螺鈿模様が美しいマルガタゲンゴロウ!見た目はエイリアンな幼虫を飼育

マルガタゲンゴロウ

マルガタは植物が豊富で水質がきれいな止水域に住む中型ゲンゴロウ。成虫の羽根は細かな螺鈿模様に覆われる美麗種。はミジンコ食で知られ、よく泳ぐ。見た目からエイリアンっぽいと言う人も。マルガタゲンゴロウの特徴や幼虫の方法について。

マルガタゲンゴロウの特徴

マルガタゲンゴロウは体長12-15mmで、沖縄を除く全国に生息します。中国や極東ロシアにも生息していて、メススジゲンゴロウ含め北方系の種かと思います。

形態は文字で説明すると長くなるのですが、「頭部と前胸部は黄褐色で,頭部と前胸背の前後縁は黒食(日本の水生昆虫より)」であり、上翅は黒色をベースに黄褐色の小斑点に覆われ螺鈿模様を形成します。

以前紹介したなどは、一時的な水域も利用して都会でもたくましく生きているのですが、マルガタゲンゴロウはきれいな水を好むようで全国的に減少しています。産地では多産するようで、頑張ればまだ見られる種、という感じです。

ゲンゴロウの模様ではオオイチモンジが繊細ですが、マルガタゲンゴロウも螺鈿模様が美しい美麗種で好みです。

マルガタゲンゴロウ

北海道北部やサハリン、極東ロシアには「カラフトマルガタゲンゴロウ」という別種がいますが、カラフトでは腹面が黄褐色なことで区別可能です。

マルガタゲンゴロウの腹面は黒色

マルガタゲンゴロウの交尾

ほかのゲンゴロウと同じく、ペアを入れておけば勝手に交尾します。特に特徴はありません。

幼虫は5〜8月に出現するとされますが、私の所では11月に発生しました。室内飼育で照明や水温条件が異なっているからでしょう。産床はセリなどが知られています。

マルガタゲンゴロウの交尾
セリをかじった跡_20190509
マルガタゲンゴロウのが産卵に利用するセリ

マルガタゲンゴロウの飼育方法

きれいな水を好むとされますが、飼育下ではほかのゲンゴロウと同じで構いません。水を入れた容器に、甲羅干しできる足場を入れ、として煮干しや肉食魚用のペレットなどを与えます。

成虫飼育はなどと同じで特に特徴はありません。開放的な水面を餌を探して泳ぎ回るイメージはなく、餌を入れるとどこかから出てくる感じです。

マルガタゲンゴロウ幼虫の飼育

には遅いのですが、2019年11月にマルガタゲンゴロウ幼虫が出現しました。メイン水槽に突然出現したので、産卵に使った植物などは、わかりません。

マルガタゲンゴロウ幼虫の出現
マルガタゲンゴロウ幼虫の出現

マルガタゲンゴロウ幼虫は3つの点で特異です。ミジンコ食であり、浮遊遊泳し、頭が小さくエイリアンのような体型を持ちます。

ミジンコを食べるために小さな牙と頭でよく、水面に集まるミジンコを食べるために浮遊遊泳するのでしょう。下のでは、3匹のマルガタゲンゴロウ幼虫が脚をパタパタ動かしながら泳いでいます。

泳ぎ回るマルガタゲンゴロウ幼虫

こちらの方が写りがよいですね。マルガタゲンゴロウの2令幼虫がミジンコを捕らえる様子。最初に咥えていたミジンコを捨て、すぐ次のミジンコを捕っているので旺盛な食欲です。

ミジンコを捕まえるマルガタゲンゴロウ幼虫の動画!

残念ながら、3令になった直後で死んでしまい羽化まで持っていくことはできませんでした。後で聞いたのですが、マルガタゲンゴロウ幼虫は2-3令以降ミジンコ以外も与えないと、小さくなったり羽化まで持っていけないそうです。野生下ではボウフラとか飼育下では大量に集めにくい餌を利用しているのかもですね。

マルガタゲンゴロウ3令幼虫
マルガタゲンゴロウ3令幼虫

マルガタゲンゴロウ幼虫飼育についてまとまった文書は見当たりませんが、比較的近い種でミジンコ食のヤシャゲンゴロウでは、石川ふれあい昆虫館の渡部(2017)「生息域外保全を見据えたゲンゴロウ類の効率的な飼育方法— ヤシャゲンゴロウを中心として —(PDF)」が出ています。

この研究は一般に「生息域外保全が行われる際,該当種はそれぞれ希少種であることから,普通飼育開始時点における飼育に関する知見はほぼ皆無である」ことから事前に飼育繁殖ノウハウを獲得するために行われたものです。ヤシャゲンゴロウは生息地が福井県の夜叉ヶ池一箇所であり、種の保存法の「国内希少野生動植物種」に指定された希少種です。

ヤシャゲンゴロウでは、1令が10分で8頭のミジンコを食べるなど、大量のミジンコを消費します。ミジンコの確保にあたっては、コスト削減のためクワの葉 30枚程度を500ml の水と一緒にミキサーし、汲み置きした80リットルの水に入れ、以後毎日50mlの青汁を加える方法を開発しています。80リットルと言うと衣装ケースやトロ船サイズでしょうか。ご家庭でやるにはちょっと規模が大きいですね。

また、2-3令ではボウフラに加えてコオロギやショウジョウバエも食べることがわかっています。マルガタゲンゴロウでも同様にミジンコ以外を与えると成虫にできる、という感じでしょう。

ところでこの論文は、「ハーモニカ法」「キイロ病」「スイミー効果」などキャッチーな名前が登場し、なかなか興味深いですねw

マルガタゲンゴロウに関するFAQ

マルガタゲンゴロウは珍しいですか?
水質がよく植物が豊富な止水域を好み、そうした湿地が失われているため、全国的に減少しています。多産したのに急に見られなくなるなどしています。
マルガタゲンゴロウの飼い方と餌は?
成虫の飼育は、ほかのゲンゴロウと同じでOKです。水を入れた容器に、甲羅干しできる足場を入れ、餌として煮干しや肉食魚用のペレットなどを与えます。乾燥エビや餌用コオロギ、冷凍アカムシなどでも良いでしょう。
マルガタゲンゴロウ幼虫の育て方と餌は?
比較的難易度高め。1-2令ではミジンコやブラインシュリンプを用いますが出現時期が計算できないため、餌の用意がないと困ります。成長すればコオロギや冷凍アカムシなども食べますが、栄養不足だと成虫が小さくなります。

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