「タガメ 種類」で検索する人は、昆虫食に使われるタガメの種類か、捕まえた虫の種類を知りたい方でしょう。タガメをそのまま小さくしたようなコオイムシなどは紛らわしいですが、写真も出回っているので、識別は容易です。
English Ver.Differences between Giant Water Bug and similar species
日本で見られるタガメは2種類
一般の方が見る機会があるタガメは、野生の「タガメ」か、東南アジアから昆虫食として輸入される「タイワンタガメ」の2種類。「タイワンタガメ」は日本でも与那国島で記録されていますが、ほぼ絶滅状態にあるため野生で見る機会はありません。
日本の「タガメ」は海外のタガメと比べると、体格比で大きな前脚を持ち、眼球が三角であるなど外観的な特徴から「タイワンタガメ」との違いは明確です。体長は最大70mm弱の「タガメ」に対して、「タイワンタガメ」の方が10mmほど大きくなります。
日本のタガメは法律で保護された絶滅危惧種ですが、タイワンタガメは規制対象外です。とりあえず、頭から胸にかけ逆V字型の模様があるタガメは「タイワンタガメ」。これだけ覚えてれば大丈夫です。
タガメに似た昆虫の種類
昆虫に詳しくない、あるいはタガメを見たことがない場合、コオイムシなどをタガメと見間違えるケースがあるようです。灯火に飛んでくる種は思いがけない所にいて驚かれたりします。
以下の写真は、上野の科学博物館の昆虫標本。005がタイワンタガメ、006がオオコオイムシ、007がタイコウチです。タガメ/コオイムシ/タイコウチの並びでないのは惜しいですが、種ごとの体格比の参考になります。
日本の止水性水生カメムシは、大きくコオイムシ科・タイコウチ科・その他に分けられます。
その他には、ミズムシ科・コバンムシ科・ナベブタムシ科・マツモムシ科・アメンボ科などがありますが、これらとタガメと見間違えることはないでしょう。
興味がある方は、現時点の日本の水生昆虫全種を掲載した書籍「日本の水生昆虫」が役立ちます。
背中に卵を背負う「コオイムシ」
タガメをそのまま小さくした感じのコオイムシは、タガメと一番間違われやすい水生昆虫です。卵を背負っていたらコオイムシ、体長5-6cmのタガメと2cm前後のコオイムシなど、識別は容易です。
また「小さいのはタガメの子どもだから?」という考えが浮かぶと思いますが、翅が生えたり卵を背負っているコオイムシは成虫ですので、後はサイズでタガメと区別できます。
また幼虫同士でも体の模様や体格、体格比の前脚の大きさなど多くの識別ポイントがあります。以下の写真は、両方1令幼虫ですが、早くもこれだけ体格差があります。
ちなみに、
ストローのように細長い「ミズカマキリ」
突き出した前脚の鎌と、棒状の細長い体に長い呼吸管を持つ「ミズカマキリ」。タイコウチ科に属する水生昆虫で、呼吸管を除いた体長は40-45mm。
比較的水深がある止水域にいて、よく飛翔し学校のプールで見つかることもあります。アメンボが好物。
サソリのように平たい体を持つ「タイコウチ」
タイコウチは英語で”water scorpion”と書くように、前脚の鎌に茶褐色の平たい体、長い呼吸管を持ちます。呼吸管を除いた体長は30-40mm。地上性が強く飛べないヒメタイコウチ、東南アジアにも生息し5mmくらい大きいタイワンタイコウチなど、個性豊かな種です。
翅が退化し飛べないヒメタイコウチは生息地が局地的、タイワンタイコウチは南西諸島生息なので、一般に見られるのはほぼタイコウチと言えます。
浅い止水域に生息しますが、乾田化によって数を減らしています。
手で持つと脚を伸ばして死んだふりする生態(擬死)で知られています。
日本で見られるタガメの種類
おそらく「タガメ 種類」で検索する人は昆虫食の「タイワンタガメ」か、捕まえた虫の種類を知りたい方だと思いますので、細かい種名などは割愛しました。
基本的に、日本の野生で見つかるタガメは1種類のみです。幼虫時代はコオイムシなど紛らわしい所もありますが、サイズ感が全然違うので識別は容易です。
仮にタガメでなかったとしても、多くの水生昆虫は数を減らしており、周りに豊かな湿地環境があることを示しています。大事になさってください。