和歌山の「千畳敷」といえば海岸に広がる大きな白い岩盤で有名な観光地。その岩場にできた水たまりにハイイロゲンゴロウが大量に発生していました。ハイイロゲンゴロウは、かねて海岸沿いでも発見例ありましたが、自分の目でも確認できてよかったです。
和歌山の観光地「千畳敷」の岩場
和歌山県白浜町の海岸にある「千畳敷」は、スロープ状に広がる白い岩盤で有名。砂岩が太平洋の荒波で侵食され壮大な景観を作っています。
「千畳敷」には観光で訪れたのですが、太平洋をバックに夕焼けという雄大な景色を見られました。
岩場に大量発生したハイイロゲンゴロウたち
この「千畳敷」は外洋である太平洋に面しているので、現在も荒波に揉まれています。例えばこんな岩が転がっていますが、元は岩盤の一部だったものが台風か何かで割れて転がったものでしょう。
侵食に伴って岩盤には割れ目や穴、凹みができていますが、いくつもある水たまりの中で大きなもののなかにハイイロゲンゴロウが数十匹動き回っているのを発見。視野のなかで常に数匹動き回っているような状況です。
ハイイロゲンゴロウは、かねて海岸沿いでの発見例があり、不安定な水域を好む生態からして十分考えられることでした。こうした一時的な水辺には肉食魚などの外敵がいないため、いち早く到達すればボウフラなどの餌を優占できるというニッチ戦略をとっているのです。
ゲンゴロウでは珍しく、ハイイロゲンゴロウは水面から直接飛び立てる特殊能力を持ちます。繁殖に適さなければ次へ移動すればよいのです。
またゲンゴロウは蛹になるとき土中に潜るため、岸がコンクリで固められると繁殖できないと説明されます。これについては、ハイイロゲンゴロウは数cm土や砂が溜まっていれば十分という話があり、落ち葉や漂着物で十分まかなえることになります。
ハイイロゲンゴロウがこうした環境で餌にするのはボウフラです。岩場のいくつかの水たまりを見て回った所、ボウフラも確認できました。
海岸も、なかなかいいかもしれない
ハイイロゲンゴロウは都内にも生息するなど、ヒメゲンゴロウと並び一番身近な種の一つでしょう。その一方、不安定な水域を好む生態は、一見ゲンゴロウなどいなそうに見える海岸での繁殖を可能にしていました。水たまりができやすい岩盤、そこに発生するボウフラ、そのニッチを狙うハイイロゲンゴロウという構図です。