ゲンゴロウは他の水生昆虫と比べ、飼育が楽な部類です。たとえばタガメでは生き餌が必須で、餌の確保が大変です。ゲンゴロウなら肉食魚用の人工飼料(ペレット)や煮干しで良く初心者でも安心。我が家では煮干しや肉食魚用のペレットをメインに与えています。
またゲンゴロウは共食いも少なく、同種や体格が異なる異種との混泳も可能です。ゲンゴロウの成虫はスカベンジャーで、弱ったり死んだ生物が主食で、生きたものには(積極的には)興味を示しません。どうしても共食いを避けたい場合は個別飼育しますが、コガタノゲンゴロウやハイイロゲンゴロウを除き、基本的には共食いしません。コガタノゲンゴロウは結構強気で、飼育下ではヌマエビなどを捕食してしまいます。
ゲンゴロウは水面から空気を補給するため、水質にもうるさくありません。餌で汚れるので水換えは必要ですが、水道水で全然大丈夫です。ただし、水面に油が浮くとあっさり死んでしまうので気をつけましょう。
ゲンゴロウの餌には何を与えるのが一般的か?
身も蓋もないですが、ゲンゴロウ成虫の餌に何を与えるかは飼育規模や周辺環境による、というのが答えです。周辺環境とは自宅の周りでバッタなどの小昆虫が豊富に捕獲できる環境か、という違いです。
- 1-2匹でひと夏飼えればよい→煮干しや肉食魚用ペレット
- 10匹以上→煮干しや肉食魚用ペレットのほか、アカミミズやコオロギも選択肢。周りで小昆虫取れるなら楽。
- ゲンゴロウ以外も色々飼っている。数十匹いる→コオロギをメインにコストを抑える
煮干しや肉食魚用ペレットについては後述するので、コオロギやバッタを与えるパターンについて。まずバッタの場合は、秋に河原などで大量にバッタ成虫を捕獲して冷凍、以降適宜解凍して与えます。無料なのと可食部が多いのがメリットですね。多摩動物公園ではバッタがメインと聞いています。成虫の羽根はむしった方が食べ残しが減るかもしれません。
次に爬虫類や両生類飼育でおなじみのコオロギです。他に飼育しているものがいて、年間を通じて餌需要があるなら、自前で維持して適宜与えると良いでしょう。飼育規模が小さくコオロギ維持の手間の方が上回るなら、冷凍コオロギという方法も。終齢では油が、成虫では羽根の問題があるので、終齢でない大型の幼虫くらいが良さそうです。
ゲンゴロウは生き餌必須ではない!人工飼料(ペレット)や煮干しで飼える
ゲンゴロウは流線型の体を持ち、泳ぎも素早く活発ですが生き餌を積極的に捕らえるハンターではありません。餌やりするとよくわかりますが、視覚より嗅覚が発達していて、傷ついたもの、死んだものの匂いを嗅ぎつけて集まり、顎でかじり取って食べます。
ただし、傾向が少ない、というだけなので絶対食べられたくないものとは同居させない方がよいでしょう。コガタノゲンゴロウなどは活発に泳ぎ回り、ヌマエビを捕らえることもあります。
肉食魚用の人工飼料(ペレット)は定番の「ひかりクレスト」を使用
熱帯魚は詳しくありませんがキョーリンの熱帯魚飼料「ひかりクレスト」シリーズは有名らしいです。原材料は「フィッシュミール,オキアミミール,小麦粉,でんぷん類,とうもろこし…」です。香りが良いのか水面に投入して数分経つと、ゲンゴロウが掴んでもぐもぐしている姿を観察できます。食べているうちにポロポロ水中に溢れますがメダカやエビが掃除してくれます。
冷凍アカミミズも入手容易な選択肢ですが、ゲンゴロウは食べこぼしが多いので水が汚れます。容器に入れて食べこぼしを回収しやすくするなど、みなさん工夫しているようです。
加工が少ない煮干し
人間用ではないので添加物が少なそうな煮干しをチョイス。ネットでは塩分を気にしている人はいないので気持ち減塩の煮干しを。大きいのでゲンゴロウが何匹も群がって奪い合うわちゃわちゃした様子が見られて楽しいです。数時間で食い尽くされ、腹持ち的には2〜3日行ける感じ。
ゲンゴロウは水面にお尻を突き出して呼吸します。煮干しに数匹集まっている場合、呼吸できない者も出るため、場所取りで猛烈に泳ぎ回る様子が見られます。
なお煮干しの場合、シャープゲンゴロウモドキなどゲンゴロウの種類によっては、孵化率に影響出る場合があるそうです。
ゲンゴロウを繁殖させるなら幼虫の餌として生き餌が必要!
成虫と異なり、ゲンゴロウの幼虫は動くものなら何でも大アゴで捕らえる獰猛なハンター。幼虫同士も共食いするためプラカップなどで個別飼育が必須です。
ゲンゴロウ幼虫は1令から3令まで成長しますが、アカムシやヤゴ、オタマジャクシ、釣り餌のサシ、コオロギ、メダカ、小金(金魚)など生き餌を与えます。2-3令で獰猛になってきたら冷凍コオロギや死後間もない魚も動かせば食いつきます。
大庭先生の研究によればゲンゴロウ幼虫はオタマジャクシよりヤゴの方が成長率が良いそうです。
室内条件下でオタマジャクシとヤゴを与えたときの両種の成長率を比較したところ,ゲンゴロウ幼虫ではヤゴを与えた個体,タガメ幼虫ではオタマジャクシを与えた個体が他方を与えた個体よりも有意に成長率が増加した.
ESJ55 poster P2-174
ゲンゴロウは肉食で、弱ったり死んだばかりの生き物を食べます。家庭下では、煮干しや肉食魚用ペレットなどを与えます。
・1-2匹でひと夏飼えればよい→煮干しや肉食魚用ペレット
・10匹以上→煮干しや肉食魚用ペレットを中心に、小昆虫などをたまに与える。冷凍アカムシも好む。
・ゲンゴロウ以外も色々飼っている。数十匹いる→餌用コオロギを与える。タガメの食べ残しなども食べる。
ゲンゴロウ幼虫では生き餌が必須です。1令ではミズムシやアカミミズ、2令以降は餌用に流通しているコオロギ、3令からは小金などを与えます。
サイズを変えながらコオロギだけで育てることも可能です。