昨今の昆虫食ではタガメと並びポピュラーなゲンゴロウ。日本で流通する昆虫食のゲンゴロウは、東南アジアから輸入されたもの。複数種のゲンゴロウのほかガムシなどが混じっていることが知られています。食用ゲンゴロウの味や栄養について見ていきます。
現在流通している昆虫食のゲンゴロウについて
タガメにしろゲンゴロウにしろ、昆虫食として流通しているものは東南アジア産です。東南アジアの屋台で山盛りになっている写真を見た方も多いでしょう。
タガメやゲンゴロウは日本では絶滅危惧種になってしまいましたが、東南アジアにはまだ、食用にできるくらい豊富にいます。金銭的な理由で農薬が普及していなかったり、侵略的外来種のザリガニが侵入していなかったりといった要因が考えられます。
東南アジアに元々昆虫食の文化があったので、採集したものをパッケージングして日本に輸入する商売がなりたっているわけです。ですから、「食用ゲンゴロウ」という特別な種がいるわけではなく、また野生個体を採集しています。
昆虫食のゲンゴロウのパッケージに含まれる種
日本にもいるコガタノゲンゴロウ・ヒメフチゲンゴロウ・フチトリゲンゴロウは東南アジアにも生息しています。日本では南西諸島等に生息しますが、これらは南方種で東南アジアの方がたくさん生息しています。
現地では種を区別しないようで、昆虫食のゲンゴロウには、これらに加えガムシやニセフチトリ(guerini)と呼ばれるフチトリゲンゴロウの近縁種が含まれています。近年のDNA分析では、このほかに未記載の大型種もいるようです。
外観から判断難しい種では最終的に交尾器見る必要ありますが、2.5cm程度で腹面全体が黒いコガタノゲンゴロウ、3cm程度で体に厚みがあり、腹面の半分程度が黄褐色のヒメフチゲンゴロウ、3.5cm以上で体に厚みがあり腹面全体が黒褐色暗赤褐色なのはフチトリゲンゴロウあるいはニセフチトリ(guerini)と区別できます。
以下の事例は大型種が多い方で、SNSで見ていると全部ガムシの例も頻繁に見かけます。ゲンゴロウは肉食、大型水生昆虫のガムシは草食メインですから、味も変わってくるのか気になる所です。
食用ゲンゴロウの味や栄養は?
結論からいうと、私にはゲンゴロウとガムシの味の違いはつきませんでした。味は塩ゆで等あるいは素揚げ等の調理方法に依存するようで、食材独自の味はなく、ぼそぼそした食感の方が気になりました。
味については、防御物質の白い液体が貯蔵されている前胸部は苦いという声も聞きますが、自分は感じませんでした。個体あるいは調理方法によるのかも。
食用ゲンゴロウの栄養はたんぱく質がメインで、昆虫食メーカーの栄養成分表によると1パッケージ15gに対し50〜100kcalなのでカロリーはほとんどないといって良いでしょう。
ヒメフチゲンゴロウの特定第二種指定で生じる昆虫食の保護種混入問題
種の保存法の保護種は、売買が禁止されます。保護種を販売した法人は1億円以下の罰金と非常に高額です。
昆虫食にも頻繁に混入するヒメフチゲンゴロウですが、2023年から種の保存法「特定第二種」に指定される見込みです。見込みといっても候補種はほぼ指定されるので、既定路線といってよいでしょう。
ゲンゴロウですらないガムシが混入するくらいなので、現地では保護種かどうかなど区別していません。昆虫食はTVやSNS、You Tubeにアップされて証拠が残ることが多くなっています。さすがに、TVで流れた違法行為をそのままにはできませんから、何らかの処置が取られるものと思います。
国と協議の上、販売停止した昆虫食メーカーもあり、環境省側もすでに把握しています。