世界は広い!アフリカにいる「タガメモドキ」は巨大コオイムシ。タガメ並の5-7cmの大きさを持ちながら、コオイムシ同様背中に卵を背負います。標本は比較的豊富に流通し、石川県ふれあい昆虫館でも生体展示しています。
English version, African Hydrocyrinus is a large Giant Big Bug
日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。
アフリカの巨大コオイムシ「タガメモドキ」
世界を見渡すと、タイワンタガメ系のLethocerus属が東南アジア・アメリカ・アフリカなどに多くの種を持ちます。日本のタガメは、体格比で大きな前脚を持つなど固有の特徴を持ち、Lethocerus属から独立したKirkaldyia属に分類されています。
一方、アフリカは面白くてLethocerus属のタガメもいながら、タガメサイズになる巨大コオイムシ「タガメモドキ」が生息しています。複数種いますが、詳細な資料はありません。
下の写真は、左側がアフリカ・マリ産タガメモドキ(Hydrocyrinus)で、右が日本産タガメ(Kirkaldyia deyrolli)。タガメモドキは、体格ではタガメより大きなコオイムシということになります。
タガメモドキは、名前こそタガメですが、外見的・生態的特徴はコオイムシの仲間そのもの。
- タガメと異なり成虫の前脚も2本爪
- 前脚は横に広がらず、カマキリのように上下に構える
- オスが卵を背負って保護する
- タガメより頭部が大きく横に広がる
Hydrocyrinusの前脚の爪が2本であること、頭部がタガメより2倍近く大きいことに注目。
日本のコオイムシ「Appasus japonicus」
コオイムシは水生カメムシの仲間で、世界各国に生息します。日本に生息する「Appasus japonicus」は2cm程度の大きさ。コオイムシは鎌状の前脚を持ち、小さな虫を捕らえて食べます。日本の水生昆虫は農薬や農業の近代化、アメリカザリガニなどの外来種侵入により、1980年代頃までに大きく生息数を減らしました。
日本のコオイムシは、水生昆虫の入門種的な存在で、タガメやゲンゴロウと比べると数も多く、普通種と言えるでしょう。食欲旺盛で成虫同士は集団飼育可能、ただし産卵を繰り返し数が増えてしまう点と、子どもが共食いする点に注意が必要です。
ついでにインセクトフェアの話
今回のタガメモドキとコオイムシの標本は、大手町のインセクトフェア@サンケイビルで購入。インセクトフェアは国内最大級の昆虫関連展示即売会。コロナ影響下の昨年は中止になったようですが、2021年は例年の9月より遅い11月に開催。
蝶・カブクワがメインですが、生体・雑貨・飼育・採集道具など周辺グッズのブースも出ています。撮影禁止ですが、参加者が多いので顔見知りと話すOFF会的な機能も持っているようです。
ブース間の通路が狭く、すれ違うのにも苦労する感じなので、小さなお子さま連れだと厳しいかもしれません。
コメント失礼します。「タガメモドキは、名前こそタガメですが、外見的・生態的特徴はコオイムシの仲間そのもの」と書かれていますが、タガメ類もコオイムシ科に属するコオイムシの仲間なので、この表現はどうかと思われます。コメント失礼しました。
分類でいうとそうですね。
私の方は、タガメモドキが日本のタガメとコオイムシどちらに近い外見・生態をしているかという話でした。