東南アジアに生息する「タイワンタガメ」は、最近ブームの昆虫食で有名。特にオスは洋梨のような香りを発し、現地では香料としても用いられます。昆虫食では素揚げや塩漬けしたパッケージで販売されますが、タイワンタガメはたまに生体も流通し、飼育・繁殖に挑戦する人もいます。
日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。
タイワンタガメの特徴!日本では昆虫食で知られる
学名Lethocerus indicusのタイワンタガメは、東南アジアに生息するタガメで、現地で食用にされるほか、日本にも昆虫食用に輸入されています。名前に「台湾」とありますが、台湾ではほぼ絶滅状態で、生息数が多いのはタイ・ラオス方面です。タイワンタガメは、日本でも過去与那国島で記録がありますが、1970年代で記録が途絶えていて、ほぼ絶滅状態です。
一方、東南アジアでは、市場で山盛りになって売られていたり、日本へ食用に輸出するぐらい資源量が安定しているようです。タガメが農薬に弱いことは有名ですが、東南アジアにはまだ農薬が使われていない農村地帯があります。
形態的な特徴として、日本のタガメは最大6-7cmの所、タイワンタガメは7-8cmと一回り大型です。外観から区別は容易で、特に丸形の大きな眼球は識別ポイントです。世界的に見ると、世界最大種のナンベイオオタガメをはじめ、タイワンタガメ型の形態をした種の方が多い印象。逆に日本のタガメは、世界的に見ると体格と比べ大きな前脚を持っていることが特徴です。
- タガメの眼球は三角だが、タイワンタガメでは円形に近く大きい
- タイワンタガメは、頭部から胸部にかけ逆V字型の模様がある
- タイワンタガメは、タガメより体格比の前脚が小さい
- タイワンタガメは、タガメより扁平な後ろ脚を持つ
ちなみに、日本のタガメは種の保存法「特定第二種」の保護種ですが、タイワンタガメは規制種ではないので、輸入・販売・食用が可能です。
食用にされるタイワンタガメとその味
東南アジアの市場で、タガメが山盛りになっている写真を見た方も多いと思います。あれが、タイワンタガメです。タンパク源としてという側面もあるでしょうが、タイワンタガメには、香料としての価値もあります。
昆虫食として売られているパッケージでは2匹で1000-1500円程度です。
タイワンタガメは現地で「メンダー」と呼ばれ、ホットソース「ナムプリック」の香料に使われたりします。タイワンタガメのオスは胸部から強い香りを発し、洋梨のようなフルーティな香りだとされています。
この香料成分を活かしたドリンクがTAKEOの「タガメサイダー」で、タガメについて検索するついでに感想もさまざま見ていますが、全体に「おいしい!」という評価です。
日本のタガメは60-90個ほどの卵塊を作りますが、タイワンタガメは一回に100個以上の卵を産みます。よく養殖できるか聞かれますが、ネット上にはあまり情報がありません。
タイワンタガメの飼育方法は?繁殖に挑戦する人も
昆虫食として盛んに輸入されるタイワンタガメですが、生体は常時販売されている感じではありません。販売実績がある店のTweetをウォッチすると、ぽつぽつ入荷がある感じです。ただし、販売価格は万超えなのでかなり趣味性が高いと言えるでしょう。
タイワンタガメの飼育・繁殖はそれほど簡単ではありません。単純にノウハウが流通していないのもありますし、日本のタガメより繊細な面が多いと言われています。単純にサンプルが少なく死亡例の印象が強いからかもしれません。
また南方種に共通しますが、冬は保温が必要で、その手間も累代する人が少ない要因かと。東南アジア現地では雨季と乾季があり、乾季が冬眠時期相当ですが、日本の0度近いになる環境では保温なしの冬越しは不可能です。
今年は何人かタイワンタガメの繁殖に挑戦している人たちがいるので、その様子も見られるでしょう。