「タガメが何になる?」の答え。種類や分類、特徴や生態についてまとめます。タガメは65mmに達する日本最大の水生昆虫で、その生態はよく研究されています。飼育下でもメダカや金魚を餌に成虫にすることができます。
日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。
タガメの種類と分類
「タガメ」は日本最大の水生昆虫で、カメムシ目コオイムシ科タガメ亜科に分類される学名Kirkaldyia deyrolliのこと、あるいは世界各地に生息するタガメの仲間の総称。オスが卵塊を守る習性で有名です。
世界には数十種のタガメがいてその多くはLethocerus属(タイワンタガメ属)。種の数が多いのはアメリカで、それ以外のアジア・アフリカ・ヨーロッパ・オセアニアには数種ずつしかいません。
日本のタガメは最近、Lethocerus属(タイワンタガメ属)から独立したKirkaldyia属(タガメ属)に再分類されました。外観的には以下の点で区別されます。
- タガメの眼球は三角だが、タイワンタガメ属では円形に近く大きい
- タイワンタガメ属は、頭部から胸部にかけ逆V字型の模様がある
- タイワンタガメ属は、タガメより体格比の前脚が小さい
- タイワンタガメ属は、タガメより扁平な後ろ脚を持つ
タガメの生息環境
タガメは水草が豊富で流れが緩やかな田んぼやその脇の水路、沼地やため池などに生息しています。数10cm等の浅い水域を好み、カエルや小魚などを捕らえる待ち伏せ型の狩りをします。長靴で入れる程度の水深でもOKで、胴長が必要なほど深い場所にはあまりいません。
タガメは成長すると何になる?
タガメは成長しても、タガメのままです。コオイムシはタガメの子どもと間違われることがありますが、成長してもタガメにはなりません。
タガメの幼虫は成長するにつれ、色や模様が変化していきます。1令では縞模様がある茶褐色で、2-4令は暗緑色、終齢の5令幼虫では羽化直前に赤く変化します。また、3・4令の右側の個体のように、脱皮直後は鮮やかなエメラルドグリーンに発色します。
タガメは同じ成長段階の幼虫同士では基本的に共食いしませんが、縞模様は同種間の区別に役立っているという説があります。
タガメの成虫は茶褐色から灰褐色ですが、羽化直後は金色に輝く新成虫が現れ、これは40日に及ぶ飼育のハイライトと言えるでしょう。
オスが卵塊を守るタガメの生態
タガメはオスが水面を揺らす「ポンピング」によってメスを呼び、植物や杭などに卵塊を産み付けます。メスが去った後、オスは卵塊を保護します。タガメの卵は水上にあるため、オスが給水して保護することが重要です。何らかの理由で放棄された卵塊は孵化しません。
一週間から10日程度経った卵塊は一斉孵化した後、水中に落下していきます。この辺りは、図鑑やTVで見たことがある方も多いでしょう。