タガメに刺されるとどうなるのか?!日本最大の水生昆虫タガメ。飼育経験者がタガメに刺された場合の影響と、人間に対する毒や消毒液の効果について説明します。
タガメとはどんな昆虫?
最大7cm弱に達するタガメは、日本最大の水生昆虫。ゆるやかな流れの水路や田んぼ、ため池などに生息します。待ち伏せ型の狩りをして、カエルや小魚などの餌が近づくと、鋭い爪がついた強力な前脚で捕まえます。
さらに、鋭い口吻を獲物の体に突き刺し、消化液を注入して相手を消化します。吸われた相手は、ペラペラの皮だけになってしまいます。これを「体外消化」と言います。
タガメは過去、亀やマムシなども捕らえた事例が報告されている強力なハンターです。
タガメに刺されると何が起きる?人間が刺されても大丈夫?
写真はタガメの1令幼虫ですが、すでに自分の倍以上の体格の獲物を捕らえています。普通に考えれば振り落とされそうですが、獲物は数分で動かなくなるのです。不思議!
こうしてみると、前脚の力以外に相手を仕留める毒的なものがあるはずですが、人間が刺されたらどうなってしまうのでしょうか?
実は、私はタガメに刺されて吸われた経験があります。小学生の頃、飼っていた個体が弱って、心配した私は自分の指を吸わせたのでした。もちろん痛みはありますが、餌が取れるということはまだ大丈夫なんだという喜び・安堵の方が大きかったように思います。
その後なんともないので、多少タガメに吸われたくらいで人間に致命的なことが起きる心配はなさそうです。(弱った個体だったので大丈夫だっただけかもしれません。)その後タガメに刺された人の体験談を確認していくと、腫れた人も結構多いようです。
ちなみにタガメに刺された平坂寛さんの手が腫れ上がった事例などもありますが、普通は前脚に捕まった時点で痛くて振りほどくので、刺されたままでいる人はいません。野外での個体数も少なく、タガメに刺される現実的なリスクは、ほとんどないと言って良いでしょう。
タガメの前脚の先は1本爪になっていて、これに捕らえられると、ぬるゆるしたドジョウであっても逃げられない様子。
タガメの毒は消化液だけ?
タガメは獲物に口吻を突き刺し、消化液を注入して獲物の体を消化してから吸収します。ゲンゴロウの幼虫なども体外消化です。以下の動画では、ゲンゴロウ幼虫の牙の中を液体が移動する様子を確認できます。
タガメの獲物は捕らえられて数分で動かなくなってしまいますが、これは消化液の効果なのでしょうか?麻痺系の神経毒を注入する、とする記述も見かけますが、成分はわかっているのでしょうか。
見た限り直接タガメの麻痺毒やその成分に触れた論文は見当たりませんが、大きな意味ではカメムシの仲間なので、サシガメその他の成分が参考になりそうです。たとえばクイーンズランド州大学の研究では、捕食性のカメムシの毒は麻痺、死、組織の液状化を引き起こします。
細かい成分は不明な所が多いとしているものの、無脊椎動物に対してはナトリウムチャネル阻害作用、つまり神経毒として作用。また脊椎動物に対しても、ネズミの実験では痛み、筋肉の麻痺、出血を引き起こし、呼吸器の麻痺によって死亡したとしています。
刺されるリスクがあって痛いのは「マツモムシ」
ということで、タガメに刺された獲物は消化液に加え、神経毒で動けなくなってしまうことがわかりました。人間は体格も大きく少し刺されたくらいでどうこうはありませんが、「痛い」「はれることもある」「数日それが続く」事例を見聞きしています。
とはいえ、タガメ自体が希少であること、体格も大きく間違って口元に手をやるようなこともないことから、タガメに刺されるリスクというのは、ほとんどないでしょう。
一方マツモムシは、「刺されると痛い」と水生昆虫界隈に定評ある水生昆虫。普通種で網に入ることも多く、小さく持つ場所もないので、うっかり掴むと刺されてしまうんですね。
タガメに刺された時のFAQ
痛いです!指が数日から一週間腫れた事例が複数あります。
タガメの消化液には麻痺作用もあり、獲物は数分で動けなくなってしまいます。人間の場合、生死に影響することはないでしょう。
お医者さんも治療例少ないと思いますが、数日腫れる例もあるので、痛みが酷いなら皮膚科などに行った方がよいでしょう。虫刺され的な対処をされることと思います。
マツモムシやコバンムシは痛い!という声が多いです。小さかったり薄い体だったりで、掴んだときに刺されやすい。
タガメに刺されると痛いらしいことは知っていたっすけどカエルが数分でご臨終するぐらいの毒だから痛いどころの騒ぎじゃなくなると思いますねマジで。
因みにこの鬼,コオイムシになら刺されたことありますがあんま痛くなかったっすね。痒くもならなかったっす。
そのコオイムシがまだ俺が小学校の頃のプールにいたというのはまた別の話w