水生昆虫は、水深数cmから20cmくらいの浅い所にいる種が多いのですが、そういう所で見かけるのが「ドジョウ」です。「ドジョウすくい踊り」などで庶民に親しまれるドジョウも最近では取ったことがない方も多いのでは?そんなドジョウの生態や特徴についてまとめました。
ドジョウの世間のイメージ
ウナギやメダカを知らない人はいないと思いますが、そういう意味ではドジョウもかなりの知名度を誇っているのではないでしょうか。
みなさんのだいたいのイメージを列挙してみると…
- ウナギを小さくしたような体型
- 細長くにょろにょろしている
- 口ヒゲが生えている
- 手のひらサイズ
- 田んぼや小川、用水路で取れる
- ドジョウ鍋にして食べる(駒形どぜう)
正解!だいたい合っています。
ドジョウはコイ目ドジョウ科に属する淡水魚で水田や湿地など日本全国に生息しています。雑食で何対かの口ヒゲを持ち、水底を漁っています。
魚介専門店として人気の御徒町「吉池」でもどじょうを販売しています。青森産となっていますが、昔は青森から東京へ出荷する「ドジョウ列車」も仕立てられるほどだったとか。
一大ブームは三九年の七月でも変わらなかったようで、『最盛期のドジョウ出荷 土用を前に注文殺到』よ。『りんごの袋かけ、水田の除草作業を終えた農家の人たちまでドジョウカゴを背に用水堰をあさっている…東京方面の料理店からドジョウの引き合いが殺到地元集荷業者の買い上げ価格の二割増しで引き取るのでかせぎもバカにならないというわけ』も凄まじいし遠く北海道までドジョウをとりに行った人も少なくない』んだと。
どぜうは津軽の淳四郎=1 by 陸奥新報
市販のドジョウには農薬リスクがありますが、餌としてタガメの飼育にも使われます。
「ドジョウすくい踊り」でも親しまれる
島根県の「安来節」に代表されるドジョウすくいの踊りは、民俗芸能あるいはお座敷芸、芸人の出し物として全国的に知られます。
着物の裾をたくし上げ、ザルで掬ったり素手で掴み取りしたりする様子を滑稽に表すアレです。ドジョウすくい踊りは「安来節」が代表的ですが、動画からは色々な情報が読み取れますね!
- ドジョウを取るのに船で漕ぎ出す必要はない
- 中腰で取れるくらい浅い所にいる
- 立派な釣具は要らない。ザルでいい。
- 素手で取れるくらい簡単。
そうなんですドジョウは田んぼや用水路にいて、農家の方がついでに取るくらいの身近な魚だったんですね。という話を今日はします。前置きが長い!
ドジョウの生息環境
ドジョウは水田やそれに接続する水路、小川などに生息しています。写真は、山間の田んぼと接続した水路。水深は数cmでドジョウやヒメゲンゴロウ・コシマゲンゴロウが多数見られました。
水面を覆いつつあるのはクレソンですかね?明治に渡来した外来種らしいですが周りから孤立した場所でも増殖しまくっていました。
アオミドロごとすくうと無数のゲンゴロウたちが!放っておくと飛び立って水辺へ帰っていきます。
もう一箇所。棚田の素掘り水路。水も少なく一見何もいないように見えますが…
水面を覗き込むとドジョウやゲンゴロウが動き回っています。秋で残った水域に虫が集まっている状況はあるものの、クロゲンゴロウやコオイムシなどもいて多様な種が見られました。
水生昆虫とドジョウ
タガメやコオイムシ、ゲンゴロウなどの水生昆虫は、コンクリ護岸でない浅い水路にいます。護岸されていない水路を「素掘りの水路」と言ったりしますね。コンクリ護岸は流速が早く、隠れる場所がなく、上陸して蛹になる種も世代を重ねられません。
こういう所を探していくと、必然的にドジョウの生息地に行き当たるという訳です。