コオイムシは水生昆虫の中でも入門種で、タガメやゲンゴロウを探していると最初に見つかる種の一つです。環境省RDBおよび32の都道府県で「絶滅危惧Ⅰ類」とされています。コオイムシは、圃場整備された田んぼでも見られるという声もあり、環境さえ整えば生息数が戻りやすい種といえるでしょう。
環境省RDBではコオイムシを「準絶滅危惧(NT)」認定
環境省では、絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト=レッドリスト(RL)やその解説を加えたレッドリストデータブック(RDB)を発表しています。なおRL/RDBは国際機関・国・自治体など複数の主体がそれぞれ作成していることがあります。
さて、コオイムシですが、環境省のRLでは2000年、2007年とも「準絶滅危惧(NT)」に認定しています。
オスが背中で卵塊を保護する有名な昆虫である。体長17~20mm、体は楕円形で淡褐色から黄褐色。水深の浅い開放的な止水域に生息し、オタマジャクシ、小魚、ヤゴ、巻貝などを捕食する。国内では本州から九州に分布し、かつては普通に見られたが、農薬等による水質汚染によって、近年では一部の地域を除いて激減している。
環境省RDB2014
絶滅危惧種の分類について
「準絶滅危惧(NT)」ってなんだ、という話なんですけれども、環境省では絶滅のおそれの程度によって、以下のカテゴリー分けを行っています。絶滅してしまった「絶滅(EX)」「野生絶滅(EW)」や「情報不足(DD)」などは絶滅危惧種では、ないわけです。
コオイムシの「準絶滅危惧(NT)」という分類は絶滅危惧種に該当します。“現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種”なので、今の所は大丈夫だが状況の推移をウォッチしよう、という感じかと思います。
絶滅 (EX) | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅 (EW) | 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ 存続している種 |
絶滅危惧I類 (CR+EN) | 絶滅の危機に瀕している種 |
絶滅危惧IA類(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
絶滅危惧IB類(EN) | IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
絶滅危惧II類 (VU) | 絶滅の危険が増大している種 |
準絶滅危惧 (NT) | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
絶滅のおそれのある地域個体群 (LP) | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
各県におけるコオイムシの絶滅危惧具合
コオイムシは、沖縄を除く全国32都道府県のRL/RDBにおいて、「絶滅危惧Ⅰ類」に認定されています。東京都では「ごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高い「絶滅危惧IA類」、神奈川県ではⅠA類ほどではないが、近い将来に絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類」に認定されています。