田んぼの「ひよせ」「ほりあげ」「ぬるめ」「しりあげ」どれが正解?レファ協に寄せられた問い

湿地

Twitterに@crd_tweet(国立国会図書館レファ協公式)というアカウントがありまして、全国の図書館に寄せられた質問の記録など、調べものに役立つ情報を紹介しています。面白いものがあるのでフォローしているのですが、水生昆虫に関する田んぼの“アレ”何て呼ぶ?という興味深い質問を見つけました。

田んぼの“アレ”なんと呼ぶ?問題

該当の質問はこちら。北関東で、水田の用水路の横にもう1本溝を掘る方法があったらしい。各地に同様のものはあるが呼び方がバラバラらしい。統一した呼び方はないのか?という物です。確かに!

私などは「掘り上げ」認識でいたので、文献の「ひよせ」「ぬるめ」「しりあげ」などを見て別のものかと思っていたほどです。

水田について調べている。茨城・栃木など北関東で、水田の用水路の横にもう1本溝を掘る方法があったらしい。そのあたりに限らず各地で行われているようだが、統一された名称がないようだ。ネットで調べ、方言はいくつか見つかったが、それについて調べられる資料はないか。

レファレンス協同データベース

田んぼの脇にある水路、特に3面コンクリートでない「素掘りの水路」には、多くの水生昆虫が生息しています。田んぼの中干しで水が枯れてしまう所も多いのですが、常時耐水している「掘り上げ」は避難場所として機能します。

多分フォロワーさんにはこれらの地形に親しい方が多いのでアンケートを取ってみます。

佐渡では田んぼの脇に「江」を残して朱鷺の場としていますが、同じ発想です。

ひよせ=「陽よせ」、ほりあげ=「掘り上げ」か

その後つらつらと検索しまして、「ひよせ」だと結構ヒットすることがわかりました。

水田に小水路(ひよせ,江など)を設置することで、地域に生息する水生昆虫が定着します。中干しや間断灌漑を行うと、水田内の指標種や水生生物の数や種数が減りますが、水田に再入水すると、再び、小水路からの侵入により生物多様性指標種や水生生物が増え始めます。

中山間地水田における
農業に有用な生物多様性を保全する取り組み

さらに有力情報として、以下が見つかりました。この「陽寄せ(ひよせ)」の話はほかでも聞いたことがあって、要するに山間部・丘陵部の谷津田・谷戸田では湧水を水源としていますが、日当たりも悪く水温が低い。そこで一旦「陽寄せ(ひよせ)」で温めてから田んぼに入れる、という工夫が行われてきたそうです。

尻水(排水口)付近に作るのは主に水田の水はけを良くする目的で作られ、地域によって呼び名は異なりますが、「承(しょう)水路」、「てあぜ」、「江(え)」、などと呼ばれています。これに対し、水口(取水口)付近に作るのは「陽寄せ(ひよせ)」と呼ばれ、主に山間部で谷川の水を温めてから水田に入れるために作られています。

生物多様性向上農業拡大事業

一方、掘り上げの方は「掘上田」「堀下田」などの用語や名字の「掘田」さんに名残を残しています。それもレファ協に質問が寄せられています。

堀上田(ほりあげた)が、埼玉県内のどの地域にあるか、いつ作られたか、どんな目的で作られたか、わかる資… | レファレンス協同データベース

国立国会図書館レファレンス協会公式サイトの人気Tweet5選

Twitterの検索コマンドで100RT以上のTweetを抽出した中から、良かったTweetをご紹介します。

@crd_tweet min_retweets:100

Q:渡辺姓の家で豆まきをしないのはなぜか?

平安時代の武士、渡辺綱は頼光四天王と謳われた豪傑で、鬼退治の伝説で有名。渡辺氏の苗字の元となったと言われているので、鬼は渡辺家に寄り付かない→豆まきしない、ということらしいです。

Q:大名行列で大名がトイレに生きなく鳴ったらどうしていたのか?

おまる付きの籠に飛び乗っていたした、という話は本当か?というご質問。携帯用のトイレがあり、それを用いたようです。

Q:人間がおしりを吹き始めたのはいつ頃で、各国では何で拭いているか?

なかなか深い質問。おしりを拭く哺乳類は人間だけかもしれない。犬猫などでは、直腸が外にめくれだすため、直接お尻を吹く必要がないらしい。2足歩行の人間は、排泄という問題を抱えることになったのだ!世界の「拭くもの」の多様性も興味深い。

Q:なぜ町田市は東京都なのか?

町田市に「まちだはまちだ」の垂れ幕が下がっているのを見たことがありますが、町田は神奈川なのか東京なのか問題。ちなみに、町田は東京都のため、machida.kanagawa.jpというドメインを個人が取得可能というバグがあります。
※セキュリティ研究者が保持しているとかなんとか。

Q:刑事ドラマでカツ丼を出すようになった経緯は?

実際に警察の人に聞くと、カツ丼を出してくれることはなくてがっかり、とのことですが、そもそもどういう経緯で広まったか。1955年にヒットした映画「警察日記」で登場したシーンがきっかけとのこと。

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