ゲンゴロウは水生昆虫ですが、周辺に水辺がない所でも見つかる例があります。ゲンゴロウは“飛ぶ”ことができて、灯火などに集まったものが見つかるのです。大型種は頻繁には飛びませんが、ヒメゲンゴロウやハイイロゲンゴロウなどはカジュアルに飛び立ちます。
水生昆虫なのに、ゲンゴロウは飛ぶの?
ゲンゴロウは流線型の体を持ち、水中をスイスイと泳ぎます。かなり水中に適応した昆虫に見えるのに、周辺に水辺がない場所でも見つかるのはなぜでしょうか。メダカの鉢や、庭のビオトープにいつの間にかゲンゴロウがいることがありますよね。
ゲンゴロウは飛ぶことができ、夜間灯火などに集まったものが、翌日一般の方に見つかる事例もよくあります。ゲンゴロウの中には水たまりのような不安定な水域を好むものもいたり、成虫が生息範囲を広げるため、飛んで移動します。
ゲンゴロウの中でも、よく飛ぶ種がいる
カブトムシなんかは夜飛ぶ音がうるさいなんて聞きますが、大型のゲンゴロウは飼育下ではほぼ飛びません。新成虫はよく飛ぶ気がしますが、それ以外では見かけないです。そもそも、大型種では体を乾かす→体温を上げる→飛び立つというステップが必要で、すぐ飛び立てないんですね。
これに対して、1.5cmくらいの中型ゲンゴロウの仲間はよく飛びます。動画に登場するヒメゲンゴロウは全国に分布する普通種で、一番見る機会がある種でしょう。
ブンブン飛んでいますが、網ですくって数秒〜十数秒で飛び立てることがわかります。
これがハイイロゲンゴロウだとすごくて、水面からいきなり飛び立てる特技を持っています。水面でブンブン唸ったかと思うと飛び立ちます。
「何かあったら飛んどけ!」という方針でやっているように見えますが、これはハイイロゲンゴロウが一時的な水域を好む生態に由来するようです。
一時的な水域はボウフラなどの餌がある一方、競合種や大型の魚類がいないニッチです。ハイイロゲンゴロウは、こうした環境をうまく利用しているんですね。
頻繁に見られる「甲羅干し」
ゲンゴロウは飛ぶ前に体を乾かす必要があると書きましたが、それとは別にゲンゴロウはかなり頻繁に甲羅干しをします。寄生虫やカビの発生を防ぐためだと思われ、長期間甲羅干ししていないゲンゴロウでは、脚の付け根に水カビが発生する個体が見られます。
ゲンゴロウは「飛ぶ」のかに関するFAQ
ゲンゴロウは飛びます。特にヒメゲンゴロウやハイイロゲンゴロウなど中型種はよく飛びます。ちなみにタガメも飛びます。詳しくは「飛ぶタガメ!灯火飛来事例」記事をどうぞ。
水が干上がった場合や、新たな生息地を求めて移動するためです。コガタノゲンゴロウなどは近年生息地が拡大し、飛翔によって生息地を広げていると考えられます。「コガタノゲンゴロウの生息地と近年の分布拡大」についての記事をどうぞ。
ゲンゴロウは灯火に集まることがありますが、近距離が多いようです。
大型種は植物などに登って体を乾かした後飛びます。ハイイロゲンゴロウは、水中からいきなり飛び立つ例外です。