コオイムシとオオコオイムシを確実に見分けるのは難しい、という話。丘陵部や山間部に住み、大柄なオオコオイムシですが、厳密には口吻や交尾器をチェックする必要があり、見た目だけでは判断できません。今までフィーリングで判断していたので、コオイムシとオオコオイムシの違いについて調べてみました。
コオイムシとオオコオイムシの違い
水生昆虫の入門種コオイムシには、よく似た別種「オオコオイムシ」がいます。学名で言えばコオイムシはAppasus japonicus、オオコオイムシはAppasus major。体長はオオコオイムシの方が大きいものの、小さな個体もいてそれだけでは判断できません。
生息環境的には両種はあまり混在しないので「丘陵部や山間部で大型ならオオコオイムシ」と判断していますが、冬のうちに見分け方を勉強することにしました。
まず、「ネイチャーガイド日本の水生昆虫」によると、コオイムシとオオコオイムシの違いは以下のとおり。生息地は両者とも北海道〜九州ですが、オオコオイムシは四国は徳島、九州は大分のみと、より北方・寒冷地に分布します。
項目 | コオイムシ | オオコオイムシ |
---|---|---|
体長 | 17〜25.5mm | 18.5〜28mm |
前脚の腿節 | やや細い | やや太い |
前胸の前縁 | 中央の凹みは浅い | 中央の凹みは深い |
前胸の模様 | 2本の帯模様が出る個体がいる | 帯は出ない |
体色 | 淡褐色〜茶褐色 | 茶褐色から黒褐色 |
両種を見分けるポイントは、以下が当てはまるかになります。しかし、単品で目の前に出されたら、自信ありません。
- オオコオイムシの方が大きいが、小さい個体もいる
- オオコオイムシの方が色が暗い
- オオコオイムシの方が、前鎌の力こぶ部分が太い
- コオイムシには、前胸に2本の帯が出る個体がいる
写真はオオコオイムシと思われる個体。前鎌の力こぶが太く、前胸の帯がない。
その他の資料によるオオコオイムシの見分け方
「ネイチャーガイド日本の水生昆虫」以外の記述を見ると、コオイムシは17-20mm、オオコオイムシは23-26mmとする記述もあり、こちらの方が体感あるいは平均値に近いと考えられます。また、体型についてはオオコオイムシの方が丸い輪郭とするものがあります。卵や幼虫がコオイムシより大きいとする記述も、複数見かけました。
厳密には口吻や交尾器を見ればよいわけですが、普通種で注意が払われていなかったからか、専門家による記録でも誤同定があることが知られています。
この論文ではコオイムシの平均体長は20.50mm、オオコオイムシは23.76mmとなっています。メスの方が一般的に大きいことを考えると、23-25mmのメスは機械的にオオコオイムシと判断しても良さそうです。
一方、コオイムシにも黒色型が現れ、また同所的に褐色型と黒色型が見られることから、体色ではオオコオイムシか判別できないとしています。
まとめ
ぐだぐだになってしまいましたが、コオイムシとオオコオイムシを見分けるのは難しく、1個体だけ目の前に出されたら、自信がありません。生息環境含め複数個体見たり、両種を見比べれば、判別可能です。