「コオイムシに刺された!」という相談があり、よく聞いてみると別な虫のことがあります。コオイムシは、あまり刺しません。どこでも見られるマツモムシの方が、刺されると痛い水生昆虫四天王と呼ばれています。マツモムシに刺されると5-10分鋭く痛みますが、長引くことは少ないでしょう。
コオイムシに刺されると痛いか?
コオイムシは、水生昆虫のなかでは知名度がある方です。それで、タガメではない水生昆虫に刺されたとなると「コオイムシに刺された」と表現してしまうことがあるようです。では実際には、何に刺されたのでしょうか。
私はコオイムシは数百見ていますが、おとなしい虫で、やたら人を刺す印象はありません。周りにも刺された経験ある人がいないので、どのくらい痛いのかはわかりません。
結論から言うと、これらの「コオイムシに刺された」という経験の大半は「マツモムシ」によるものです。マツモムシは、ボートからオールを出したような体型をしていて、水中で逆さに浮いています。刺されると痛い水生昆虫四天王と呼ばれ、痛い経験をした方も沢山います。
マツモムシはその辺にいる普通種で個体数も多く、網に手を入れたときに誤って刺されがちです。コオイムシは水生昆虫のなかでは入門種ですが、都市近郊にいるほどありふれた種ではありません。
また、コオイムシが2cm程度あるのに対し、マツモムシは1cm程度と小さいので、掴んだときに刺されやすいのです。
刺されると痛い水生昆虫四天王とは?
実は、水生昆虫界隈では刺されると痛いと評判の虫たちがいます。それが刺されると痛い水生昆虫四天王ことタガメ・マツモムシ・コバンムシ・ナベブタムシです。刺した数で言えば、どこにでもいるマツモムシが優勝!と考えられます。
タガメに刺された時の痛さ
水生昆虫の王者タガメは、蛇や亀を仕留めることがあるほど強力な捕食者。体長と同程度の大きさの魚でも、タガメに捕まると数分で体が麻痺して動かなくなってしまいます。
気になるタガメに刺された時の痛さですが、これは星5!刺された一瞬で済む場合もあれば、ジンジンする痛みが続き赤く腫れるなど一週間ほど症状が出て皮膚科に行ったほうがよい場合もあります。
刺されやすさという意味では、体が大きく人間も刺されないよう注意して掴むので、意図的に刺されたり油断していなければ、刺されることはないでしょう。一方で、そもそも生息数が少なく探さないと見つからない種なので、日常生活で刺される心配をする必要はありません。
マツモムシに刺されたときの痛さ
ボートからオールを出した体型で、水中に逆さまに浮いているマツモムシ。水面に落ちてきた小昆虫を捕らえて食べる生活をしています。池沼などの止水域にいますが、都会でも普通に見られます。
これが厄介で、水中に浮いているので目立ち、個体数も多いので誰でも捕まえられます。その結果、子どもが網に手を入れたときに刺されることがよくあります。体長も1cm程度と小さいので、掴んだときに刺されやすい。
マツモムシに刺されたときの痛みは、鋭い痛みでどちらかというとびっくりさせられる感じ。その痛みは5-10分続きますが、その程度で治療などは不要です。
コバンムシに刺されたときの痛さ
コバンムシは、タガメやゲンゴロウより生息地が少なく、見たことがある人はごく限られています。そんな希少種が刺されると痛い水生昆虫四天王に選ばれているのは、その激烈な痛みと、すぐ刺してくる性質によります。
ほかの虫にも刺された経験ある人たちでも「マツモムシより痛い」「悲鳴をあげてしまう痛さ」との評。コオイムシなんかは手のひらに乗せているくらいでは刺してきませんが、コバンムシはえぐりこむように刺してきて泣きました。
ナベブタムシに刺された時の痛さ
ナベブタムシは、河川の砂利など流れがある所にいる水生昆虫。鍋蓋虫の名前の通り、平らな体つきをしています。
生息環境は限定されていますが、川遊びで捕まえた子どもが刺されてしまうことがあります。1cm弱と小さく、厚さ数mmと平べったい体をしているので摘むときに刺されがちです。体の割に長い口吻を持っています。
痛みについてはマツモムシ程度と聞いています。
コオイムシを飼ってします。水槽の掃除をしたとき、移動するために手のひらにコオイムシを載せたところ、刺されました。マツモムシ程ではありませんが、チクッと痛いです。