている件ですが、次の特定外来生物法の改正で対処することが検討されているようです。

アカミミガメやアメリカザリガニは水辺の外来種問題の象徴的な種であるにもかかわらず「既に蔓延している地域が多く、またペットとしての飼養も極めて多いため、適正な執行体制の確保や効果的な防除が困難である」として特定外来生物の指定から除外されています。

要するに指定により野外への大量遺棄が発生するおそれがあることが懸念されているわけです。

外来種の考え方 外来種が駆除対象になるかは侵略性次第、という話 水辺 アメリカザリガニが「特定外来生物」に指定されない理由と経緯

アカミミガメ問題の経緯

生態系等に被害を及ぼすことが懸念されることから、2005年の外来生物法の施行に合わせて特定外来生物への指定が検討されたが、主に以下のような理由により指定が見送られました。

  • 野外に広く定着しており、在来種への競合等による影響がある可能性があるが、野外での繁殖確認事例が少ない。
  • 大量に飼育されており、指定により野外への大量遺棄が発生するおそれがある。販売方法や飼育者への普及啓発に取り組むべきである。
  • 本種の規制により、代替となるカメ類の輸入が増大する可能性がある。

指定は見送られた代わりに、「被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物」として要注意外来生物に位置付けられました。

その後の状況として2015年に作成された「外来種被害防止行動計画」において、以下の明記がされました。また「要注意外来生物」は2005年の「生態系被害防止外来種リスト」の「要注意外来生物」に指定されることで発展的に解消されました。

大量に飼養されている侵略的外来種であるミシシッピアカミミガメ等について、大量に捨てられること等の影響が出ないような対策を実施した上で、段階的な法規制の導入を行うこと等を検討します。

外来種被害防止行動計画」P84

環境省の「アカミミガメ対策推進プロジェクト」で総合的な対策が検討される

「外来種被害防止行動計画」と同年の2015年に環境省は「アカミミガメ対策推進プロジェクト」について発表、生態系への影響や生息数や流通量の調査、段階的な規制などを検討することとなりました。

このプロジェクトの成果物として「アカミミガメ」のページに「アカミミガメ防除の手引き」や普及啓発用のポスターや学習教材などができています。

「特定外来生物法」改正による対策が本命

アメリカザリガニについて規制が見送られた割に無策に見えたのは、外来種問題のもうひとつの象徴種アカミミガメの方で検討が進んでいて、「外来生物法」の改正で対応しよう、という話があったからのようです。外来生物法の施行状況の検討ページを参照。


特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)は2005年に成立(2006年施行)、2013年に改正法が成立(2014年施行)し、必要な対応を行っていますが、2019年に施行後5年を経過することから、改正外来生物法附則第5条に基づき、施行状況について検討を加え、必要に応じて法改正の検討を行います。

外来生物法の施行状況の検討 | 日本の外来種対策 | 外来生物法

現在、法改正に向けた検討が始まっていて、そのなかで、アカミミガメやアメザリを念頭に規制内容が異なるカテゴリー分けを行うことが検討されています。

種の保存法で「特定第二種」が新設されたように、特定外来生物についてもカテゴリー分けを行い、飼育はOK販売譲渡放出はNGといったカテゴリー新設が想定されます。

さらに、保護区などの一部地域での指定が可能になる案も出ているようです。

第 1 回 外来生物法施行状況評価検討会 議事概」(2020)

教科書における外来種問題の扱い

ザリガニの記事で問題とされていた教科書における取り扱いについては、現状が「学習指導要領における外来種の取扱い」でまとめられています。発達度にしたがって、中高から外来種について教えるということになっていて、小学校については指示がないようです。

これについて調べた論文「教科書における外来生物の扱いに関する調査―小学校生活科,小学校理科,中学校理科,高等学校理科の検定教科書を基に―」も資料として提出されています。

いずれにしても、検討会に出席しているのは環境省・農林水産省・国土交通省(オブザーバー)なので、文科省は所管ではなく教科書における記述については、具体的に調整されてこなかったようです。

アカミミガメ・アメザリの問題は認識され対応が検討されている

現行の外来生物法では、あまりに拡がってしまうとかえって指定できず、現状を放置してしまうことになるという問題がありました。飼育を許可制とした場合、大量の申請あるいは飼育個体の遺棄が懸念されるからです。

資料から見る限り、アカミミガメ・アメザリを念頭に法改正が行われ、法改正を待って対策が行われるのではないでしょうか。



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