初夏にかけ、田んぼなどの水辺でゲンゴロウ幼虫を見つける機会が増えます。ゲンゴロウの種類の見分け方、容器や餌など幼虫の飼い方を説明します。ゲンゴロウの幼虫はいずれも肉食で、3令まで成長後、上陸して蛹化、長くて2ヶ月で新成虫が誕生します。
ゲンゴロウの幼虫を見つけるには?
新型コロナ対策で外出自粛している方が多いと思いますが、本来であればゴールデンウィークから初夏は、ゲンゴロウが出現する時期です。全国的に減少している大型ゲンゴロウは難しくても、中・小型種は春先水が入った田んぼや水路などでまだまだ普通に見られます。
水生昆虫の多様性が高い水辺には、いくつかの特徴があります。
- 水深が浅い(多くの水生昆虫は、水深を必要としない)
- 手堀りの水路(コンクリートで3面固められた水路は流速が早い)
- ザリガニやコイがいない(いる場所では植物も水生昆虫も激減する)
- 逆に言えば、水草や抽水植物が豊富なのは、ザリガニやコイがいないサイン
ゲンゴロウの仲間は、蛹になるときに土手に潜る生態を持っています。コンクリートで護岸されていると、幼虫がいたとしても成虫にはなれない、という訳です。
どのゲンゴロウの幼虫か、種を特定する方法
ガサガサなどで採取したゲンゴロウ幼虫は、予備知識無しにどの種か特定するのはなかなか困難です。とはいえ、大雑把なあたりを付ける方法はあります。
採取場所にいたゲンゴロウの幼虫の可能性
ゲンゴロウ成虫がいた場所には、幼虫もいる可能性があります。ヒメゲンゴロウやハイイロゲンゴロウなどは成虫と幼虫が混在することがよくあります。その水辺で見かけた種、たとえば「ヒメゲンゴロウ 幼虫」などで検索すると写真が出てきて見比べられるでしょう。
大型種はナミゲンゴロウ・コガタノゲンゴロウ・クロゲンゴロウの3種
3令幼虫が5cm以上になるような大型種はナミゲンゴロウ・コガタノゲンゴロウ・クロゲンゴロウのいずれかです。ほかにも数種大型種いますが、南西諸島に生息するレアな種なのでここでは除外します。
ゲンゴロウ幼虫の特定に役立つ書籍
文一総合出版の「ゲンゴロウ・ガムシ・ミズスマシハンドブック」はほとんどの種で成虫・幼虫両方の写真が載っていて、ゲンゴロウに興味があるなら持っておきたい書籍です。2017年初版と新しく、値段も1800円と高くはありません。
もっと全般に水生昆虫に興味があるなら、「日本の水生昆虫 (ネイチャーガイド)」は5000円超えと高価ですが日本の水生昆虫ほぼ全種を掲載という野心的な一冊です。
ゲンゴロウ幼虫を育てる!餌と飼育方法
ゲンゴロウ幼虫は肉食で共食いするので、個別飼育が原則です。プリンカップに1-2cm水をはり、小昆虫や小魚を餌として与えます。脱皮の足場として水草や網底ネットなどを入れます。
よくあるミスとしては、水深が深くて元気な魚を入れてしまい、餌が取れない状況です。水深は浅く、生き餌は弱ったくらいがちょうど良いでしょう。
中型ゲンゴロウ幼虫の場合
中型ゲンゴロウ幼虫で、近所で餌を確保できない場合、ペットショップで流通しているコオロギが便利でしょう。コオロギにも色々なサイズがありますが、大きさは幼虫の半分から2/3くらいが適当です。中型ゲンゴロウであれば一日にコオロギ中サイズ数匹を食べます。
大型ゲンゴロウ幼虫の場合
大型ゲンゴロウの場合、コオロギでは餌が足りません。メダカや小赤などを餌として与えます。水深も餌のサイズにあわせて2-4cmになります。小赤なら1日1-2匹で済みますが、水の汚れもひどくなり死ぬ原因になります。食べ残しはすぐ取り除き、水換えしましょう。水道水で構いません。
ゲンゴロウ幼虫の上陸サイン
ゲンゴロウ幼虫は3令ともなると旺盛な食欲を示し、餌を入れるとすぐ飛びついてきます。それが、1-2日餌に反応しない時期が訪れたら、上陸のサインです。湿らせたピートモスをプリンカップに詰め、幼虫を強制上陸させます。
詳しくは以下の記事を御覧ください。
ゲンゴロウ幼虫を見つけたときのFAQ
- Q:ゲンゴロウ幼虫はどこにいる?
- ヒメゲンゴロウなどの普通種は、田んぼやそれに接続された水路などにいます。深い場所や流れが早い川にはあまりいません。
- Q:どのゲンゴロウか調べるには?
- 大きさや模様から区別できる部分もありますが、初めてだとなかなか難しいと思います。特定に役立つ図鑑の紹介はこちらから
- Q:ゲンゴロウ幼虫を飼育するには?
- 共食いするため、プリンカップで個別飼育します。水深は1-2cmでOK。生き餌を与え、毎日水換えしてください。幼虫飼育方法はこちらから
- ゲンゴロウ幼虫は何を食べる?Q:
- ゲンゴロウ幼虫は生き餌を食べます。生き餌とは小昆虫などで、ペットショップで売られている餌用コオロギ、大きくなったら金魚などを用います。餌についてはこちらから
突然すみません
テレビ東京「池の水全部抜く大作戦」を制作している鈴木と申します。
今回絶滅危惧種を調査するという企画でゲンゴロウを紹介するときに、ゲンゴロウが羽化した時の写真をお借りしたいと思い連絡させていただきました。
もしよろしければメールにてお返事をいただきたいです。
マジかよ池の水全部抜く大作戦?ものごっつ大好きな番組なんですが。