日本にもタガメを食べる地域があったか?

甲羅干しするタガメ

を食べる地域が日本にもあったことをご存知でしょうか。現在で扱われているタガメは、東南アジアの食文化を持ち込んだもの。現地で屋台に山盛りにされたタガメの写真を見たことがある方も多いでしょう。日本のタガメは絶滅危惧種ですが、かつては個体数も豊富で蛋白源として食べていた地域があります。

【特集】タガメの飼育方法

日本最大の水生昆虫タガメ。タガメの飼育方法や餌、交尾から繁殖、幼虫の育て方まで、タガメの飼育・繁殖方法についてはこちらの特集もご覧ください。

タガメをなぜ食べる→タイなどの食用文化を持ち込んだから

ブームを超え、一ジャンルとして定着した感もある昆虫食。アイドルやYouTuberが罰ゲーム的に食べたあたりから一般にも認知されるようになりましたが、現在日本で流通している昆虫食用タガメは、東南アジアから輸入されたもの。

東南アジアでは元々現地の屋台で山盛りにされている写真で知られるように、昆虫食の文化があります。なかでもタガメは、そのオスが洋梨的な香りがするということで香料として珍重されています。東南アジアに住むタガメは「タイワンタガメ」で、日本のタガメとは別種です。

日本産のタガメは種の保存法「特定第二種」で保護された希少種。戦後までは都市近郊でも見られましたが、農や開発によって1980年までに各地で地域絶滅が報じられるようになり、現在にいたります。

日本でもあったタガメを食べる地域

現在の日本産タガメは希少種で、食用できるほど生息していません。しかし、かつてはタガメを食べる食文化がある地域がありました。文献に残っているものでは、鳥取県・栃木県・京都府・千葉県・静岡県・岡山県などで昆虫食としての記録が残っています。昆虫を黒焼き等にして用いる民間療法では、茨城県・長野県などの事例が知られています。

農務省の「食用及薬用昆虫ニ関スル調査(三宅 ,1919)」

日本でタガメを食べる地域についてはこのように断片的ですが、昆虫食全般に視野を広げると、蜂の子・蚕・イナゴ・ざざ虫などは一般にも知名度ある所です。・セミ・カミキリムシなども例があります。

6 COMMENTS

berzerk

こんにちは。
興味深い記事をありがとうございます。

かつて広島県西部地域の7月頃での灯下で採集したタガメの複数個体での繁殖に成功したことがある者です。
こちらのサイトを偶然見掛けて、
質問させてもらおうと思いました。

雄雌ペア毎にミニ水槽に分けて飼育していました。当時の自宅が山間部の田舎環境でしたので、生き餌は近所の田んぼにカエルやオタマが幾らでもいました。

ところでときどき何度かアカハライモリも与えてみたことがありましたが、どの個体もなぜか一度も補食しませんでした。
当時としてはアカハライモリ自体が微毒であることと、それが持つ警戒色のせいだろうかと思っていましたが、
先般NHKの生態ドキュメンタリー番組内での
タガメのアカハライモリ補食シーンを目の当たりにし、かつての自分の飼育環境がどうにも腑に落ちなくなって質問に至った次第です。

何かわかることがあればよろしくお願いします。

返信する
gengo6.com gengo6com

アカハライモリは、タガメと同じ生息環境に同居していたりしますね。

アカハライモリはフグと同じテトロドキシンを持っていますが、結構ほかの生き物にも食べられています。サギなどの鳥類のほか、広島大学構内ではザリガニ侵入後、負傷したり個体数が減少したりしています。
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/4/41266/20161004100305464519/BHSJ_2015-2_96.pdf

こうしたことから、即死ではなく苦いとかマズいレベルなのではないかと思いますが、よほどお腹が空いていたのかもしれませんね。

返信する
berzerk

ご返答ありがとうございます。

当時は他のカエルやオタマの生餌を排除し
一週間くらいアカハライモリのみをタガメ水槽に放ち、様子を観察していました。
しかしそれまでの食生活が満ち足りたものであったのか…
つまり更なる飢餓状態にまで追い込まれないと
不味いアカハライモリなど捕食するに至らないのではないか…
優先捕食順位が下位…ということでしょうか。

今は市街地環境の住居なので飼育は止めていますが、タガメ飼育観察…懐かしく思います。

返信する
gengo6.com gengo6com

野生下では出会い頭に動くものを捕らえて、苦ければ放すのだと思いますが、毒が体表や一部の器官にある場合、口吻刺した場所に毒がないか薄い場合があるのかもしれません。

返信する
gengo6.com gengo6com

こちらの論文によると、イモリの有毒率や毒性は産地や個体によって大きく異なり、食べても大丈夫な場合があるのかもしれません。

また、有毒部位では皮膚と筋肉ということで、フグのように特定臓器に偏っているわけではないそうです。
https://www.uozu-aquarium.jp/report/document/2019imori.pdf

返信する
berzerk

参照資料を色々と畏れ入ります。
なるほどですね。タガメとアカハライモリの捕食・被捕食関係も毒性やその部位によって地域差があるのではないか…ということですね。因みに当方飼育個体は前述のとおり広島県西部地域産、NHK番組のロケ地は島根県東部地域でした。
ありがとうございます。

返信する

コメントはこちらから(個人を特定できる部分は削除します)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です