ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)が2020年に飼育禁止される話はどうなったのか

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)

ミドリガメ()が2020年に禁止になるという話がありましたが、2021年現在まだ飼育禁止になっていないようです。ミドリガメ(アカミミガメ)が飼育禁止される話が出た経緯と、その後どうなったか調べてみました。

追記。2021年8月の専門家会議で、アメリカ・ミドリガメ規制を念頭に、法改正による“規制の仕組み必要”との提言がまとまり、具体的には種の保存法「特定第二種」の外来生物法版的なものが想定されています。この経緯について、詳しく解説します。

あれミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)って2020年に飼育禁止になるんじゃなかったけ?

環境省は2015年、ミドリガメ(アカミミガメ)について5年後となる2020年を目処に、輸入禁止など段階的な規制をする方針を打ち出しました。これは日経新聞その他で報道されていますが、環境省サイト上には直接的な情報が出ていません。

上記の報道は、それぞれ以下の環境省発表に対応しています。ミドリガメ(アカミミガメ)とアメリカザリガニは、法律で色々規制される「特定外来生物」制度の施行当初から、指定対象として検討されてきた目玉的存在です。

しかし、飼育数が多すぎて指定時の野外流出など社会的な影響が大きい、ついては周知も兼ねて段階的な規制を検討していきますよ、という取り組みが2015年の「アカミミガメ対策推進プロジェクト」の発表です。

この「アカミミガメ対策推進プロジェクト」は、2015年3月に発表された「被害防止行動計画」で、以下の言及が行われたことに対する具体的なアクションでしょう。

大量に飼養されている侵略的外来種であるミシシッピアカミミガメについて、大量に捨てられること等の影響が出ないような対策を実施した上で、段階的な法規制の導入を行うこと等を検討します。

環境省「外来種被害防止行動計画(2015)

ミドリガメ・アメリカザリガニは外来生物法の法改正を待って対処が行われる見込み

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)やアメリカザリガニは、生態系への侵略性が高いことから、当初より「特定外来生物」指定が検討されてきましたが、その場合大量に飼育されている個体の野外流出や、飼育許可の申請周りで事務がパンクするなどの課題が懸念されてきました。

外来生物法については、2014年の前回改正施行から5年が経つことから、次回の改正が検討されています。このなかで、種の保存法の「特定第二種」に相当する規制内容が異なるカテゴリー分けが行われる見込みです。例えば、輸入や販売・放流は禁止されるが、現在飼っているものはOKとすることで、野外流出や飼育許可の問題を解決できるのではと考えられます。

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)問題の概要

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は、2005年の外来生物法施行当時から、特定外来生物の指定が検討されてきましたが、いくつかの理由から見送られてきました。

  • 野外に広く定着しており、在来種への競合等による影響がある可能性があるが、野外での確認事例が少ない。
  • 大量に飼育されており、指定により野外への大量遺棄が発生するおそれがある。
  • 販売方法や飼育者への普及啓発に取り組むべきである。
  • 本種の規制により、代替となるカメ類の輸入が増大する可能性がある。
野外での繁殖確認事例について補足

2005年当時は「野外での繁殖確認事例が少ない」としていましたが、2015年の「アカミミガメ対策推進プロジェクト」では、”野外での繁殖確認事例の増加や在来の採食、ニホンイシガメとの競合、農業被害等が指摘されており”としています。

アメリカ原産のミシシッピアカミミガメは、1950年代後半から幼体が「ミドリガメ」として輸入され、その数は1990年代半ばに年間100万匹でしたが近年は10万匹前後と推定されています。

  • お菓子の景品として毎週3000人に配られた時期もあった
  • 環境省の調査では2013年時点で約110万世帯で約180万匹を飼育
  • 2016年の調査で野外で800万匹弱が生息と推計

ミドリガメとして売られている頃は5cm程度ですが、成長すると甲羅だけで20-30cmに達し、一般家庭では飼いきれず野外に放たれたものが、在来種を圧倒し「自然しらべ2013 日本のカメさがし!」によれば、野外で確認されたカメの約6割がミドリガメという状況になっています。

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)飼育禁止に関するFAQ

ミドリガメは飼育禁止されている?
2022年現在、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は法規制されていませんが、2023年から「特定外来生物」に指定される見込みです。2022年に成立した外来生物法一部改正で、特定種において飼育・譲渡に除外規定を設けられることになったため、アメザリとミドリガメが初適用になるはずです。
ミドリガメは近い将来、飼育禁止になる?
ミドリガメが将来「特定外来生物」に指定されたとしても、個人による飼育は対象外となる可能性が高いです。飼育個体数が多すぎて指定時に大量に遺棄される個体が出ないよう、検討されています。その辺りの事情は、記事本文をご確認ください。
ミドリガメの規制内容はどうなる?
現在の「特定外来生物」規制では、輸入・移動・放流・飼育・売買・譲渡などが禁止されます。今後、個人の飼育は対象外とする新カテゴリーの創設が検討されています。法改正が必要で、早くて2023年以降です。

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