一般に泳ぎ下手とされるガムシですが、小型の「タマガムシ」は無重力遊泳が度々バズる泳ぎ上手。昨年20万再生された動画の子どもたちが生まれたので、育ててみることにしました。タマガムシ幼虫は水際で生息する生活様式を持っているようです。
無重力遊泳が話題の「タマガムシ」とは
一般にガムシは泳ぎが下手とされますが、それはゲンゴロウと比較してのことで、水中生活には不自由しない泳力を持っています。
4cm弱に達する大型水生昆虫の「ガムシ」に対して、今回主役の「タマガムシ」は3.5mmくらいの小型種。丸っこい体と背を下に巧みに遊泳する習性で知られます。どこにでもいるわけではありませんが、ヒシなどの浮葉植物が豊富でやや水深がある止水域に多産します。
頭を下に巧みに泳ぎ回る様子は昨年20万再生され、ABEMA経由でYahoo!ニュースにも取り上げられる話題となりました。
このタマガムシは、石川ふれ昆の渡部さんにフィールドへ連れて行ってくれた所から来たものです。
タマガムシ幼虫の飼育方法
結論から言うと、タマガムシ幼虫はイトミミズを餌に飼育可能で、2週間ほどで成虫が誕生します。プリンカップに足場となるネットを入れ、幼虫サイズに応じたイトミミズを与えます。イトミミズは次第に集合し一箇所に固まってしまうので、適宜ピンセット等で撹乱すると良いでしょう。
大型ガムシの幼虫は水中生活しますが、タマガムシの幼虫は水際の水上にいて水中は苦手のようです。したがって餌が取れるよう水深は1mm程度とごく浅くしました。タマガムシは3令が終齢で、テントウムシに似た蛹を同じく水際に作ります。蛹は数日で羽化し新成虫が見られるでしょう。
タマガムシ幼虫の成長過程
水際に張り付いているタマガムシ幼虫を回収し、プラカップ飼育を開始。幼虫はいわゆるガムシ幼虫の姿をしています。
ガムシはゲンゴロウなどと同じく体外消化しますが、牙から注入する機構がなく、口元で消化液と混ぜてから食べます。水中だと薄まってしまうので、写真のように餌を掲げる習性を観察可能。
食べてる食べてる#タマガムシ pic.twitter.com/LPbfwasuKN
— ゲンゴロウ飼育ブログ (@gengo6com) April 9, 2021
餌を捕らえると、壁を登って餌を引き上げますが、水上数センチ登ることも。
さらに上がいた(文字通り) pic.twitter.com/OIi06qITWR
— ゲンゴロウ飼育ブログ (@gengo6com) April 9, 2021
イトミミズはアクアリウムショップなどで豊富に出回っていて、入手容易な餌。数百円あれば使い切れないほどの量を買えます。
問題はすぐお互い絡み合って玉になってしまうことで、ピンセット等で適宜ほぐしてばらしてやる必要があるでしょう。
イトミミズがキッチンペーパー下に潜ってしまうため、ネットならどうかチャレンジ中。左上は引っ張り上げる途中でイトミミズに逃げられたタマガムシ幼虫。 pic.twitter.com/UXKc2O9SkN
— ゲンゴロウ飼育ブログ (@gengo6com) April 11, 2021
タマガムシ3令幼虫は前半はよく食べるものの、後半はじっとしていることが多いようです。
https://twitter.com/gengo6com/status/1381982620355989505
イトミミズも、数センチサイズのものを食べられるようになります。
タマガムシは、幼虫が暮らしていた時の環境でそのまま蛹を作ります。三葉虫のような背中の張り出しは腹部。
下の写真ではタマガムシの蛹が3つ並んでいます。左端の蛹では折りたたんだ翅が、右端の蛹からはヘルメット状の胸部が見え、タマガムシらしさが現れつつあります。
気づくとタマガムシ新成虫が誕生していました。
タマガムシ飼育今後の課題
タマガムシは冬越し含め半年ほど飼っていますが、実は餌がよくわかっていません。現在手元には20匹以上幼虫がいるので、もりもり増やして長生きさせたいものです。
それから、餌はミジンコでもよいという話があります。ミジンコ養殖水槽にタマガムシ幼虫を放り込んだので、うまくいけば3令を回収するだけで済むかもしれません。今の所、2令になったことは確認しています。