オウサマゲンゴロウモドキ生体が日本初上陸【写真・動画】

オウサマゲンゴロウモドキ

の世界最大種「(Dytiscus latissimus)」の生体が日本に初上陸、2019年11月から福島県アクアマリンいなわしろカワセミ水族館、石川県ふれあい昆虫館、北杜市オオムラサキセンターの3館で常設展示が始まりました。

オウサマゲンゴロウモドキ(ラティシムス)はヨーロッパ北部に生息するゲンゴロウの大型種で、ゲンゴロウ実績豊富な国内3館で効率的な飼育方法が探られます。展示の経緯や特徴の他、メディアの報道に展示館の現地写真とをまとめています。


https://www.youtube.com/watch?v=0-6cqMQds8Y

目次

オウサマゲンゴロウモドキの生体展示、始まる

2019年11月15日、Twitterの昆虫クラスタが一大ニュースに騒然としました。ゲンゴロウの世界最大種「オウサマゲンゴロウモドキ」の生体展示が日本で初めて開始される、と発表されたからです。オウサマゲンゴロウモドキが見られるのは11月16日から、福島県アクアマリンいなわしろカワセミ水族館、石川県ふれあい昆虫館、北杜市オオムラサキセンターの3館でいずれも常設展示です。

↓アクアマリンいなわしろカワセミ水族館でオウサマゲンゴロウモドキを見てきました。
オウサマゲンゴロウモドキのメスの黄金に輝く筋

オウサマゲンゴロウモドキを見に猪苗代日帰り遠征
Dytiscus latissimus(オオサマゲンゴロウモドキ)
この写真はラトビアとの対応にあたった @haino さんにご提供いただきました。
ありがとうございます!

オウサマゲンゴロウモドキ(Dytiscus latissimus=ラティシムス)はヨーロッパ北部に生息するゲンゴロウモドキ属(Dytiscus)の大型種で、体長36-44mmに達します。国内最大種のナミゲンゴロウでも4cm超えの個体がいますが、オウサマゲンゴロウモドキは黄色い縁(キベリ)の横に大きく張り出した部分があり、体格的には大きく見えます。名前の通り「王様ゲンゴロウモドキ」の風格があります。

▼ナミゲンゴロウとのサイズ比較

この他、胸を縁取る黄色い縁や、雌の上翅の縦溝、前脚が南方種のナミゲンゴロウなどと比べ長いなど、ゲンゴロウモドキ属の特徴を兼ね備えています。ゲンゴロウモドキ属の雌の上翅の縦溝はただの溝の種もいますが、オウサマゲンゴロウモドキでは金色に輝き、体長的に世界最大であるだけでなく見栄えも兼ね備えた種と言えるでしょう。

オウサマゲンゴロウモドキ展示にいたる経緯

オウサマゲンゴロウモドキはゲンゴロウ大型種のご多分に漏れず減少していて、現地ではほぼ採集禁止となっている国際的な保護種です。今回はラトビア共和国政府の許可を得て生体を捕獲・輸入したもので、生体が日本に輸入されるのは初めてです。

ゲンゴロウの幼虫にはなんでも食べる飼育が簡単な種と、特定の餌以外では成長が鈍ったり、死亡率が高くなる「狭食性」が強い種がいます。オウサマゲンゴロウモドキ(Dytiscus latissimus)は餌としてトビケラの幼虫を好み、大量の生き餌を確保しづらいため幼虫飼育の課題となっています。@hainoさんによると、トビケラ幼虫でないと1令の死亡率が高いそうです。

日本にも生息するゲンゴロウモドキ

一方日本にも複数種のゲンゴロウモドキが生息し、中でもシャープゲンゴロウモドキは絶滅のおそれのある野生動植物を対象とする「種の保存法」で保護されています。モドキと言ってもゲンゴロウの仲間です。

石川県はシャープゲンゴロウモドキが最も多く、福島県いなわしろカワセミ水族館もエゾゲンゴロウモドキの累代飼育を行うなど、ゲンゴロウモドキ属の飼育ノウハウを持つ職員がいる館が選ばれています。

トビケラに代わる餌での飼育を確立して効率的な保護が可能になるか、期待されます。

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館では、飼育水は山水の利用のため、年間通して12-13℃前後と、本種を飼育する上では非常に適しており、今年度(注:2015年)より累代繁殖を進めています。今後は県内の生息分布が明らかになっていないため、域外保全をしながら県内の生息状況の把握に努めています。
平澤桂による「ふくしまを生きる水辺のいきものたち」Vol.2 エゾゲンゴロウモドキ

大型のゲンゴロウ類であるシャープゲンゴロウモドキは、里山の水辺環境を代表する種であるが、特に減少傾向が著しく、環境省の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト(昆虫類)(環境省 2007)では、絶滅危惧 I 類に選定されている。本種は、関東型と関西型で亜種レベルの分化が認められているが、このうち関東型は、かつての生息地のほとんどで絶滅し、現在は千葉県の房総丘陵のごく一部に生息しているのみであり、千葉県の保護上重要な野生生物千葉県レッドリスト(動物編)(千葉県環境生活部自然保護課 2006)では、カテゴリー A(最重要保護生物)に選定されている。

千葉県シャープゲンゴロウモドキ回復計画

成虫は10月頃より交尾を開始し、4月頃にセリやガマなどの茎に数十個のを産む。幼虫は4~5月に出現し、ミズムシや両生類幼生を捕食する。3齢幼虫は5~6月に岸辺の土中で蛹化する。新成虫は6~7月に出現し、夏~秋に移動・分散し、水中で越冬する。成虫は約600mは飛翔する。夜間に活動し、昼はの根元や泥に潜る。夏の高温時にも泥に潜る。寿命は1~3年。
いしかわレッドデータブック動物編2009

今11月ですが、すでに交尾済の個体もいるようです。産卵は来春なのでそれまで生体展示が続くものと思います。

オウサマゲンゴロウモドキの生体展示が見られる施設の営業情報

入館料金はいずれも1000円以下ですが、夕方までの営業時間と現地までのアクセスがハードルになりそうです。往復5時間以上かかります。

福島県「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」

磐梯山の麓、猪苗代湖のほとりにあります。いわき市の「アクアマリンふくしま」とは別の場所なので注意。都内からだと電車・車ともに片道3時間コース。

文一総合出版の「ゲンゴロウ・・ミズスマシハンドブック」著者陣の一人 平澤 桂さんの所属館。

石川県「ふれあい昆虫館」

金沢の先、白山市にあります。都内からだと新幹線を使っても片道4時間半コース。京都・大阪からでも4時間コース。

  • 公式サイト: http://www.furekon.jp/
  • 所在地:石川県白山市八幡町戌3
  • アクセス:利用案内参照
  • 営業時間・料金:11月~3月09:30~16:30、4月~10月 AM09:30~17:00(入館時間は閉館の30分前まで)
  • 休館日:毎週火曜日 祝翌日など例外が多いので公式サイトの「開館日」を参照するのが安全。

マルケシマンは彼らを守ることができるのか!?マルケシマン(@marukeshiman)さんの所属館。

山梨県「北杜市オオムラサキセンター」

都内からは中央線本線で片道2.5時間コース。都内からは一番近いか?

  • 公式サイト:http://oomurasaki.net/
  • 所在地:山梨県北杜市長坂町富岡2812
  • アクセス:アクセス情報参照
  • 営業時間・料金:9:00~17:00(最終入館16:30)。季節によって異なるので詳しくは公式サイトの利用案内参照。
  • 休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日(土・日曜日の場合を除く)。例外が多いので公式サイトに「休館日のお知らせ」を参照するのが安全。

名水と国蝶オオムラサキの里、GEN(@F_gengorou_1775)さんの所。

各館からの発表を眺める

・アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のアナウンスでは、日本で代用食を確立できた場合の意義に触れられています。
・小野田さんもTwitterにいますが名前と紐付いて良いのかわからないので本記事では触れません。

ラトビアにあるラトガレ動物園(Latgale Zoo)勤務のDr.Valerijs Vahrusevs(ヴァレリー博士)と、国内における希少ゲンゴロウ類の研究者である小野田晃治氏のご協力のもと、…
世界最大のゲンゴロウの飼育展示 | 北杜市オオムラサキセンター公式サイト

本種の幼虫は餌としてトビケラの仲間を好むという特異な食性を持つことが知られており、大量のトビケラを現地で集めることは非常に困難です。もし日本で代用食を開発することができれば、本種の域外保全に大きく貢献できるほか、生態解明に関する基礎研究を行う機会の増加や、ヨーロッパ各国において飼育繁殖のハードルを下げられることなどが期待されます。
国内初となるオウサマゲンゴロウモドキ生体の展示開始|アクアマリンいなわしろカワセミ水族館

オウサマゲンゴロウモドキ Dytiscus latissimus
分布:ヨーロッパ北部
体長:36~44mm
希少性:IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは危急種(日本基準では絶滅危惧Ⅱ類に相当)。ベルン条約の保護動物リスト選定種。分布地の大半で採集禁止など保全対象種とされる。

国内初!「オウサマゲンゴロウモドキ」の生体展示 | ふれあい昆虫館ホームページ

「域外保全」とは

絶滅危惧種の保護には生息環境を守る「生息域内保全」と「生息域外保全」の2つの方法があります。

現地で増えてくれるのに越したことはありませんが、減少原因が生息地にあり、その要因を除去するのが困難あるいは時間がかかる場合があります。リスク分散のため安全な施設で保護して増やす方法を「生息域外保全」と呼びます。

「生息域外保全」にあたり、飼育経験が少ない種や繁殖上の困難がある種では、効率的に累代飼育するノウハウを獲得する所から始めなければなりません。今回のオウサマゲンゴロウモドキも人工的な飼育・繁殖方法の確立フェーズにあると言えそうです。

参考:

オウサマゲンゴロウモドキに関する報道

世界最大種、日本初とニュースバリューがあり、地元紙で具体的に報じられYahoo!ニュース経由で全国にも配信されています。WebニュースはURLが消滅する可能性が高いので、一部引用します。

2019.11.19時点で全館、地元紙あるいは全国紙の地方版で担当者のコメント入りの記事が掲載されています。

2019.11.17 中日新聞「昆虫館 繁殖目指す 世界最大の希少ゲンゴロウ」

出典:https://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20191117/CK2019111702000052.html

成虫30匹が輸入され各館に4ペア。

今回、輸入されたのはすべて成虫の三十匹。種の保存に向けた研究のため、日本とラトビアの研究者が協議し初輸入された。うち八匹(雄雌各四匹)を同館が、残りは山梨県北杜市の昆虫館と福島県猪苗代町の水族館が飼育する。

水生昆虫に詳しい同館学芸員の渡部晃平さん(33)は「オウサマゲンゴロウモドキを展示するのが夢で、成田空港に受け取りに向かう前夜は興奮で眠れなかった。安定した繁殖ができるようにしたい」と話していた。

2019.11.16 日テレ系NNNニュース(動画あり)「世界最大のゲンゴロウが石川に」

出典:http://www.news24.jp/sp/nnn/news16334790.html

“体長4センチほどと、現存するゲンゴロウとしては世界最大”となっているのは1800年代に記録されロンドン自然史博物館に標本が現存する南米ブラジルの「オウサマゲンゴロウ」が5cmサイズだからです。オウサマゲンゴロウは1個体しか見つかっておらず、絶滅したと1904年に宣言されています。→2019.04パリ自然史博物館の未整理標本の中から新たに10個体発見されたとのことで、鮮明な写真が載っています (PDF) The return of the Duke—locality data for Megadytes ducalis Sharp, 1882, the world's largest diving beetle, with notes on related species (Coleoptera: Dytiscidae)

2019.11.17 北國新聞 石川県 白山の県昆虫館 欧州の絶滅危急種国内初展示

出典:https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000022211

一番経緯が詳しい記事でしょうか。

オウサマゲンゴロウモドキは欧州諸国の巨大な湖に生息し、体長36~44ミリとゲンゴロウの中で最大となる。背面は深緑色で、上皮が横に広がっているのが特徴だ。

日本側は提供して貰った立場なので相談された、伝える予定だ、などの言い回しが気になりますが、トビケラの代用餌の調査開発する旨紹介されています。

ラトガル動物園側から相談を受けた日本の研究者を通じ、ゲンゴロウの飼育や繁殖で豊富な経験のあるふれあい昆虫館など国内3施設に声が掛かり、トビケラの代わりとなる餌の調査、開発に協力することになったという。

昆虫館は今後、展示と並行してオウサマゲンゴロウモドキの繁殖に取り組み、来年3月頃に採卵を予定している。幼虫まで育てた後、トビケラ以外の昆虫を食べるかどうかなどを調べ、将来的に調査結果を動物園側に伝える予定だ。

2019.11.18 毎日新聞『「世界最大」のゲンゴロウ 石川・ふれあい昆虫館で展示』

出典:https://mainichi.jp/articles/20191118/k00/00m/040/043000c

毎日新聞の社会面「めっちゃ関西」コーナー。石川県ふれあい昆虫館メインでまとめたもの。毎日新聞なのでYahoo!ニュースやmsnなど提携メディアに転載されている。

担当者は「日本のゲンゴロウとは姿形が違う。優雅に泳ぐ姿を見てほしい」としている。

2020.1.26追記。翌日には英語版記事も出ていたようです。

World's largest diving beetles on display in Japan in effort to conserve species – The Mainichi魚拓

2019.11.18 朝日新聞『山梨)世界最大のゲンゴロウ、研究展示 北杜』

出典:https://www.asahi.com/articles/ASMCL3F4SMCLUZOB00C.html

繁殖にはえさの代用食の開発などが課題とされ、「域外保全」の研究を進めようと、ラトビアと東京の研究者が、飼育に精通している同センター、石川県ふれあい昆虫館、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館の3館を選んだ。

2019.11.19 福島民友新聞『世界最大種の「ゲンゴロウ」展示 猪苗代・カワセミ水族館』

出典:https://www.minyu-net.com/news/news/FM20191119-434659.php

転載は控えますが、紙の紙面でも掲載されています。

2019.11.24 FNN系列福島TV『国内初展示「オウサマゲンゴロウモドキ」世界最大のゲンゴロウの仲間が福島県猪苗代に!』

出典:国内初展示「オウサマゲンゴロウモドキ」世界最大のゲンゴロウの仲間が福島県猪苗代に! – FNN.jpプライムオンライン

展示されているのはラトビアからやって来た14匹。

エサを研究して繁殖を行うことにしていて、順調にいけば年明けに産卵をし来年春頃にふ化すると見られている。

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館平澤桂さん:「実際に動いている姿が見られるのでゲンゴロウと何が違うというところを見比べていただきたい」

ゲンゴロウの仲間は世界に4000種類いて、カワセミ水族館ではこのうち50種類を見ることができる。

2019.12.02 中日新聞 記者コラム 窓「ゲンゴロウ」

出典:ゲンゴロウ:記者コラム 窓:石川:中日新聞(CHUNICHI Web)

「オウサマゲンゴロウモドキが生息する欧州北部では、環境破壊が進み、生息数も減っている」と同館の学芸員は話す。今後、繁殖に向けた技術を研究するという。

自分も幼い頃、などの水生昆虫を捕まえて感激した思い出がある。いつの日か、この種が現地でごく普通に見られるようになる日が来ることを願う。(吉田拓海)

2019.12.08 中日新聞  マナビバ「【新聞わーくシート】 珍しい昆虫 飼育始まる」

出典:【新聞わーくシート】 珍しい昆虫 飼育始まる:あらかると:マナビバ:北陸中日新聞から:中日新聞Web魚拓

「マナビバ」とは小中学生向けの2ページの新聞で、毎週日曜日の北陸中日新聞朝刊に入っているそうです。記事を元に読み取る国語問題が掲載されています。記事を読めば回答できますが、質問だけみたら②番とかなかなか難しいですね。

石川県白山市(けんはくさんし)の県ふれあい昆虫館(こんちゅうかん)に、珍(めずら)しい昆虫がやってきました。記事(きじ)を読(よ)んで、問題(もんだい)にチャレンジしましょう。

2019.12.23 NHK石川放送局「世界最大のゲンゴロウ飼育開始」

出典:https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20191223/3020003552.html

「県ふれあい昆虫館」は、現在、8匹のオウサマゲンゴロウモドキを展示室の水槽で飼育していて、今後、さまざまな植物を水槽に植えて卵を産むかどうかを確認したり、幼虫のエサに適したものを調べたりすることにしています。
県ふれあい昆虫館の渡部晃平学芸員は「これまでのノウハウをいかして、オウサマゲンゴロウモドキの繁殖や飼育の技術を確立し、ヨーロッパでの保全活動に貢献したい」と話しています。

2019.12.28 朝日新聞「石川)迫力と見栄え 世界最大ゲンゴロウ 昆虫館で飼育」

出典:https://www.asahi.com:443/articles/ASMDP5CQJMDPPJLB002.html

12月になっても後追い記事が出るとは注目度が高いですね。記事内容も後発だけあってオリジナルな内容が多く良く書かれています。

オウサマゲンゴロウモドキの展示には展示と繁殖の2つの視点があります。

一つ目は世界最大種の国内初展示で”「日本では標本でさえ展示した例があまりない虫。生きていると、こんなにも迫力があって、緑色の体やメスの黄色い模様が美しいのかと感動した」”という点。

オウサマゲンゴロウモドキに限らず、ゲンゴロウは標本にすると変色が激しく、生きている時の鮮やかな色は再現できません。さらに照明やその角度によって体色が黒〜緑に変化したり、オウサマゲンゴロウモドキでは金色の溝が見える角度が限られるなど、肉眼で見るのが一番です。オウサマゲンゴロウモドキは水温が低い時期は物陰に隠れてじっとしている時間が長く、5〜10分に一度しか浮上しません。写真撮影のチャンスも限られいい写真は厳しいですが肉眼であればベストショット的なシーンを何度も見られます。

次に繁殖について。オウサマゲンゴロウモドキ幼虫はトビケラ偏食という特性を持っていて、効率的な繁殖の妨げとなっています。日本の大型ゲンゴロウは蛹になるまで種を問わず1ヶ月程度ですが、オウサマゲンゴロウモドキでも同じくらいのようですね。

学芸員の渡部晃平さん(33)によると、昆虫館のメスはいずれも交尾が終わり、今後は現在6度の水温をさらに下げて、おなかにある卵の成熟を促す。

卵は水中の水草などに産み付けられる。幼虫は、トビケラの幼虫を好むという特異な食性。トビケラは生息地によって生態が異なるため、北欧以外で飼う際に、エサをどう確保するかが大きな課題という。

渡部さんによると、卵から生まれた後、サナギになるまでは1カ月ほどで、「その間、トビケラの幼虫を100匹以上食べるだろう」と推測。幼虫が生まれたら、日本のトビケラやコオロギ、ヤゴなど代用のエサを試していくつもりだ。

2020.3.11 中日新聞 「昆虫の命 すくすく ゲンゴロウモドキ国内初産卵 昆虫館」

出典:昆虫の命 すくすく ゲンゴロウモドキ国内初産卵 昆虫館:石川:中日新聞Web魚拓

産卵を発見した同館の渡部晃平学芸員(33)によると、10日午前にオウサマゲンゴロウモドキを飼育している水槽を確認したところ、雌1匹の産卵行動を確認。動画を撮影することに成功した。

海外の成功事例を参考に、水槽内にオウサマゲンゴロウモドキがすむ欧州北部の野生環境を再現。雌が卵を産み付ける植物「リュウキンカ」を水槽内に植えたり、6日から飼育水槽の冷水装置を止めて春の水温上昇を再現したりして初の産卵確認にたどり着いた。

関係者及び訪問者からのオウサマゲンゴロウ写真Tweet

https://twitter.com/olypanafujiX/status/1197886985924304896

オウサマゲンゴロウモドキ動画

https://twitter.com/daiginjo3/status/1199656972833841152

【おまけ】オウサマゲンゴロウモドキのグッズ・アート

https://twitter.com/YSK_TGS/status/1201063459925852161/photo/1

latisimmusの博物画は2種類あるようです。

2020年1月24日からイラストレーター安斉 俊さん原画のオウサマゲンゴロウモドキの絵葉書が、福島県アクアマリンいなわしろカワセミ水族館で発売されました。
https://twitter.com/InawashiroAQ/status/1220569792651780096

2019年にチェコ旅行に行きました。プラハ中央郵便局の切手シートに載っていたオウサマゲンゴロウモドキ。

オウサマゲンゴロウモドキ(latisimmus)
チェコの切手シートからオウサマゲンゴロウモドキ

博物バザールで入手したオウサマゲンゴロウモドキの切手

オウサマゲンゴロウモドキの切手
オウサマゲンゴロウモドキの切手

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