タガメの生活史!春夏秋冬何してる?

タガメ5令幼虫

してみてわかるのは、冬眠せず1年中活動すると違って、春夏秋冬の季節の変化に敏感な生活史を持っているということです。冬は冬眠し、春に目覚め、夏にし、秋には栄養を蓄え、また冬眠に入ります。タガメの季節ごとのライフイベントと各月見られる行動について。

【特集】タガメの飼育方法

日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や、交尾から繁殖、の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。

タガメの春(3月4月5月)

日本最大の水生昆虫であるタガメは、その体を維持するために大量の餌を必要とします。つまり、寒い時期はカエルや小魚などの餌が少ないため、冬眠して活動量を抑えた方が都合がよいわけです。

タガメは陸上越冬しますが3月頃まで冬眠していて、4月から5月に目覚めて水辺に戻ります。飼育下では湿らせた水苔を敷いたタッパーなどを用いますが、暖かい日に日なたに出すなどすると活動を開始します。飼育下での越冬ですが、100%の成功率ではなく何割か死亡してしまうことも、よくあるようです。

タガメの餌用の金魚は一年中流通しているので、飼育下でいつ目覚めさせるかは悩みどころです。飼育期間が長いほど餌代もかかることになります。

タガメの夏(6月7月8月)

タガメは6月下旬の夏至をピークに繁殖活動を行います。タガメは一般的に待ち受け型の狩りをして、一日中位置が移動しないこともありますが、繁殖期は盛んに移動します。飼育下では支柱を上り下りしたり、エアホースを登ったり、暴れるように泳ぎ回ります。

生息密度が低いタガメの場合、まずオスメスが出会う必要がある訳です。数km飛翔する記録もあり、灯りに寄ってきた個体が目撃されるのもこの時期です。

タガメのオスは体を上下させて水面を揺らす「ポンピング」によってメスを呼び、出会ったペアが産します。タガメのオスは幼虫が孵化するまで10日ほど卵塊を保護します。

飼育下では、メスによる卵塊破壊が頻繁に起きるので、卵塊を隔離するよう注意しましょう。ただし、メスはシーズン3-4回産卵するため、雌雄健在なら何度か卵塊を見る機会があるはずです。

タガメの幼虫はオタマジャクシや、金魚やドジョウなどを餌にぐんぐん成長し、40日ほどで新成虫になります。6月下旬に幼虫が出たら、7月後半から新成虫が出始めることになります。

一度に50匹近く孵化しますが、ゲンゴロウと比べるとだいぶ繊細です。初めての飼育では全滅させてしまう例もよく聞きます。初めての飼育なら、1卵塊から10匹新成虫にできれば成功の部類かと。

タガメ幼虫が死ぬ理由としては、水生昆虫でありながら呼吸不全が起きやすく、移動や水換えに弱いことが挙げられます。食べ残しで水質が悪化しますが、濾過装置を使うなどして、水換えの頻度をできるだけ減らすと良いでしょう。

お尻を水面に突き出して反り返る、腹部の繊毛を脚でこするなどの行動が複数個体で一斉に見られたら、呼吸不全が起きています。4令5令くらいになると、水を入れないプリンカップで半日放置する、キッチンペーパーなどの不織布で丁寧に拭くなどすると一部の個体は復活しますが、駄目元と考えてください。

タガメの秋(9月10月11月)

9月頃になると、繁殖を終えた旧成虫が死亡して世代交代になります。タガメの寿命は数年とする資料もありますが、多くの個体では1年です。

タガメは繁殖に多大なエネルギーを用いていて、繁殖後半は跗節が取れたり、水に浮かぶだけの時間が長くなるなど、寿命感を感じさせる弱り具合を見せます。

また、タガメのメスはシーズン3-4回産卵しますが、その間隔は1週間から10日ごとです。したがって、一ヶ月近く産卵期間があることになります。後半の卵塊では9月に出る新成虫もいることでしょう。

すべての餌を購入で賄った場合、1卵塊育てるのに5000円〜1万円くらいかかります。全卵塊育てるのか、ある程度数を絞るのかはよく考えた方がよいでしょう。

新成虫は一日数匹金魚を食べるほど盛んな食欲を見せます。この時餌をケチらない方が良いです。タガメは長日条件あるいは水温条件に従ってある日から食欲が落ち、餌があっても食べないようになります。

この時十分に餌が取れていないと、冬眠に必要な体力がなく冬越しに失敗する原因になります。新成虫でも長日条件や水温条件を満たすと産卵してしまったりしますが、これらの条件を満たしても食欲の方は戻りませんでした。

野生下では10月から11月に水辺から姿を消し、木の葉の下などに潜り込んで陸上越冬します。飼育下では、陸上越冬の場所を探すためか、餌を食べていないのに暴れたりします。体力の消耗が心配であれば、11月中に冬眠させてしまってもよいでしょう。

水苔を敷いたタッパーなどにタガメを入れ、冷暗所に置いておけば前脚を閉じて触っても動かなくなる冬眠体制に入ります。こうなったら、たまに覗いて霧吹きする程度でOKです。越冬容器の保存場所ですが、日当たりがよく日中の温度が変化しやすい場所は避け、冷暗所あるいは6度程度で安定している野菜庫も利用可能です。

タガメの冬(12月1月2月)

タガメは12月から2月は冬眠していて、たまに覗くくらいしかやることはありません。春が来るのを待ちましょう。

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